青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

最近のこと(2022/11/24~11/27)

両親と妹が甥っ子たちを連れて大阪に遊びに来てくれた。大阪城中之島のバラ園を駆け巡るなどして、甥っ子との距離もだいぶ縮めることができた。甥っ子1号は3歳なのだけど、この小さな頭の中にこんなにも複雑な感情の機微が駆け巡っているのかと驚いてしまう。「うれしい!」とか「かなしい!」とかそんな単純なものではなくて、色んなフィーリングが折り重なって、喜んだり、照れたり、機嫌が悪くなったりしている。自分が子どもだった時もきっとそうだったのだろうけど、それをついつい忘れてしまう。

お土産に「鳩サブレー」をいただいた。関西では買うことができない鎌倉は豊島屋の名菓。わたしの両親、センス◎。わたしは素朴ながらバターの風味がたっぷり広がるこのサブレーをこよなく愛している。他の鳥や動物を模した類似品サブレーは多々あるけども、やはり鳩サブレーに特別な思いを持っている。なにか鳩サブレーに不随する思い出があるわけではないし、最近ではラランドの事務所に西田の両親(鎌倉在住)が大量に送ってくるので邪魔」というエピソードが連想されてしまう程度なのだけど。さらに、「萩の調」というお菓子もいただいて、「萩の月」のまがい物かなと思ったら、菓匠三全が製造しているれっきとした「萩の月」の姉妹品だそうだ。全国お土産菓子ランキングの常連と言えば、北海道「白い恋人」、仙台「萩の月」、福岡「博多通りもん」あたりがすぐさま頭に浮かぶと思うが、鎌倉「鳩サブレー」はそこを上回るくらい好き。さらに言えば、わたしのお土産ランキング1位は幼い頃に父が福岡出張の際に必ず買ってきてくれたロイヤルのスイートポテトだ。ロイヤルというのは、ロイヤルホスト・てんや・シズラー・シェーキーズ(なんてウットリする並び)などを展開するあのロイヤルグループで、今ではロイヤルホストでもあのスイートポテトを買うことができるし、なんならセブンイレブンのやたらとうんまいスイートポテトもロイヤル産なのである。ロイヤルホストと言えば、藤井隆『Music Restaurant Royal Host』は今年の愛聴盤であるし、アルバムのリリースに合わせて店舗で配布していた「私とロイヤル」というコラム冊子も素晴らしかった。

Music Restaurant Royal Host (通常盤)(特典:なし)

Music Restaurant Royal Host (通常盤)(特典:なし)

  • アーティスト:藤井隆
  • よしもとミュージック
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藤井隆のフェイバリットメニューの一つ「国産豚ポークロースステーキ~ジンジャーバターソース~」は恥ずかしながらこれまで目に入っていなかったメニューで、さっそく注文してみたのだけど、当然のように美味しい。火加減が難しいそうだし、ソースも複雑なバランスだし、このクオリティを当然のような顔でチェーン展開しているのがかっこいいのだ、ロイヤルホストってやつは。YouTubeにあがっている藤井隆による「Royal Host 50年の歩みと未来を」という動画も迸るロイホ愛に痺れるとともにその歴史をおさらいできる秀逸な出来栄えなのでぜひご覧いただきたい。

11月24日木曜日

健康診断で肝機能が再検査になってしまい、病院で精密検査。精密検査というのが何をするのかどれくらい時間がかかるものなのかわからなかったので、1日有給休暇をとったのだけど、エコー検査と採血の1時間ほどで終わってしまった。お酒も飲まないし、エコー検査の感じだと何も悪くなさそうなので、なんかウィルスでも入り込んでいたのかもねとのこと。ウィルスなんて入り込んでいて本当に大丈夫なのか、肝臓。詳細結果は1週間後である。

せっかくの平日休みとなったので、京阪電車に揺られて(「乗って」ではなく、「揺られて」と言うようにすると有村架純に好かれるらしいということをわたしたちは『花束みたいな恋をした』で学んでしまった)、京都へ。

『POPEYE』の最新号が長谷川昭雄の関わった京都特集であったので、しっかり影響を受けて、まずは三条の「篠田屋」で皿盛りをたいらげる。昼時なので並んでいたけども、回転が速くすぐに席に着けた。皿盛りは米にカレーうどんの餡が乗っている和風餡カレーのような食べ物。熱々の餡で身体がポカポカになり、秋の京都であっても、コートがいらないくらいであった。東山区にある「一澤信三郎帆布」まで歩き、店内を物色。『POPEYE』の長谷川昭雄のディレクションした誌面の中で、2泊3日くらいの旅行にも使えそうな大きな一澤帆布制タグのトートバッグが使われていて、それが気になっていたのだけど、実物を目にしたらあまりの大きさに躊躇してしまった。しかし、布の質感や作りの丈夫さがとても気に入ったので、L.LBeanのMよりはややコンパクトなトートバッグを購入した。自分にレンガ色、妻へのお土産にネズミ色を選んだ。まったく知らなかったのだけど、一澤帆布は2000年から2010年あたりにかけて、泥沼の相続トラブル訴訟合戦が繰り広げられていたらしい。おもしろいと言ったら失礼なのだけど、あまりにおもしろいので、ぜひWikipediaなどをお目通しいただきたい。これまで父とともに会社を支えてきたというのに、第2の遺言状を手にした長男(元・銀行行員)に突如会社を追い出されてしまう三男。しかし、職人たちは三男を支持し、全員が一緒に退社。さらには寺の住職や京都の有力者たちが三男を応援し、募金活動まで始めるという激熱の流れ。そこに、すでに故人である次男や職人気質の四男が絡んでくるなど、あまりにキャラが立った展開。こんなの日曜劇場でドラマ化まったなしだ!と思っていたら、とっくに池井戸潤が『かばん屋の相続』という小説を献上していた。こちらではなく、ドラマ化に選ばれたのが『陸王』ということか。

京都のバスや地下鉄がどうしても乗りこなせないので、最近ずっと聞いているTex Crick 『Live In... New York City』を耳に流しこみながら、秋晴れを全身に浴びて歩いた。

Mac DeMarcoがミックスや軽いプロデュースを担当したナイスなピアノポップ集。紅葉が見たいなと思ったけども、調べるのが面倒になってしまい、銭湯を目的地としてしまういつものコース。「白山湯 高辻店」か「五香湯」で悩み、広い後者を選んだ。軽くサウナを3セットこなし身体をリフレッシュさせ、すぐ近くの「まるき製パン」で買ったコロッケパン(絶品)を頬張りながら帰路に着くための京都駅を目指す。道すがら立ち寄った西本願寺で「逆さ銀杏」を眺める。空に向かって根を張っているように見えるから逆さ銀杏と呼ばれているそう。何度かの大火事でも燃えなかったという逸話が美しさに箔をつけている。

11月25日金曜日

仕事は神戸方面を外回り。車の中で『田中宗一郎-THE SIGN PODCAST』の「お笑い地政学氷と炎の歌~」を2エピソード分聞き終える。お笑い回は炎上の匂いしかしないぞ、と聞くのが怖かったのですがおもしろかった。最近はやっと仕事が落ち着いてきたので、文章を書く余裕が生まれてきた。帰宅するとコートが届いていた。なぜだか急に古いバーバリーの玉虫色のステンカラーが欲しくなってメルカリで調べまくって、イングランド製の80年代くらいのコットン100%の玉虫色を非常にお手頃価格で購入できた。しかも、ライナー付き。内ポケットに知らない人のネームが刺繍で入っているけども、それも受け継がれてきたという感じがして良い。状態も悪くないし、さして調べず買ったわりにサイズもピッタリだった。わたしはメルカリが結構上手いと思う。ご飯を食べながら『有吉&マツコのかりそめ天国』を観る。加賀まりこが若手芸人に詳しいことになぜかうれしくなってしまった。そのまま『ミュージックステーション』も桑田佳祐が出演というので最後まで観てしまった。ソロデビュー曲「悲しい気持ち (JUST A MAN IN LOVE)」はユニクロのCMの影響もあって今年はよく聞いた。思わず口ずさんでしまうパワーがある。『M-1グランプリ』の準々決勝動画をチェックし終える。金属バッド、ランジャタイ、チェリー大作戦、さすらいラビー、TCクラクション、滝音、シシガシラ、セルライトスパ、軍艦あたりが個人的には好みでした。しかし、準決勝はすんごいメンバーですね。眠るまでNetflixで『First Love 初恋』を観た。一目見ただけで、お金がかかっているのが伝わってくる。

11月26日土曜日

ひさしぶりに昼前まで眠っていた。コートをクリーニングに出して、谷町四丁目の「カレーショップダール」でお昼ごはん。「はやい・やすい・うまい」を体現した名店。大阪カレーの「欧風カレー部門」ではここが結構上位にランクインするかも。このあたりは会社も多いので平日は大いにサラリーマンの胃袋と気力に貢献していることでしょう。谷町四丁目では「グリルステレオ」という洋食屋さんもオススメ。ここは平日しか営業していないので、なかなか行けないのだけど。食事を済ませて、歩いて南森町の床屋で散髪。もういい歳なのだけど、このお店ではいつも最年少のお客だ。若者向けの床屋も増えてきたけども、ここはそういった時流には乗らずに地元に根付いて営業していて、この店と一緒に歳を重ねたであろう常連さんで賑わっている。「天牛書店」と「矢野書房」を覗き、帰宅。小西康陽 with 矢舟テツロー・トリオのワンマンライヴ『小西康陽小西康陽を歌う』の配信チケットを買って観ようと思ったら、昨日までだった。めちゃくちゃショック。途方に暮れてYouTubeにて柴田聡子が眼鏡の聖地・鯖江に行く動画と赤もみじのドキュメンタリー『道程』をチェック。

Roos Jonker & Dean Tippetのアルバムをスピーカーで流して少しうたた寝。このアルバムは昨年のお気に入りの1枚なのだけど、レコードを購入し損ねたことを非常に後悔している。妻が仕事から帰ってきたので夜ご飯。ブックオフ五味太郎『正しい暮らし方読本』を買ってきたというので読ませてもらったところ、これが実に素晴らしい本であった。タイトルとは裏腹に“正しさ”からの解放が描かれていて、そのユーモアとアナーキーな態度に感銘を受けた。アイスを食べながら『First Love 初恋』の続きを観る。佐藤健が劇中でもハーゲンダッツを食べていた。

11月27日日曜日

『First Lobe 初恋』の影響で無性にナポリタンが食べたくなり、天満橋の喫茶店を目指して散歩。Googleマップでは営業中になっていたけども、お休みだった。どうしてもナポリタンの口になっていたので、意地になって歩いて探し回り、天神橋筋商店街に店頭にナポリタンの食品サンプル掲示している「モーデン」という喫茶店を見つけ歓喜。まさに探していたケッチャッピーな王道のナポリタンでたいへん満足した。梅田まで歩き、「サウナ&スパ大東洋」にショートコース。ひさしぶりに来たら、10度以下に保たれた1人用の水風呂というのが新しく設置されていた。大阪サウナーであるならば、「ニュージャパン派か、大東洋派か」というのをはっきりさせておきたいもの。実に甲乙つけがたいのだけど、少しだけニュージャパン派だ。風呂上りにジュンク堂書店紀伊国屋書店を眺める。梅田駅で妻と合流し、紅葉が色づいている箕面の滝のライトアップを観に行った。箕面駅に降り立った瞬間、ヒンヤリと澄んだ山の空気が鼻を抜ける。滝へと続く道には、大阪で1番お気に入りの古本屋「ひなたブック」がある。絵本、児童書の品揃えが強く、ここで長新太佐々木マキの絵本をコツコツ買い集めている。この日は池波正太郎『銀座日記』、平松洋子『焼き餃子と名画座 わたしの東京味歩き』、沢木耕太郎『旅のつばくろ』などを購入。日記やエッセイ旅行記の書き方を学びたいと思い、目についたものを手当たり次第読んでいっている。紅葉はやや見頃を過ぎていたが、ライトアップされた滝をカメラにおさめるとまるで絵のような写真ができあがった。

帰宅して、『First Love 初恋』を最後まで観終える。後半は文句ばっかり言っていたけど、終わってしまうと少しさびしい。宮藤官九郎の『流星の絆』がTVerで観られるというので1話を観た。めちゃくちゃ画面が古びているのと衣装の安っぽさが気になった。三浦友和は最高。まだ芸能覇王色を放つ前のバナナマン設楽統扮する刑事の「ぜってぇ つかまえっかんな」は当時よく真似した記憶がある。AmazonブラックフライデーセールでiPad用のキーボードを買う。これできっとモリモリとブログを更新していく気力が湧いてくるに違いないのである。結局、文章を書く楽しさはキーボードを打つ快感と同義であるので、いつかはHHKBの高級キーボードが欲しい。あれはたぶんプログラマー用とかなのだろうけど。