青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

芝山努『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』

『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』(1994)という映画がある。決して出来のいい作品ではない。1980~90年代におけるドラえもん映画の黄金期と照らし合わせてみると、そのストーリーテリングには雲泥の差があると言っていい。おそらく今後もリメイクの対象に…

E・L・カニグズバーグという児童文学作家

E・L・カニグズバーグという児童文学作家*1に夢中だ。『クローディアの秘密』『魔女ジェニファとわたし』『ベーグル・チームの作戦』『ティーパーティーの謎』・・・・どの作品を読んでも夢のように素晴らしい。クローディアの秘密 (岩波少年文庫 (050))作者…

練馬区立美術館『サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法』

東京都の練馬区立美術館でレイモン・サヴィニャックの大きな展示会が始まった。正直なところ、「いまさらサヴィニャックかぁ」なんてことも思わないでもなかったのだが、これが大いに楽しんでしまった。サヴィニャックの弾けんばかりのポップネスはとびきり…

今井一暁『ドラえもん のび太の宝島』

川村元気という海賊による略奪。奪われたのは、藤子・F・不二雄『ドラえもん』、ロバート・ルイス・スティーヴンソン『宝島』という児童文学が誇る偉大なフォーマットだ。今作のベースにスティーヴンソンの『宝島』が置かれる必然性がまったく理解できなかっ…

『あいのり:Asian Journey』の異様な魅力について

『あいのり:Asian Journey』がおもしろい、呆れるほどにおもしろい。ここ数日で食い入るようにして、Netflixで配信済の約20のエピソードを観終えてしまった。必要ないとは思いますが、『あいのり』という番組について念のため説明しておきます。「ラブワゴ…

伊藤万理華×福島真希『はじまりか、』

昨年末に開催された個展「伊藤万理華の脳内博覧会」にて公開されたショートムービー『はじまりか、』がYouTube上で閲覧が可能となった。掛け値なしに素晴らしい8分30秒なのだ。伊藤万理華によるファンやメンバーに対するストレートな愛のメッセージをして*1…

最近のこと(2018/02/01~)

2018年2月の「最近のこと」の消滅。一旦書くのを緩めると、まっこと億劫になるのがこの「最近のこと」なのです。書きそびれがあまりにも膨大なので、一日ごとに振り返るスタイルは放棄して、ざっくりと備忘録を記していきたい。2月はもうオリンピック一色で…

小沢健二『アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)』

① 小沢健二が、極めて私的ないくつかの関係性を綴ったリリック。ひどく露悪的ではあるが、どこまでも普遍的に、切実に響くことは否定できない。もしかしたら、ポップミュージックの歌詞というものは具体的であればあるほどいいのかもしれない、というような…

ロバート・マックロスキー『ゆかいなホーマーくん』

ゼンマイ仕掛けの機械から大量に流れて出てくるドーナッツ、それをポケットに手を入れたまま片手でムシャリと頬張らんとする少年。たまらなく胸を捉えた。この表紙のイラストだけで、10冊は確保したい代物である。この『ゆかいなホーマーくん』の挿絵を担当…

坂元裕二『anone』5話

とうとう周回遅れである。つい不満のほうに筆が走ってしまうので、何度も書き直してしまうのだ。たとえば、序盤で繰り広げられた「すれ違いコント」に、ナレーションによる状況説明が挿入されていたのには、たまらなく暗澹たる想いに駆られた。"すれ違ってい…

村山籌子/村山知義『リボンときつねとゴムまりと月』

村山籌子の紡ぐ児童文学は、夫である村山知義によるイラストの魅力と不可分である。上の絵をじっくり見つめて頂きたい。このタイムレスな魅力は異常ではないだろうか。そのシュールレアリスムにはさくらももこの源流を見るよう。とにかく絵もお話も、都会的…

エズラ・ジャック・キーツ『ゆきのひ』

雪が積もった日の幼き高揚感を瑞々しく捉え切った永遠のマスターピース。足跡をつけて歩く、雪の小山を滑り降りる、木に積もった雪を落とす、寝転んで手足を動かす(Snow Angel)・・・いつもと違う白銀の街でのはしゃぎ方がここにはすべて詰まっている。と…

坂元裕二『anone』4話

私の名前はアオバ 苗字はない この世に生まれてこなかったからだ 幽霊っていうのとは少し違うけど まぁ そう思ってもらえるのが一番手っ取り早い いきなりの”幽霊”の登場である。低視聴率のテコ入れとして、急遽挿入されたであろう「3話までのダイジェスト」…

松本壮史×三浦直之『それでも告白するみどりちゃん』

『それでも告白するみどりちゃん』というなにやら画期的に新しいドラマが始まった。そのドラマは、テレビの地上波放送でなく、ローカル放送でもなく、ニコニコ動画でもGYAO! でもなく、カルチャー動画メディア「lute/ルーテ」のInstagram 上のStoriesにて展…

野木亜紀子『アンナチュラル』3話

3話についてしっかり書く余裕がないまま、4話の放送日になってしまった。無念。今回は軽いテイストでご勘弁頂きたい。3話は裁判所を舞台とした法廷ものであった。演出は塚原あゆ子から竹村謙太郎にバトンタッチ。編集のスピード感はグッと抑えられ、室内撮影…

ルドウィク・J・ケルン『すばらしいフェルディナンド』

ルドウィク・J・ケルンは日本ではあまり評価されていないのだろうか。ポーランドの児童文学作家なのだが、Wikipediaにも項目は存在しない。日本語に翻訳されている作品は3作品。その内の1冊『ぞうのドミニク』は福音館で文庫化しており現在も入手可能だが、…

最近のこと(2018/01/20~)

youtu.be Lampの4月に発売されるニューアルバム『彼女の時計』よりリード曲「Fantasy」のMVが公開。ワンマンのチケット買いそぶれてしまったが、アナログ盤は絶対にゲットしたいものです。とてつもなく寒い日々が続いておりますが、すでに花粉は飛んでいて、…

坂元裕二『anone』3話

突然の拳銃の介入、3話はこれまで以上にダーティーで穏やかではない。しかし、シリアス一辺倒というのでなく、細部のやりとりはコミカルさで彩られてもいる。川瀬陽太が演じる西海隼人という複雑な人間の存在が、物語を混乱させているのだ。モデルガンを改造…

シムズ・タバック『ヨセフのだいじなコート』

古本屋で見つけて一目惚れした絵本だが、2000年にコールデコット賞(アメリカの絵本界における権威)を受賞しており、すでに多くの人々の記憶にマスターピースとして根付いている作品。「この絵本は、水彩絵の具、グワッシュ、色鉛筆、インク、そしてコラー…

野木亜紀子『アンナチュラル』2話

圧巻の完成度を誇った1話が沸点かと思いきや、続く2話もなんら緩むことなくおもしろい。恋はスリル、ショック、サスペンス(©愛内里菜)とでもいうようなエンターテインメント性を保ちながら、芯をくった人間ドラマが並走している。坂元裕二『anone』と野…

坂元裕二『anone』2話

<社会の理からはみ出す> 1話のエントリーで孤児とも天使とも形容した今作の登場人物たちは、つまりは社会というシステムからの追放者である。ネグレクトされ”家なき子”としてネットカフェで寝泊まりする辻沢ハリカ(広瀬すず)。フランチャイズチェーンに…

最近のこと(2018/01/09~)

本日発売の『美術手帖』2月号「テレビドラマ特集号」に畏れ多くも寄稿しております。このブログの「最近のこと」を熱心に読んでくださっている方、私が妙に坂元裕二の過去作ばかり観て、あげくに体調を大幅に崩している時期があったことを覚えておりませんで…

野木亜紀子『アンナチュラル』1話

うおー。思わず声が出てしまうほどにおもしろいではありませんか。脚本、役者、演出、編集、劇伴、衣装・・・あらゆる要素が90点越えを叩き出す超優等生の登場である。脚本は野木亜紀子。『空飛ぶ広報室』(2013)、『重版出来!』(2016)、『逃げるは恥だが…

坂元裕二『anone』1話

坂元裕二の新作ドラマ『anone』の放送がついに開始された。ジャンルレスゆえに、現段階ではまだまだ漠然とした印象だが、イメージを織り重ね、ストーリーを形作っていくその筆致はやはり郡を抜いている。1話における白眉は、偽札を巡る歪なカーチェイスで3…

最近のこと(2017/12/27~)

youtu.be ロロ+EMC feat. いわきっ子による「ミーツミーツミーツ」のライブ動画が公開された。本当にいい曲。2017年に1番素敵なメロディを書いてきたのは江本祐介に間違いなし。島田桃子さんのラップ(というかボイス)、やはり特別。ロロの新作『マジカル…

水曜日のダウンタウン「フューチャークロちゃん」

昨年の12月27日に放送された『水曜日のダウンタウン・2時間SP』をご覧になっただろうか。あれを観ずして、2017年は終われないというような大作である。嘘ツイートをまき散らす実態を暴露した8月の「リアルクロちゃん」あたりまでは気軽に笑い飛ばせていたク…

2017 BEST MUSIC 20 

例年30枚だったのがついに20枚に。移動中にラジオを聞く時間が増えたからかもしれない。『オードリーのオールナイトニッポン』と『ハライチのターン』に溢れんばかりの感謝を。ライブに行く回数はグッと減りましたし、音楽に関する文章を書く能力のなさを痛…

ミツメ『エスパー』

なんでもわかりあえてしまう2人。そんな”誰か”と出会ってしまうこと、それは生きる喜びを見つけたに等しい。しかし、そんな関係を「エスパー」と名付けた瞬間に、世界はなにやら不穏な気配を帯び始める。『ストレンジャー・シングス』への明確なオマージュが…

最近のこと(2017/12/11~)

メリークリスマス。『さむがりのサンタ』と『ホームアローン』で培ってきた、暖炉の暖かさに例えられるような、素敵なクリスマスの感触を取り戻したい。「イヴのラブホは満室」「リア充、死ね」といった双方の価値観がなくなった世界で、敬虔な気持ちで過ご…

軽井沢旅行記2017冬

年内まで有効の会員制のリゾートホテルのチケットをもらったので、せっかくなので泊まりに行くことにした。軽井沢の山奥のホテルである。しかし、会員制のホテルというのはよくわからない。チケットさえあれば会員のどんな遠縁であろうとも泊まれてしまうら…