青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

安達奈緒子『G線上のあなたと私』1話

『G線上のあなたと私』がおもしろい。TBSの火曜ドラマで、磯山晶(チーフプロデューサー)、安達奈緒子(脚本)、金子文紀(演出)という座組みへの期待に、見事に応えてくれる秀作の予感だ。 アラサーOL、40代主婦、男子大学生という世代も性別も異なる3人…

尾崎将也『まだ結婚できない男』1話

『結婚できない男』が13年の時を経て、まさかの続編である。主題歌は持田香織による「まだスイミー」、前作の主題歌「スイミー」のセルフカバーである*1。「スイミー」のようで、どこか違う。そんな楽曲に同調するように、劇中もまた13年前となんら変わらな…

『キングオブコント2019』 かが屋のコント美学

かが屋のコントは美しい。コント内で鳴る扉のベルの音が複層的に響く。「会計を済ませたお客がドアを開けて店を出ていく音を、待ち人の到来と勘違いしてしまう」という複雑な心理描写をベルの音と表情だけで表現してしまうのだ。こういったコントを私は美し…

TBSラジオ『空気階段の踊り場』

この番組には強烈な人間賛歌が迸っている。路上のアウトサイダーにインタビューをするという番組の初期を支えた名物コーナー「サラリーマン“じゃない”人の声」*1に、 “歯のない人”が頻繁に登場する。まるで何かが欠けた人の象徴のように。童貞、借金、不倫、…

最近のこと(2019/07/01~)

the 1975 - i always wanna die (sometimes) {tradução} この夏はあまりいいものではなかった。その決算として、巨大台風の通過とともに体調を著しく崩す。出張先のホテルに引き籠もり、熱にうなされながらひたすらに眠り続けていた。季節の変わり目にいつも…

みそさざい『しあわせジョン』

変な犬と暮らしはじめた pic.twitter.com/Jug4tvT1rZ— しあわせジョン(ζ''U)シカクしあわせジョンフェア9/30迄 (@misosazainfo) June 4, 2019 2019年6月から@misosazainfoというアカウントでTwitter上で掲載されている『しあわせジョン』という漫画にすっか…

新海誠『天気の子』

降り続ける雨を、流れる“涙”の比喩としよう。この街では、誰かがいつも泣いているからだ。映画のキーヴィジュアルに選ばれたのは代々木会館だった。『傷だらけの天使』(1974)でお馴染みの通称“エンジェルビル“*1。つまり、これは現代社会から爪弾きにされ…

ドラマ25『サ道』

ディープリラックスと美しき世界への圧倒的感謝。タナカカツキによる決定的バイブル『サ道』にて言語化されたサウナの気持ち良さが、端的に映像化されていた。サ道作者: タナカカツキ出版社/メーカー: パルコ発売日: 2011/11/28メディア: 単行本(ソフトカバ…

最近のこと(2019/04/01〜)

10連休ですね。もちろんうれしいのだけども、この"変わっていってしまう"感覚に精神が疲弊してしまっている。Robag WruhmeというドイツのテクノDJの「Venq Tolep」という曲の美しさに心を慰められています。平成から令和のまたぎのお祭り騒ぎにも、なんだか…

ニンゲン観察バラエティ モニタリング『オードリー・春日俊彰のプロポーズ大作戦』

クミさん。 今までたくさんの手紙をもらってきたけど、今日はじめて手紙を書きます。 昨日、家にある数々の手紙を読みかえしてみました。春日の誕生日、バレンタイン、クリスマス、一ヶ月記念、一年記念、春日が入院したとき、M-1の日。そのどれもが春日に対…

最近のこと(2019/03/01〜)

ここ最近のミューズは日向坂46なのです。メジャーデビューシングルの表題曲「キュン」がとてもかわいい曲でうれしい。今1番楽しみにしているテレビ番組は『ひらがな推し』で、3/17放送の「ヒット祈願駅伝」の"かとし"と"ひなのなの"の走りとお喋りにサトミ…

『R-1グランプリ2019』岡野陽一のイノセンス

2019年の『R-1グランプリ』の興奮もすっかり覚めやった中*1、敗者復活から勝ち上がった岡野陽一(元・巨匠)が披露した1本のコントが頭にこびりついて離れない。それは「鶏肉をもう一度大空に飛ばしてやりたいんだ」という奇天烈な内容で、当然のように客席…

『オードリーのオールナイトニッポン10周年全国ツアー in 日本武道館』

たまらなく不安な夜には、いつもラジオが流れていた。ラジオはわたしたちの夜に忍びこむ。「さびしいのはおまえだけじゃない」と。武道館とライブビューイング会場に駆けつけたのは2万2千人のリトルトゥース。その1人1人にオードリーとの"夜"があるのだと想…

Netflix『TERRACE HOUSE OPENING NEW DOORS』

想いを寄せる安未とのドライブデートが上手くいかなかった雄大。得意の料理で挽回しようと、スーパーへの買い物に安未を誘うも、やんわりと断られてしまう。何もかもが期待どおりに運ばすにふて腐れる雄大は、場の空気を悪くしていく。その子どものような振…

くりはらたかし『たんぽぽふうたろうと7ふしぎ』

今、1番素敵な絵を描く漫画家/イラストレーターはクリハラタカシさんなのです(断言)。やわらかい線で紡がれる所作の中に、生きることの喜びが詰まっています。くりはらたかし名義の新作絵本が発売されました。さすらいのたびびと"たんぽぽふうたろう"が"…

大賀俊二『映画 おむすびまん』

さる日のTBSラジオ『ハライチのターン』で話題に上がっていた30周年*1を記念した『それいけ!アンパンマン』の人気投票。結果の詳細が気になり、サイトをじーっと眺めていると、ふと思い出した。私は"おむすびまん"が大好きだったのだ!いや、ビックリマーク…

プロフェッショナル仕事の流儀「 生きづらい、あなたへ~脚本家・坂元裕二~」

「私 この人のこと好き 目キラキラ」みたいなのは そこには本当はない気がするんですよね バスの帰りで雑談をして バスの車中で「今日は風が強いね」とか 「前のおじさん寝ているね」「うとうとしているね」とか そんな話をしながら 「じゃあね」って帰って…

水曜日のダウンタウン「MONSTER HOUSE」3話

これぞ、2018年のベストキスシーン。なんて醜く、なんて美しいのだろう。クロちゃんは「愛されたい」と叫ぶ獣だ。まるでこれまで誰からも愛されたことがないかのようだ。その欠落を埋めるようにして、どこまでも貪欲に愛を求めている。蘭ちゃん*1とのキスを…

Dr.ハインリッヒ『M-1グランプリ 2018 準々決勝』

今年観た漫才で1番美しいと思った。イワシが炒飯を食べる時に胸鰭を使うとことか、「種がいっぱいあるんやろなー」とヒマワリの顔を覗くとことか、「まぁ焼きそばやわ」とか、「みんな何かを作るメンバー」とか、「この世はすべてはマル」とか、あらゆる細部…

さくらももこ『コジコジ』

誰がなんと言おうと、『コジコジ』はラブコメなのである。いや、もちろん『コジコジ』のジャンルは一つに断定できるものではない。たとえば、「コジコジは哲学である」という論調はいまだに根強い支持を得ている。 コジコジだよ コジコジは生まれた時からず…

『キングオブコント2018』ハナコのコントの魅力について

今年も出前のお寿司をつまみがら、楽しく『キングオブコント』を観ることができました。さらば青春の光とザ・ギースの2本目が観たかった・・・などなど色々想うところはありつつ、何はなくともハナコである。全ての組が魅力を発揮し、秀作揃いの『キングオブ…

TBSラジオ『神田松之丞 問わず語りの松之丞』2018年9月16日放送回

最近の何よりの楽しみと言えば、ラジオ『神田松之丞 問わず語りの松之丞』(TBSラジオ 日曜23:00〜23:30)を聞くことなのですが、9月16日放送回、これがもう衝撃的に素晴らしい。とにかく誰彼かまわず聞かせて回りたい衝動に駆られているのです。まずはTBSラ…

日曜ビッグバラエティ『空から村人発見!パシれ!秘境ヘリコプター』

ヘリコプターに乗ったオードリー春日が山奥に住む人々の夢を叶えていく。テレビ東京が9月9日に放送した日曜ビッグバラエティ『空から村人発見!パシれ!秘境ヘリコプター』が実に素晴らしい番組だった。「全てのロケ、そして総合司会まで、2時間すべてをオ…

あだち充『スローステップ』

あだち充の最高傑作は『スローステップ』である、と言い切ってみたい。実際のところは、いや『H2』だろ、いやいやそこは『ラフ』で、いやいやいや結局は『タッチ』なのです、いやいやいやいやその作家性が爆発しているのは『虹色とうがらし」であるからして…

藤岡拓太郎『コーヒー吹き出さないように気をつけ展』

夏の終わりの高円寺に『コーヒー吹き出さないように気をつけ展』を観に行ってきた。奇しくもこの日の高円寺では恒例の阿波踊りが開催されていて、街は異様な活気に満ちている。私は踊らぬ阿呆であるし、またどんな顔で阿波踊りを視線を傾ければいいのかもわ…

台北旅行記2018

台北という都市の魅力は、ノスタルジーと未来とが混在となっているところにあるように思う。たまらなく懐かしくて、新しい。東京という街が年老いて行く中で切り捨てていったものが、自然なままにテクノロジーと調和している。猥雑で多様なその有り様は、ど…

『LOOPY!鹿皮』雪おばけにまつわる物語

雪おばけは冒険に出たいと思っていました。だけども、外は陽射しがとても強かった。それはもう、雪おばけの全てが溶けてしまいそうなほどに。あまりの暑さに一度はお家に逃げ帰ってきた雪おばけ。それでも諦めきれない彼は、自らの身体にサンスクリーンを塗…

芝山努『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』

『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』(1994)という映画がある。決して出来のいい作品ではない。1980~90年代におけるドラえもん映画の黄金期と照らし合わせてみると、そのストーリーテリングには雲泥の差があると言っていい。おそらく今後もリメイクの対象に…

E・L・カニグズバーグという児童文学作家

E・L・カニグズバーグという児童文学作家*1に夢中だ。『クローディアの秘密』『魔女ジェニファとわたし』『ベーグル・チームの作戦』『ティーパーティーの謎』・・・・どの作品を読んでも夢のように素晴らしい。クローディアの秘密 (岩波少年文庫 (050))作者…

練馬区立美術館『サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法』

東京都の練馬区立美術館でレイモン・サヴィニャックの大きな展示会が始まった。正直なところ、「いまさらサヴィニャックかぁ」なんてことも思わないでもなかったのだが、これが大いに楽しんでしまった。サヴィニャックの弾けんばかりのポップネスはとびきり…