青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

最近のこと(2022/12/07~12/11)


バーガーキングが関西圏への出店を強化していて、生活圏内にもバーガーキングが数店舗できた。OPENします!という予告看板が1カ月以上前から出ていたので、その日を指折り数えて待ち望んでいた。タイムマシーン3号YouTubeチャンネルの「ケンタッキー初台店 記念すべき最初の1本目を食べたいので早朝から並んだ」という企画が大好きなので、初日から並んでみようかと思ったくらいに。あまり馴染みのないバーガーキングであるから、そもそも看板メニューである“ワッパー”とは?というところから勉強していきたい。ワッパー(Whopper)は、“並外れて大きなもの”という意味で、通常のハンバーガーの1.7倍のサイズ感であるらしい。ワッパーJr.というが存在するのがまたややこしいのだけど、重量でいうとワッパーの半分くらいのワッパーJr.でも通常のバーガーよりは大きいようだ。ワッパーコンボ(ポテトとドリンクのセット)を注文してみたのだけど、パテはジューシーでフレッシュな野菜がたっぷり入っているし、とにかくでかいので満足感がとても高い。もちろん、値段もそれなりに高いのだけど。ポテトも他のチェーン店とはまた別のベクトルで(言語化できないのだけど)、美味い。ビールやレッドブルもメニューにあって只者じゃない感がビンビンだ。これだけの味を擁しながら日本においては、マクドナルド・モスバーガー・ケンタッキーの3強はおろか、ロッテリアファーストキッチンドムドム、下手したらウェンディーズより根付いていないのはなぜなのだろう。それはバーガーキングが日本展開の撤退と進出を繰り返しているからに他ならない。バーガーキングの日本でのフランチャイズ事業は、西武商事→JT→ロッテ&リヴァンプ(クリスピークリームドーナツの日本展開もこの2社が牽引した)→韓国ロッテ→アフィニティ・エクイティ・パートナーズ(香港投資ファンド)と紆余曲折を経ている。復活するたびにコアなファンが歓喜の声を上げ、店舗に行列している。わたしの中でバーガーキングのコアなファンと言えば、井上三太の漫画『TOKYO TRIBE2』の武蔵野SARUの面々。リーダーのテラさん(『まんが道』の寺田ヒロオに似ているからテラさん!)がワッパーをおごってくれるシーンは最高にイカしていた。同様にして、『TOKYO TRIBE2』の武蔵野SARUの溜まり場であるペニーズ(店名はデニーズのパロディだが、中身はロイヤルホスト)のトロピカルアイスティー(主人公が必ず注文する)は今でもわたしの中でヒップな飲み物だ。井上三太の作風は自分の肌にはまったく合わないのだけども、前述したようなワッパーやトロピカルアイスティーといった細部が活き活きとしているので、妙に印象に残っている。松本大洋の従妹だからという理由で手に取り、『ぶんぷくちゃがま大魔王』『魂列車』『隣人13号』『TOKYO TRIBE』シリーズの2あたりまでしっかり読み込んだ。思い出されるのは『TOKYO TRIBE』単行本表紙の布の質感とか『TOKYO TRIBE2』単行本のサイズとか。あの時代の空気まで一緒に蘇ってくるようだ。

12月7日水曜日

リリースされていたPUNPEE『Return of The Sofakingdom』を聞きながら通勤。お昼は季節の風物詩としてグラコロバーガーを食べた。グラコロバーガーの世間への異常なまでの求心力は“グラコロ”という語感に起因するものであって、肝心の味はたいしたことないと思っているのだけども、なんだかんだ毎年必ず1個は食べている。「母がグラコロの大ファンで、この季節になると“今日の晩御飯はグラコロでいいわよね?”と食卓にマクドナルドが並ぶんだよね」という小話を中学時代に友人のムラタから聞いて以来、グラコロは特別な存在になっている。自分の両親はマクドナルドを美味しそうに食べるタイプではなかったので、親とマクドナルドという離れた印象のふたつの事象が強く結びついている点に興奮を覚えたからだろうか。ムラタのお母さんは今でも元気にグラコロにかぶりついているのだろうか。

少し風邪気味だったので早めに帰宅。なにわ男子の大橋くんがCMしているジキニンファーストネオを飲んだ。あのCMは大橋和也の秘める“かわいげ”みたいなものがいかんなく発揮されていて良いと思う。家で残したパソコン仕事をしながらFNS歌謡祭を楽しんだ。数ある年末音楽特番の中でもFNS歌謡祭はやっぱり特別だ。何と言っても、武部聡志率いるバンドメンバーによる生演奏は贅沢だし、今年は3年ぶりのグランドプリンスホテル新高輪の「飛天」が会場。オープニングアクトマツケンサンバなのもバッチリ。マツケンサンバを目玉みたいに番組の後半まで引っ張るような番組もあるけど、あれは賑やかしの縁起物なのだから最初にドーンとやってもらって、あとはもう記憶から消すのが最適なのだ。森高千里×乃木坂46「ジン ジン ジングルベル」、満島ひかり×三浦大知上を向いて歩こう」、SEVENTEEN「DREAM」、Snow ManJUICY」「勝手にしやがれ」(沢田研二カバー)、浜崎あゆみ「appears」「Who...」、氷川きよしさよならの向こう側」、満島ひかり×曾田茂一×長岡亮介ひこうき雲」あたりが良かったけども、ベストアクトは文句なしにOfficial髭男ismの「Subtitle」だろう。楽曲のすばらしさや圧倒的歌唱力はもちろんのこと、各楽器が奏でるフレーズも研ぎ澄まされていて、聞き入ってしまった。家に『YELLOW MAGAZINE 2021-2022』があるのを思い出し、星野源と藤原聡の対談を読む。シンセサイザー談話が白熱している様子が楽しいし、“かわいい”と言われるのが嫌で丸坊主にしようか葛藤していた時期が藤原くんにあったというエピソードも採集できてよかった。若林正恭星野源→藤原聡のかわいいを巡る自意識の系譜。

水曜日のダウンタウン』を録画で追いかける。クロちゃんの「モンスターズラブ」に夢中。後出しですが、ミクちゃんのビジュアルの異様なWACK感と豆柴の大群からカナデ脱退というニュースで、豆柴の大群の追加候補なのかなと思っていたのだけど、ほぼ全員が候補だったとは。お風呂に入る前に、猫戦『蜜・月・紀・行』をレコードで聴く。ひさしぶりに現行の新しいバンドを好きになったので、猫戦について文章を残したいとずっと思っているけども、音楽のすばらしさについて書ききる言葉を自分は持ち合わせていないなと感じて筆が進まない。

12月8日木曜日

仕事で難波周辺を歩き回る。海外からの観光客がだいぶ戻ってきていて、みんな大きな買い物袋を抱えている。ちょうど1年くらい前に『ラヴィット』でニューヨークの嶋佐が披露した「爆買いベジータ侍」が好きで、たくさん買い物をしている人を見かけると頭に中にいつも「爆買いベジータ侍」が浮かび上がってきてくれて楽しい。今日の晩御飯はブリの照り焼きだった。『ダイアンYOU&TUBE』の「好きなごはんのおかずは?」という動画がとても好きで、その中でユースケがブリの照り焼きを「ごはん何杯でも食べられる」とチョイスしていて、それを観てからというもの、それまでなんとも思っていなかったブリの照り焼きがわたしの大好物になってしまった。ブリの照り焼きを推すユースケに対して津田が「ブリは部位に当たりハズレがあって、ハズレの部位を嫁が進んで食べている姿を見ると泣けてくる」というエピソードを被せてくるのもすごく良い。生活していくということの細部、その豊さと切なさが活き活きと切り取られた挿話だ。あと、塩だけで煮たカボチャが食卓に登場した。『暮らしの手帖』の表紙や挿絵でお馴染みの牧野伊三夫の著書『かぼちゃで塩を煮る』に影響を受けたものらしい。食べ物に関するエッセイで、食べてみたいな、作ってみたいなと思いを馳せているうちにあっという間に読み終わってしまう。読みやすい文章なのだ。肝心のカボチャは、本に書いてある通り、塩で煮るだけでも十分に甘く、ホクホクで美味しかった。

この日のお風呂にはとっておきの「たべっ子どうぶつ」のバスボールを使った。バスボールから「やぁ」という感じでどうぶつのミニフィギュアが飛び出してくるのがとってもキュートで毎日使いたいくらいなのだけど、こいつは1個500円の嗜好品の類。サル以外ならどれが当たってもうれしいなと思ったらサル。身を清めて観た『Silent』9話。想の妹を演じる桜田ひよりの圧倒的な存在感の華と細かい演技が良い。次で最終回かと思っていたら、11話まであるらしいのでうれしい。

12月9日金曜日

京都まで車を走らせたので、車内でリリースされたばかりのSZA『SOS』(傑作)を流しながらのミニドライブ。

Nobody Gets Me [Explicit]

Nobody Gets Me [Explicit]

  • Top Dawg Entertainment/RCA Records
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さらに、ママタルトのGERAでのラジオ『ラジオ母ちゃん』、stand.fmでのラジオ『ラジオまーちゃん』を聞いた。ママタルトを愛おしいと思う気持ちが止まらない。ちなみに、ママタルトの大鶴肥満さんも“かわいい”と言われることに抗うべく、風俗愛好家であることやキモヲタな気質を懸命にアピールしている。抵抗の仕方が武闘派でかっこいいぜ。先週の『わらたまドッカ〜ン』がママタルトvsケビンスというフレッシュかつ明るい最高のカード。来週はオジンオズボーンvs磁石で、人によったらタイプスリップしたと思いますね。プロ野球の現役ドラフトでヤクルトスワローズにロッテの成田翔が加入。秋田出身の小柄なサウスポーということで、ドラフト時からヤクルトファンは誰もが石川を重ね、獲得を望んでいた存在だったのでうれしい。『スッキリ』にNUMBER GIRLが出演。今回の再結成で1回だけライブを観ることができたので満足。心地よい轟音を浴びた。

仕事の後、後輩が来月から住む新居を見学し、どこにどんな家具を置くかの相談に乗る。帰宅して、今夜はホットプレートでお好み焼き。天神橋筋商店街にある名店『双月』の生地の練り方を参考にしたということで、今回のお好み焼きはとびきりフワフワと軽い食感で美味しかった。ちなみに、大阪に人にとってお好み焼きはおかずなのか?という疑問は、ほぼNoと言っていいだろう。来阪したばかりのわたしもついつい聞いて尋ねてしまったものだけども、お好み焼きで白米を食べる人にあったことは今のところない。「別に食べてもいいけど、太るしね」って感じ。お好み焼きを食べながら、録画してあったNHK『100カメ』の駄菓子メーカーの回を観る。パインアメの広報が優秀であることやオリオンのココアシガレットがSNSでの反響で最高収益を出していることなどを知れた。オードリーのテレビタレントとしての優秀さを端的に味わえるのはこの番組な気がする。寝る前にFODで井筒和幸の『岸和田少年愚連隊 BOYS BE AMBITIOUS』(1996)を観る。

井筒和幸なんて全然好きじゃないけども、これと『ガキ帝国』(1981)は名作。フィルムから大阪の町の匂いが香ってくるから。主演のナインティナインも好演。これを今の監督が、今の芸人で同じようなものを撮ろうとしても事故にしからないので、ナインティナインの天性の華はもちろん、井筒和幸の演出が何かしらの効力を発していたのは確かなのだろう。宮迫博之宮川大輔はメインキャラなのでもちろんだが、野性爆弾、FUJIWRA、ブラックマヨネーズ吉田もしっかり見つけられるくらいに出演している。

12月10日土曜日

赤染昌子『じゃむパンの日』が欲しかったので梅田の本屋を2軒ほど回ったけども在庫なし。梅田のデパートはクリスマス前だからかどこも賑わっていた。阪急百貨店の1階コンコースのイルミネーションは毎年圧巻だ。コンコースのウィンドウは『不思議の国のアリス』をイメージしたマリオネット劇場となっていて、それも見物。お昼にロイヤルホストでシーフードドリアを食べる。スペシャルセットにしたので、サラダとオニオングラタンスープ付き。そのどれもが美味しくて、とても満たされた気持ちになる。腹ごなしに天神橋筋商店街を散歩して帰る。午前中から忙しく活動していたので、急激に眠気に襲われて少し昼寝をした。

夜は友人たちがくれた圧力鍋を使って豚の角煮を作ってもらい、テレビで『THE W』を観ながら食べた。ヨネダ2000が炸裂していてうれしくなってしまう。1本目も2本目も大好き。大きなモヒカンのことしか考えられなくなってしまう犬がかわいすぎて涙を流しながら笑ってしまった。天才ピアニスト、紅しょうがはもちろん、敗退したエルフ、Aマッソ、フタリシズカかりこる、にぼしいわし、爛々などもおもしろくてよい大会。あと、後藤輝基の司会は音だけで聴いているとこんなにも今田耕司に似ていたっけと思った。『ドキュメント72時間』の「“どろんこパーク” 雨を走る子どもたち」の再放送を録画で。噂にたがわぬ傑作回。川崎に吹く風みたいなものを画面から感じた。

12月11日日曜日

朝起きて珈琲を淹れて、山崎製パンの「薄皮あんぱん」を食べる。5個のミニあんぱんを妻が2個、わたしが3個で分け合った。やっぱり5個がいいよな。昼過ぎに歩いて難波まで出かける。途中どこかでお昼を食べようと思ったのだけど、どこも決定打に欠け、難波にたどり着くとチェーン店すら行列している。なんばパークスの近くにある「錦そば」という立ち食い蕎麦屋だけ並ばずに入れそうだったので、渋々と入ってスタミナうどんを注文してみたのだけど、これが美味かった。こしのないうどんで出汁を楽しむ。スタミナうどんというと、肉や餅が入っているのを想像するのだけども、天ぷらうどんに生卵トッピングされたものだった。うどんを食べ終え、なんばパークスシネマで『THE FIRST SLAM DUNK』を鑑賞。井上雄彦の絵で湘北のメンバーが一人ずつ動き出していく演出で気づいたら涙を流していて、そこからはもうずっと泣いていた。あぁ、自分はこんなにも『スラムダンク』を愛していたのをすっかり忘れていた。『ドラゴンボール』『幽遊白書』『スラムダンク』の御三家との関係性というのは年齢によって変わっていくもので、2~30代になると、冨樫義博がトップオブトップの作家に君臨していくので『幽遊白書』、しかし小学生までは断トツで『ドラゴンボール』で、そして最も多感な10代においては『スラムダンク』こそバイブルであった。

登場人物のポジション、背番号、身長なんかもバッチリ記憶していた。今でこそコミックスは手元にないのだけど、台詞やコマ割りは身体に染みついていて、それらが解像度の高いアニメーションと声優の演技で目の前でビジュアル化されていく快感に、ひたすら涙が止まらなかった。スポーツ漫画であるからその身体性表現で大いなる感動を呼び起こすのはもちろん、キャラクター造形とその台詞廻しも群を抜いているので、キャラクター達が発する一言や何気ないやり取りにもひたすら涙。「静かにしろい この音が……オレを甦らせる。何度でもよ」「そんなタマじゃねーよな」「オレは今なんだよ!!」「ドリブルこそチビの生きる道なんだよ」…涙。ハンカチが乾かないくらい泣いた。隣に座った家族連れのお父さんも終始目元を拭っていた。わかる、わかるよ。魚住やバスケ狂・テツ沢北(大好き!!)が出てこないとか言いたいこといろいろあるのはわかるけど、傑作、大傑作。劇場で観て良かった。わたしが湘北で1番好きなのはもちろん三井寿です。宮城リョータの"2年生"って感じもたまらなく好き。あとは、みんな大好き水戸洋平と小暮公延。ライバル校から選ぶなら、大栄学園の土屋淳と陵南の福田吉兆。映画を観終えて、心斎橋で妻と合流。大丸で少し良いお弁当箱を買ってもらったので、お返しにセントジェームスのウェッソンをプレゼントした。クリスマスだし。寒かったけど、スーパーに寄りたかったので歩いて帰った。帰宅して、M-1の直前特番と『家、ついて行ってイイですか?』3時間スペシャルを観た。上沼恵美子の代わりが山田邦子。ともこ姉ちゃんがよかったな。TBSドラマ『アトムの童』が最終回。もう書きたいことないんだなとわかる無駄過ぎる後半に笑ってしまった。プレゼントでもらったSHIROのひのきのバスソルトを淹れたお風呂に本を読みながら長く浸かって、出てから少し読んで就寝。