青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

最近のこと(2022/12/24~12/31)


“年末年始”と一括りにされているけども、気持ちとしては“年末/年始”であって、年末と年始の間には大きな分断がある。もう全くの別物なのだ。そして、わたしはいつだって年末の側に立っていたい。それは「休みがまだまだたくさん残っている状態だから」というのがもちろん第一。街行く人の顔にも余裕がある。でも、わたしの年末への偏愛はそれだけではない気がするので、グッと考えてみる。年末と年始では色が違うように思う。年始は漂白されたような美しい“白”で、年末は少し濁ったような濃紺だ。年末には、一年間のあらゆる想い(そこには罪や罰も含まれる)がパンパンに積み重なっていて、なおかつそのすべてがあたかも許されてしまうかのような甘やかでだらしない空気感がある。そこがたまらなく好きなのだと思う。年始はすべてが浄化され爽やかで、ツルっとしていて物足りないのだ。

“年末”の音楽と言えばベートーヴェン交響曲第9番。わたしは残念ながらこの年末に開催される「歓喜の歌」のコンサートというのを体感したことがないので、どうしても思い出されるのは朝間義隆『俺たちの交響楽』(1979)というB級映画だ。武田鉄矢の初主演映画で、これがなかなか味わい深い。『ウォーターボーイズ』(2001)以降のやや奇抜なモチーフに一丸となって奮闘する青春コメディ邦画(『がんばっていきまっしょい』『ロボコン』『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』など)の先駆けと言えるかもしれない。何と言っても、武田鉄矢の存在感が素晴らしく、冴えない青年のしみったれたブルース、それに付随する人間のみっともなさ、愛おしさというものを身体性と底抜けの明るさで表現できる稀有な役者であった。

ポップソングであればどうだろう。ユニコーンの「雪の降る町」くらいしか思いつかないので、他にどんなものがあるのか調べてみた。[Alexandros]に「12/26以降の年末ソング」というズバリなタイトルの曲があるらしい。それよりも、タイピングしてみることで、改めてバンド名に鍵括弧がついていることのほうが気になってしまった。さらにはレミオロメンに『水曜日のダウンタウン』でも紹介された「大晦日の歌」というのがある。「等々力から年越しそば買って帰って」という歌い出しが味わい深い。ときに、Wikipediaに記載されていたレミオロメンのバンド名の由来、はじめて知りました。

バンド名は、メンバーでジャンケンをし、勝った順に1文字、2文字、3文字好きな文字を選び繋げたものである。藤巻はイギリス出身のロックバンド、レディオヘッドが好きなことから「レ」、神宮司は当時の彼女の名前と自分の名前の頭文字をとって「ミオ」、前田は『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の表紙に描かれている路面電車から「ロメン」を取り、それらを繋げて「レミオロメン」とした

神宮寺・・・今は何をやってんだろと調べてみたら、ディーン・フジオカのバックバンドを務めているらしい。エピソードに隙がない。とまぁ、パラパラとあるようだけどもどれも小粒。やはり「雪の降る町」が至高だろう。年末の空気感をあまりに見事にくみ取った音色。わたしは、この曲のベースラインのようにして生きたい。

だから嫌いだよ
こんな日に出掛けるの
人がやたら歩いてて 用もないのに

大名曲であるのに、文句から始まるところも好き。「世の中は色々あるから どうか元気で お気をつけて」という締めも泣けるではないか。

12月24日土曜日

クリスマスイブである。妻は仕事にでかけてしまったので、自宅に籠って、溜まったコンテンツを消化していく。佐久間宣之がさらば青春の光とともに仕掛けるバラエティ『インシデンツ』をDMM TVで3話まで視聴。

Netflixでの『トークサバイバー』は構造にいまいち乗り切れなったけども、これはエモーションが構造を超えていて、おもしろい。演者としてのみなみかわ・ヒコロヒーもバッチリ。2022年の顔と言っていい2人だ。続けて、『小西康陽小西康陽を歌う』のアンコール配信。「動物園にて」「連載小説」「悲しい歌」・・・どれもグッときたけどもやはり、嗚咽しながら「マジック・カーペット・ライド」を歌う姿にもらい泣き。これまでの小西康陽のソングライティングのフィーリングが束になって押し寄せてくるようだった。思わず、夏木マリ印象派コレクション』を聴き直す。

古着屋の通販で注文していたU.S.ARMY ECWCS GEN3 LEVEL3が届いたので、奇しくも自分へのクリスマスプレゼントとなった。軍物のポーラテックのフリースジャケットでとても暖かい。これを下に着れば、真冬でも薄手のコートで問題なしなのだ。さっそく着て、散歩に出掛けてみる。堺筋本町まで歩き、紀伊国屋書店を覗く。『silent』のシナリオ集が大きく展開されていた。いきなりシナリオ集が出せるなんて。コメディを書きたいとインタビューで答えていた生方美久の次回作が心から楽しみだ。最後のほうでイチャモンはついたものの(題材選びの時点で覚悟済みだとは思う)、『silent』は快心の一作だったと思う。切なさを含んだ笑顔、すなわち単一ではない感情表現を完璧にこなしてみせた目黒蓮。そして、クノールカップスープの印象しかなかった川口春奈の好演にも心撃たれ、もうすっかりファンだ。「清原果耶で見たかった」とかいってしまい申し訳ない気持ちなので、YouTube「はーちゃんねる」をチャンネル登録。185cmの目黒蓮の横にいたので気づかなかったが166㎝と高身長で、ファッションも男前。comoliやDESCENDANTのスウェットを大きめに着ていてかっこよい。

歩きながらMICHELLEの2ndアルバム『AFTER DINNER WE TALK ABOUT DREAMS』を聞く。

こんなにも自分の好みにジャストな音楽のリリースを12月になるまで気づけなかったことを悔やむ。タイトルも最高ではないか。夜ご飯は『ホーム・アローン』を観ながら、鳥鍋をつつく。ひさしぶりに字幕で観たのだけど、泥棒ハリーを演じるジョー・ペシと吹き替えを担当している青野武のシンクロぶりに驚く。青野武は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクの声も吹き替えしており、実に偉大なる声優だ。お風呂でiPhoneから 『Merry Christmas From Jose James』を流して聞いた。「My Favorite Things」が珠玉。

12月25日日曜日

メリークリスマス。営業先で訪れた阪急宝塚線岡町駅が妙に印象に残っていたので、「次の住まい候補としてどうだろう?」と妻と散策に出掛けた。昭和-平成の良き部分を残した商店街と町並みがとても好みだ。ネオンの外観がノスタルジーを誘う「カフェ ドラン」という喫茶店でカレードリアを食べる。2階の窓際の席から木々を見下ろせるのが落ち着く。日曜日なので閉まっていたけども、他にもよさそうな喫茶店がチラホラ。古くから営業していそうなうどん屋やケーキ屋があるのも気に入った。駅から周辺1キロを歩き回ってみると神社や古墳にも出会える。手頃なマンションがあればいいけども、引っ越しのことを考えると越しが重い。帰りの車窓から立派な球場が見えた。調べてみると「豊中ローズ球場」というそうな。大阪であることだし、近鉄バファローズのあの偉大なる助っ人タフィ・ローズの業績を称えてのことか!?と思ったら、豊中市の市花が薔薇であるからとのこと。そして、わたしはローズよりラルフ・ブライアントのほうが好き。

夜ご飯にチキンやピザなどクリスマスっぽい食事をとりながら、昼に放送していた『サ道~2022年冬~』を観る。サウナ施設の情報性などを完全に捨てたことで、作品としての質が高まった。時代の空気を循環させたサウナドラマだった。とにかくゲストの岡山天音が絶品。腹の底が見えないというか、微小な感情の揺れ動きだけで人物像を作り上げている。ナカちゃんさん(原田泰造)の身体がカリカリに絞れられていた。前シーズンの少しだけ脂が乗っている頃合いのほうがサウナーとしての見栄えはよかったように思う。愛車がトヨタスプリンターカリブなのは最高。カリブとか日産ラシーンとか四角い日本の旧車への強い憧れがある。

渡辺京二の訃報。90歳を超えていたので覚悟はしていたものの、かなり影響を受けてきた思想家なので寂しい。『万象の訪れ わが思索』『無名の人生』『細部にやどる夢 私と西洋文学』『ファンタジーの周辺 夢ひらく彼方へ』など付箋だらけの本がたくさんあるけども、1冊だけ選べと言われたら、やはり代表作の『逝きし世の面影』だろう。

江戸のイメージが一変する。かといって、パトリオティズムの本ではなく、渡辺京二が一貫して書き続けてきた“名もなきもの”もしくは“小さきもの”へのまなざしがに満ちた名著だ。

12月26日月曜日

仕事で明石-須磨を回る。海の見える街で暮らすのにも憧れる。「海の見える街」といえば久石譲による『魔女の宅急便』のサウンドトラックの名曲ですが、この曲のコード進行とhydeのソロ曲が酷似していると騒いでいるクラスメイトがいたのを妙に覚えているのだけど、どんな曲だったか完全に忘れた。神戸方面はもともと車が混雑するのだけど、年末なのでひとしお。渋滞の時間潰しに『ダイアンのTOKYO STYLE』ユースケ復帰回を聞く。2人ともうれしそうでなにより。『ナインティナインのオールナイトニッポン』の「岡-1グランプリ」も聞いた。ミキ晃生とランジャタイの絡みが絶品。

仕事終わりに喫茶店に寄って、『silent』最終話についてのエントリーを書き上げる。

物語の骨組みのようなものを掬い上げることはできたかなと思うのだけども、枠からはみ出す細部の魅力についての言及を捨ててしまっている。物語全体の骨組みやフィーリングを拾い上げつつ、「あそこの役者の表情がよかった」「あのシーンの構図が!」というような画面を観る者の躍動を、1本の文章の中に綺麗に組み込んでみたい。すごく難しい気がするけど。帰宅して『エルピス-希望、あるいは災い-』最終話を観る。“詩”みたいな作劇が好きなので、このすべてのことに真っ当な”意味”と怒りがある作風が好みかと言えばそんなことはないのだけど、抜群におもしろかった。眞栄田郷敦という役者のジャンプアップを観届けられたこと、そして岡部たかしのテレビでのブレイクスルーがなにより。

12月27日火曜日

歯ブラシをシステマに変えてみたら、その磨きやすさに感動。薄型ヘッド、すばらしいではないか。完全に年末気分で、仕事はほとんどやる気なし。田中ヤコブ『IN NEUTRAL』を聞きながら、八尾方面を回る。

「八尾グランドホテル」を横目に、サウナに入りたい気持ちをグッと堪える。帰宅して『川島の穴』と『ファミリーヒストリー川島明回を観る。2022年とは川島明の年であった。『マルコヴィッチの穴』オマージュの前者もバカバカしい素晴らしさだったが、『ファミリーヒストリー』が抜群の良さ。亡き母とのエピソードはもらい泣き。

傷つけるのも勇気や元気を与えるのも言葉やから、
それを仕事にしたのだから、良いほうに使って下さい

12月28日水曜日

この日が仕事納めなので、ミツメ提供の20th century「水曜日」を聞いて鼓舞する。この曲のかかるニベアメンのCMの「なんか最近調子いいよね?」についてついている「*生活全般のこと」という注釈がツボで、「最近調子どう?生活全般のことだけど」というように日常会話に取り入れていきたいと思っているのだけど、画面の端に小さく書いてあるあの文字のパロディにどれだけの人が気づいてくれるだろうか。仕事納めということで早めに帰宅できたので、近鉄に乗って布施まで赴き、「なにわ健康ランド湯~トピア」で一年の披露を労わることに。混んでいたけども、サウナと水風呂の機能性の良さで、サクっと気持ちよくなれた。寒さで滞っていた血行が改善されてスッキリ。上本町駅まで近鉄に乗って、そこから歩いて帰ることに。サウナで温まった身体を寒気で冷やすのである。この日はayU tokiOの新曲「ファミリー・コンテンツ」が配信されたので、リピートしながら寒空の下をグングンと歩いた。

日テレの音楽特番『発表!今年イチバン聴いた歌~年間ミュージックアワード2022~』は出演者、出音、舞台、照明、どこをとっても全体的にショボかったけども、NewJeans出演には感謝。そこだけ録画して2回観た。そして、『ゴールデンラヴィット!』の素晴らしさだ。川島明と田村アナをはじめ、出演者の顔を観ているだけで明るい気持ちになれる。夢のように楽しい歌と笑いの祭典、わたしが好きだった“テレビ”がここにはある。『笑っていいとも!特大号』や『オールスター感謝祭』を超えてしまったような気がする。「初回にして!」なのか「初回だからこそ」なのかはまだわからないけども、とりあえずアニマルパラダイスと嶋佐OASISは永遠に記憶したい。ときに、嶋佐OASISバンドの演奏と音の良さよ。サンボマスターもだけど、どの音楽番組より生々しくて最高でした。

12月29日木曜日

昼に近所の蕎麦屋で天ぷらの盛り合わせ、だし巻き卵、ざる蕎麦を食べる。美味い蕎麦屋が近所にあってうれしい。実に満ち足りた気分で、散歩。ちょうどいい花瓶を求めて花屋をいくつか廻るも見つからず。『silent』最終回に触発されて、かすみ草を飾ろうかと思ったが、シーズンオフだからなのかやたらと高いのであきらめた。歩き疲れたので、谷町四丁目にある喫茶店『街の灯り』でプリン納め。いつもよりカラメルが苦く感じた。電車で梅田へ行き、L.L.Bean、Aesop、無印良品などを見て廻る。Aesopのお香を買おうかと思っていたのだけど、3種類試し嗅ぎしたものの、いまいちピンと来なくて保留。最近は価格が一桁違うお手頃な無印良品のお香を愛用していて、食事の後などにテレビを見ながら煙を楽しんでいる。色々試してみたけど、シダーウッド、ジャスミン、白檀、緑茶あたりがお気に入り。伊藤忠商事L.L.Beanの国内ライセンスを取得というニュース。日本限定の変な規格が出てくるのかと思うとゲンナリする。「OLD L.L.Bean」としてビンテージが市場で価値を持ち出すことでしょうか。

忘年会に向かう妻と解散して、わたしは梅田のシネリーヴルへ。三宅唱『ケイコ、目を澄ませて』を鑑賞。これは三宅唱の最高傑作では。岸井ゆきの三浦友和、三浦誠己!!と興奮しまくりたいところなのだけど、目がすっかり悪くなってしまったのにも関わらず、シネコンの巨大スクリーンのノリで最後列の席をとってしまい、シネリーヴルの小さなスクリーンでは画面の細部まで堪能できなかった。もっと大きなスクリーンと音響の整った映画館でも上映して欲しい。映画館を出て、吉野家で牛丼を食べて帰る。『エルピス-希望、あるいは災い-』最終話が数日かけてわたしの身体に振動したのであった。帰宅して『オールザッツ漫才2022』を途中まで観た。ニッポンの社長ロングコートダディを中心としたノビノビとした空気感がある。ニッポンの社長広瀬香美ネタ、良かった。「よしもと漫才劇場 8周年記念SPネタ」で披露した漫才も素晴らしかった。マユリカは来年こそはファイナリストになって、ネタ組に昇格して欲しい。

12月30日金曜日

自然の匂いが嗅ぎたくなって、思い付きでレンタカーを借りて曾爾高原へ。この日の車は日産ノートだ。槇原敬之サニーデイ・サービス、the1975などを聞いてのドライブ。シーズンオフだったので、ほとんど人はおらず。金色には輝いていなくても、高原の空気とススキは十分に美しい。高原の入口にある「曾爾高原温泉 お亀の湯」が実に素晴らしい施設だった。泉質も良いし、サウナはマイルドながら毛穴一つ一つから汗が綺麗に噴き出る仕様。特筆すべきは水風呂で、天然の湧き水で肌触りがとてもやわらか。ひさしぶりに心地よい水風呂に入ったなという悦に浸る。山々の緑と風が楽しめる開放感抜群の外気スペースは、感謝の言葉しか出てきません。サウナ、水風呂の後にチェアーに腰掛け、風を浴びて休憩。身体が冷えてきたら、露天風呂に入って温める。気持ちよさが倍々で重なっていく。これが2022年最後のととのい。帰り道の「針テラス」のパーキングエリアで白菜、葱、トマトジュース(抜群に美味かった)を購入。奈良漬をマヨネーズで和えたものを挟んだ「ならパン」というのが大変気になったが、残念ながら売り切れ。

20時前にレンタカー屋に車を返して、「鳥貴族」で夜ご飯を食べた。わたしはここ数年1回も忘年会というものに参加していないことに気づいたので、これを忘年会とする。とり釜めしと山芋の鉄板焼きはマスト。帰宅して『クイズ正解は一年後』を楽しむ。オードリー春日さんの娘さんをモザイク越しとは言え、見ることができてうれしい。『ザ・ブルーハーツ クイズ☆正解は一年後 トリビュート』を聞いてみたところ、有吉弘行「青空」、ニューヨーク「キスしてほしい」あたりはそつなく良い。ヒコロヒー「夢」ともう中学生「ラブレター」の作家性の強さ。あと意外と春日俊彰の「情熱の薔薇」がなんだかとても良かった。ロンドンブーツ1号2号「TRAIN-TRAIN」のしっくりきかたに、そもそも彼らのデビューシングル「岬」はマーシー作だったなと思い出す。売れている芸人はその人の"声"がある。そして、ブルーハーツの曲が単純に良いな。

12月31日土曜日

VULFPECKのニューアルバム『Schvitz』がリリースされていたので、流しながら大掃除。1曲目のタイトルは「Sauna」だ。ご機嫌な曲ばかりで楽しく掃除ができた。大掃除を終えた後は、録画してあった『ドキュメント72時間』歴代ベスト10の再放送を観て過ごす。とても豊かな時間。「京都・鴨川デルタ、青春の日々」「駄菓子屋・子どもたちの小さな宇宙」「宮崎 路上ピアノが奏でる音は」はランキングから漏れたのが納得いかないくらい好き。藤岡拓太郎がSNS上に発表した「大みそか」という8ページの漫画を楽しんだ。良さを言語化できないもどかしさに包まれつつも、たしかにとても良いものだった。

夕方前にスーパーに買い出し。お菓子の棚に天乃屋の海老煎餅「瑞夢」を発見。以前『アメトーーク』でサンドウィッチマン伊達さんが強烈にレコメンドしていて気になっていたのだけど、関西はそもそも天乃屋の「歌舞伎揚げ」すら置いていないのだ。なぜならほぼ同じ味の「ぼんち揚げ」が圧倒的なシェアを占めているから。ちなみに「歌舞伎揚げ」と「ぼんち揚げ」は共に1960年発売なので、どちらもオリジン。「ぼんち揚げ」も美味しいのだけど、やはり食べ慣れた「歌舞伎揚げ」こそが至高で、その派生である「瑞夢」もまた噂に聞く以上の美味さであった。「歌舞伎揚げ」に肩入れしてしまう理由はもう一つあって、基本的にお菓子というものを食べない父が、「歌舞伎揚げ」だけは愛好していて、年末の休みになると大袋で買ってほくそ笑んでいた光景が目に焼き付いているからだ。こういうイレギュラーな現象をわたしは愛しているし、こういった思い出をどれだけ残せるかが家族というものの価値とイコールだなとも思う。

夜は紅白歌合戦を楽しみながら、すき焼き。紅白は昨年のひどさからかなり好転。大泉洋の良くなさは相変わらずだったが、それを橋本環奈が中和していた。中盤に登場した「受信料のお支払いに感謝申し上げます」というアナウンサーの言葉には驚いた。トイレに貼ってある「いつも綺麗にご利用いただき、ありがとうございます」みたいで、なんとなくいやな心持ち。

後半のKing&Prince「ichiban」、official髭男ism「Subtitle」の流れがピークタイムか。最近のキンプリのパフォーマンスを観ていると泣けてしまう。「彩り」のサビでのユニゾンとか聞くと、「あぁ、キンプリだ」となって、意外とそういったユニゾンハーモニーを獲得している(というか浸透している)ジャニーズって、SMAPと嵐くらいな気がするのでつくづく惜しい。「Subtitle」はいつでも凝ったスタジオ演出。NHKのスタジオ101とやらの変幻自在ぶりはすごい。

ベストソングは有吉弘行が純烈×ダチョウ俱楽部とともに披露した「白い雲のように」だ。美声の有吉はさておき、ダチョウ俱楽部の2人などは紅白出場者の中ではとりわけ拙い歌唱だったかもしれないが、わたしの聞きたい“歌”とはああいうものだ。有吉に対して「出たいって言って出られる番組じゃないんですよ」などと言う大泉洋に、「黙れよ、格下」と憤ってしまうくらい*1に、わざわざ大晦日に紅白なんぞに出向いた有吉弘行上島竜兵への弔いは粋であったし、これによって有吉はテレビ界において更なる覇王色を纏うに違いない。

安全地帯「I Love Youからはじめよう」も良かったけども、なによりその前に披露された玉置浩二「メロディ」の独唱に涙。わたしは玉置浩二であれば、この曲と「愛だったんだよ」がたまらなく好き。なにわ男子はキュートであったし、乃木坂46齋藤飛鳥さんはお疲れ様であるし(「裸足でSummer」なのは解せない)、Snow Manの「ブラザービート」は2022年最高のJ-POP(一緒に”シェー”しました)、ウタが音楽番組に出る時は現場にadoが来ているのかそれとも音源を流しているだけなのか知りたいけど調べてまでは知りたくないし、篠原涼子のヴィジュアルの仕上がりに感動したし、松任谷由実のバックバンドにうれしくなり、Kinki Kids前の山下達郎の肉声、「時代遅れのRock'n'Roll Band」での佐野元春さまの降臨などなど、見どころたくさんの紅白であった。あとは、動いているVaundyが噂以上にマユリカの中谷さんに似ていたのは笑ってしまった。「そんなもんかい、紅白」という煽りのダサさにも中谷性があった。マユリカ中谷はとにかく器用でなんでもこなせる高スペックであるので(それを無に帰す怠惰さ)、そこもVanudyと中谷の相似性と言える。

年越しは『ジャニーズカウントダウン2022→2023』で決まり。マリウス葉さん、お疲れ様でした。Travis Japanのセンター宮近くんは林遣都にとても似ている。年始のことも書いていこうと思ったけども、すでに10,000字に近いので止めにします。2023年も楽しく過ごしていけたら何より。今年もよろしくお願い申し上げます。

*1:水曜どうでしょう』のファンであって、大泉洋のことは昔から好きなんですけど