青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

最近のこと(2022/12/14〜12/21)


まもなくクリスマス。柴田聡子よろしく『ホーム・アローン』を観よう。『ホーム・アローン』がフェイバリットムービーと言っていいくらいに大好きなのに、大人になったマコーレ・カルキンがケビンを演じているムービー(CM?)が2018年に公開されていたのを知りませんでした。

この国の景気がまだ少しだけましな頃、クリスマスというのはもっととびきりに特別な行事であって、12月24日をどう過ごすかというのはその1年をどう過ごしてきたかの審判を下されるような感覚であった。そんなフィーリングを見事に切り取ったのが、『ハチミツとクローバー』という作品で、こんな一節が登場する。

なんでかは解らないのだけれど
アセるのだ
この色トリドリの電飾や鈴の音
お前は今幸せか?居場所はあるのか
・・・と問い詰められてるよな気持ちになるのだ

この竹本くんがクリスマスに鬱々とするシーンに共感で胸を痛めたものだ。若い頃は自意識が肥大しているせいで、「24日のイヴに1人、吉野家のカウンターで牛丼を食べる」みたいのがどうしてもできなかった。「あいつは(こんな大切な日に)一人ぼっちなのか」と他人に思われたくなかったのだ。「誰もそんなこと気にしていない!」と諭すの簡単なのだけど、そんなことでは簡単に納得できない自意識のこじらせ方が若さというものだ。しかし、イヴに牛丼を食べている人が不幸せと決めつけることの浅ましさよ。牛丼を食べているあの人は、次の日に大切な人とデートをするのかもしれないし、一人で楽しく生きているかもしれないし、もしかしたら本当に寂しいかもしれない、といった思考回路がちゃんと身体に落とし込めるようになったのは歳を重ねた良さかもしれない。ときに、クリスマスが苦手だ・・・という気持ちと、心の底で本当はワクワクしているアンビバレンスな感情を歌にしてくれたのが、クレイジーケンバンドが2002年にリリースした「クリスマスなんて大嫌い!! なんちゃって」だ。名曲。


ときに、今年のシュトレンは京都の進々堂のものにした。ドイツではクリスマスに向けての4週間、シュトレンを少しずつスライスして食べ、ドライフルーツがパン生地に染み込んでいく味の変化を楽しむとのだという。母がドイツのパンに造詣が深く、実家ではクリスマス時期になるとシュトレンが家にあった記憶があるのだけども、幼い頃は地味なケーキだなという印象しか抱いていなかった。生クリームもチョコレートもないケーキなんて!となる気持ちはわからないでもないのだけど、歳を重ねるごとに、オレンジピールとかナッツとかああいう味覚がどんどん好きになってくるし、経年変化みたいなものにもロマンを抱いてしまうので、ここ数年はすっかりシュトレンの虜だ。シュトレン未経験者であるならば、楽天で1番人気のオーセントホテル小樽のシュトレンを最初の一手としてオススメします。

12月14日水曜日

家で『2022FNS歌謡祭』の第2夜を観る。序盤は“コロナ禍が生んだバケモノ”(©トム・ブラウン)こと広瀬香美のお祭り。「冬の女王」というほどにヒット曲ってたくさんあったけかなといつも疑問に思ってしまう。しかし、1曲でも誰もが知っているヒット曲があればなんとかなるということをnobodyknows+が教えてくれている。冬のヒット曲が2、3曲ある広瀬香美は十分に女王なのだろう。中山美穂のクリスマスソングの名曲「遠い街のどこかで・・・」が良かった。「遠い街のどこかで・・・」の作曲・編曲の中崎英也織田裕二「OVER THE TROUBLE」(ドラマ『お金がない!』主題歌)も手掛けている。堂本剛「街」をひさしぶりに聞けたのもうれしかった。リファレンスがまだファンクミュージックではなくミスチルあたりだった頃のソロデビュー曲。デビュー25周年ということでKinKi KidsのMVが公式にアップされているだけど、2人の美しさに改めて驚いている。わたしは「愛されるより愛したい」と「シンデレラ・クリスマス」が特に好き。若い人はピンと来ないのかもしれないが、若い頃の堂本剛はちょっと前の菅田将暉みたいなものというか、それ以上の存在だったような気がする。「松本人志フォロワーのユーモアを持ち合わせたファッションリーダーお兄ちゃん」ということだけでなく、なんというか平成という時代を背負っている感じが確かにあったのだ、堂本剛には。覆面系のミュージシャンがたくさんいて誰が誰だかわからなくなりつつあるのだけどAdoよりはyamaが好きだなと気づきはじめた。yamaの正体はヨネダ2000の誠なんじゃないか、というデマを流している。ラストのASKAは圧巻のパフォーマンス。「SAY YES」を聞きながら、武田鉄矢浅野温子の恋模様を思い出し、涙。さすがの歌唱力だったけども、とにかくマイクから離れて歌おうとする姿が印象的で、Twitterに「ASKAのマイク臭いのかな」と呟いている人がいて笑った。あと、ムックの声が知らない間に変わっていて、調べたら2014年から声優が交代していたらしい。そして、現在誰が声優を担当しているのか非公開とのこと。なぜ。

12月15日木曜日

お昼に職場の近くの海鮮定食屋でアジフライ定食を食べた。ここ5年くらいで、わたしの好きな食べ物ランキングにてアジフライが上昇中。マニュエル・ゲッチングが亡くなってしまったとのことで、ひさしぶりに車の中で『E2-E4』をリピートで聞いていた。

これしか聞いたことないのだけど、大好きなアルバム。今週末に向けて気分を高めるためNetflixにて『M-1グランプリ2001』を観た。審査員に青島幸男鴻上尚史がいたのはすっかり忘れていたし、司会がDJ赤坂菊川怜であったのも記憶から抜け落ちていた。なにより、この頃の細坊主な松本人志のかっこいいこと。今の雰囲気からは考えられないほどに、ヒリヒリしている。調べてみたら、今の自分と同い年くらいであった。なんたる色気の差だろうか。肝心の漫才というと、20年以上前であるので、さすがに強度が薄れているものも多い中で、若干22、3歳の麒麟の漫才が今なお新鮮で興奮。おぎやはぎに一般審査の点の低さは何度観ても笑ってしまう。札幌22点、大阪9点、福岡12点、なんと100点満点中である。『THE FIRST SLAM DUNK』がどうしてももう一度観たいので、安西先生と「バスケがしたいです」という台詞しか知らない妻に、湘北メンバー5人のバックボーンや山王工業の偉大なる王者ぶりなどを踏まえ、熱烈にプレゼンしていたら、感極まって泣いてしまった。『スラムダンク』のことを考えるだけで泣いてしまい身体になってしまった。おかげで一緒に鑑賞してくれることになりました。

12月16日金曜日

お昼はドトールミラノサンドAと野菜ジュース。師走らしく、商談や年末の挨拶が立て込んでおり、資料作りにうんざり。パソコン作業に集中するためにイヤフォンでCarlos Niño & Friends『Extra Presence』を聞く。

このアルバムは今年よく聞いたものの1枚。帰宅してご飯を食べながら『マツコ&有吉のかりそめ天国』の3時間スペシャルを観る。この番組でチャンカワイが炎にまみれているのを見かけるといよいよ年末だなという気持ちが高まってくる。U字工事有吉弘行の組み合わせがたまらなく好き。『有吉クイズ』で蕎麦作るやつとか。「旅館の朝食調査」も素晴らしい新企画だった。画の強さや情報性もさることながら、芸人コンビが前夜から2人で部屋に泊まらせることで、関係性のドラマを浮かび上がらせるという構成がニクい。ときに、わたしはトム・ブラウンがとても好きで、特に布川さんの顔ファンだ。青春感のある顔というのでしょうか。アジアのどこから出てきた拙いジャングリーギターポップバンドのボーカルみたいな顔。長い髪を結んでいるオフの姿も良かった。1週間働いた疲れが出てきたので、温泉の素を入れたお風呂に入って、早めに眠る。

12月17日土曜日

冷たい雨が降り続けた1日。家に籠っていても鬱々とするのでレンタカーを借りて出かけることにした。まずは、近鉄奈良にある燻製料理屋「パインストア」に向かい、海南都果鶏豚飯を食べる。追加注文したポテトサラダ含め、ウットリするほど美味しい。再び車に乗り込み今度は大和郡山を目指す。走っていると、ファミリーマートの隣にファミマが運営するコインランドリーを見かけた。全国に30店舗くらししかないらしいが、コインランドリーのすぐ横にコンビニがあるというのは実に合理的であるけども、これが主流になってくると、あの薄暗い住宅街の中にポツンと光る、“逃避場所”というメタファーを込めたくなる所謂コインランドリーという風景が失われていくのだろうか。灰皿代りの缶コーヒー、カップラーメンの食べ残し、本棚に並ぶ植田まさし弘兼憲史の薄汚れた漫画。大和郡山にたどり着くと、そこは金魚の町であった。なんでも金魚の出荷量6000万匹超えを誇るらしく、オブジェ、マンホール、お店の軒先・・・いたるところに金魚のモチーフが。大和郡山を訪れたのは、「藤岡拓太郎原画展」が開催されている「とほん」という本屋さんが目的。藤岡拓太郎『ぞうのマメパオ』は今年の大切な1冊だ。原画の線のかわいさはもちろん、アイデアノートやフリーペーパーがあって大満足。「とほん」もまた素晴らしい品ぞろえの本屋で、棚を観ていると、芋づる式に欲しい本がどんどん湧き出てくる。ライツ社という出版社のnoteの記事で読んだけど、革新的な試みを繰り出すオーナーさんが経営するセブンイレブン天理成願寺町店の本棚も」「とほん」が担当しているらしい。マメパオの缶バッジと、どこも売り切れで探していた赤染晶子『じゃむパンの日』を購入して、お店を後にした。この日の旅のゴールは「御所宝湯」という銭湯。今年の10月にリニューアルしたとのことで、昔ながらの銭湯スタイルの浴槽を残しつつも、本格的なフィンランド式サウナが楽しめる作りに生まれ変わった銭湯なのだ。本格フィンランド式サウナということで、照明なし、テレビなし、音楽なし、のないものづくしの空間で、アロマ水のセルフロウリュウを楽しめる。新しい木の香りとアロマが混ざって鼻孔を優しく刺激しながら浴びる蒸気。露天水風呂もフレッシュに冷えていて、ととのい用の椅子もあり。熱湯も気持ちいいし、すっかりこの施設が気に入ってしまい、思わず「いやー最高でした!」と店員さんに伝えてしまった。人とのコミュニケーションをあまり得意としないわたしが。それくらい素敵な銭湯だったということだ。

帰宅して『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』を観た。たつろうの「温泉街を散策する人」が好きだった。温泉街を歩いていて「もうこっち何もなさそうだね」って言うのが“あるある”だとたどり着ける思考の豊かさ。ラパルフェ都留のウッディ、阿部寛大泉洋のレパートリーは絶品なので優勝も納得。

12月18日日曜日

近所のパン屋で買ったパンで朝・昼兼用の食事。昼に梅田ブルク7で『THE FIRST SLAM DUNK』を観る。2回目も初回と同じくらい泣きはらしてしまった。歳を重ねて、桜木花道のことが前よりもずっと好きになっていることに気づいた。スラムダンクに初めて触れた妻は、「口を開けたまんま、ずっと夢中になってたよ、あたしゃ」とちびまる子ちゃんのような口調で興奮気味に感想をもらしていた。『THE FIRST SLAM DUNK』の良さというのは、わたしに蓄積された『スラムダンク』の記憶に起因するところがあまりに大きいのではないかと思っていたのだけも、『スラムダンク』を経由していない者が捉える単体の作品としてもしっかり強度を持っているようだ。おかげさまで『スラムダンク』新装再編集版の購入の許可もいただけました。今夜のM-1鑑賞に備え、梅田の阪急のデパ地下でパックのお寿司やコロッケなどを買い込む。

帰宅してすべての準備を整え、敗者復活戦からテレビにかじりつきっぱなし。いやー今年の敗者復活戦はすごかった。全組おもしろいのはもちろんとして、令和ロマン、オズワルド、かもめんたる、ななまがり、ヤーレンズ、ケビンス、ダンビラムーチョシンクロニシティ、ハイツ友の会、ママタルト、マユリカあたりが特に好きでした。ママタルトとマユリカは来年こそ決勝に!この日は、ケビンスの山口コンボイの昭和のハンサム感と身体能力がテレビに見つかったような気がする。『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』によれば、テレビ局の廊下でマツコ・デラックスとすれ違った際に「あなた、稀代の男前ね」と言われたそうな。“稀代の”という冠は羽賀研二の者と思っていたけども、これからは山口コンボイの時代。チョキピース。

決勝に関しては、とにもかくにもウエストランドおめでとうございます!の一言であります。心からうれしい。今回の決勝の10組の中においても1番応援しているコンビではないけども、彼らが報われるのが1番うれしい。そういうコンビである。Twitterでははやくも頓珍漢な批判が多々流れてきて、脳が疲れてしまった。「警察に捕まり始めている!」という味わい深い日本語を何度も噛みしめます。スーパー三助があげていた三四郎小宮さんのまさしく号泣というような喜び方にもらい泣き。今大会で1番興奮したのは、さや香の1本目。2005年のブラックマヨネーズの掛け合いの凄みを更新してきた。話芸の洗練に、自然な身体性が加わっていてとにかく圧巻。このネタに絶対的な自信があるからこそ、決勝進出が決まった際もファイナルラウンドに勝ち進んだ際も、「当然でしょ」というような態度だったのだ。あれで優勝できなかったのはしんどいだろうな。昨年からのオズワルドしかり。ちなみに、決勝進出が決まった時の喜び方で1番好きだったのは、ヨネダ2000の抱擁。愛ちゃんの表情から言葉にならない誠への深い愛情を感じる。母のようにも、子のようにも見える顔。ロングコートダディ男性ブランコ真空ジェシカの3組の漫才もあまりに好き過ぎて、冷静ではいられなくなってしまうほどに興奮した。興奮のあまり激しい頭痛に襲われてしまい、ロキソニンを飲んで眠る。

12月19日月曜日

緊張感のある商談を終えて、年内の仕事はこれでもう終了という気分。お昼はローソンのサンドイッチを車の中で食べた。車の中で食事をするのは嫌いではない。NewJeansの新曲「Ditto」(MVも素晴らしい)をリピート。今年はNewJeansの年だったと言ってもいい。

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昨日放送の『ボクらの時代』に『Silent』制作陣が出演していて、そこでの脚本家・生方美久の発言が盛大に燃えていた。たしかに発言に多少の危うさはあったなと思うけど、自分たちの尺度にはめこみ無理やりに火をつけていくやり方は何度見てもげんなりする。正しさという庇護のもとに自分の会得している知識とリテラシーを振りかざして気持ちよくなっているだけ。あと、「あいつ、最近調子よくてなんかムカつくな」という嫉妬心。これも結構多いのだ。夜は『CDTVライブ!ライブ!クリスマス4時間SP』を観る。King & Prince、なにわ男子、Snow Man星野源official髭男ismという私好みなラインナップを惜しみなく前半に固めてくれたので、後半は離脱して、『スラムダンク』の新装再編集版を読み始める。陵南との練習試合まで。

12月20日火曜日

もう終了という気分で挑んでいた仕事でしんどいことがあり、気疲れ。心を癒すため映画『C’mon C’mon』(今年ベスト級)のサウンドトラックを流しながら車を走らせた。「I Won’t Remember?」という曲がとびきりに好き。ずっと食べてみたいと思っていた赤福の「白餅黑餅」を妻が買ってきてくれていたので、ほうじ茶を淹れて食べる。昨年から発売された赤福の新作で、見かけてもだいたい売り切れていて、この日も最後の1箱であったらしい。HPの商品紹介を読んでみると、「影があるということは、そこに光もあります。これから光に向かって進んでいく、その一歩に“白餅黑餅”がなればと・・・、そのような意味を込めながら、誕生しました。」と書いてあり、胃もたれした。黒餅はこし餡の赤福ではなく、黒砂糖味のお餅。白餅は白小豆とのことで、いつもの赤福とはまた別ベクトルの素朴な味で美味しかった。赤福のピンク色の包み紙、かわいいですよね。

12月21日水曜日

気分の落ち込みを感じる。お昼はドトールでチェダーツナのホットサンドと野菜ジュース。車での移動中に昨夜の『爆笑問題カーボーイ』(先週のピョン吉Tシャツをめぐる光代社長とのやりとりのフリートークも最高でした)を聞いて、ウエストランドの優勝がとにかくストレートにうれしい太田さんにグッときてしまい涙目に。田中さんの井口へのぶち切れをひさしぶりにジングルで聞けたのもうれしい。

帰りに、矢舟テツロー『うた、ピアノ、ベース、ドラムス。』を聞いた。野宮真紀とのデュエット「59番街橋の歌」「陽の当たる大通り~ヒッピー・デイ」が絶品だけども、「ドレミ」が1番好き。『小西康陽小西康陽を歌う』のアンコール配信が決まったとのことで、時間を見つけて観なくては。夕食はおでん。うずらの卵の入った練り物があってうれしかった。気分が優れないので、楽しみにしていた『水曜日のダウンタウン』を観ることなく、ひたすら本を読んでいた。赤染晶子『じゃむパンの日』と平松洋子『焼き餃子と名画座―わたしの東京 味歩き―』を交互につまみ読み。平松洋子の書く東京の風景に懐かしい気持ちに。