青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

2018-01-01から1年間の記事一覧

くりはらたかし『たんぽぽふうたろうと7ふしぎ』

今、1番素敵な絵を描く漫画家/イラストレーターはクリハラタカシさんなのです(断言)。やわらかい線で紡がれる所作の中に、生きることの喜びが詰まっています。くりはらたかし名義の新作絵本が発売されました。さすらいのたびびと"たんぽぽふうたろう"が"…

大賀俊二『映画 おむすびまん』

さる日のTBSラジオ『ハライチのターン』で話題に上がっていた30周年*1を記念した『それいけ!アンパンマン』の人気投票。結果の詳細が気になり、サイトをじーっと眺めていると、ふと思い出した。私は"おむすびまん"が大好きだったのだ!いや、ビックリマーク…

プロフェッショナル仕事の流儀「 生きづらい、あなたへ~脚本家・坂元裕二~」

「私 この人のこと好き 目キラキラ」みたいなのは そこには本当はない気がするんですよね バスの帰りで雑談をして バスの車中で「今日は風が強いね」とか 「前のおじさん寝ているね」「うとうとしているね」とか そんな話をしながら 「じゃあね」って帰って…

水曜日のダウンタウン「MONSTER HOUSE」3話

これぞ、2018年のベストキスシーン。なんて醜く、なんて美しいのだろう。クロちゃんは「愛されたい」と叫ぶ獣だ。まるでこれまで誰からも愛されたことがないかのようだ。その欠落を埋めるようにして、どこまでも貪欲に愛を求めている。蘭ちゃん*1とのキスを…

Dr.ハインリッヒ『M-1グランプリ 2018 準々決勝』

今年観た漫才で1番美しいと思った。イワシが炒飯を食べる時に胸鰭を使うとことか、「種がいっぱいあるんやろなー」とヒマワリの顔を覗くとことか、「まぁ焼きそばやわ」とか、「みんな何かを作るメンバー」とか、「この世はすべてはマル」とか、あらゆる細部…

さくらももこ『コジコジ』

誰がなんと言おうと、『コジコジ』はラブコメなのである。いや、もちろん『コジコジ』のジャンルは一つに断定できるものではない。たとえば、「コジコジは哲学である」という論調はいまだに根強い支持を得ている。 コジコジだよ コジコジは生まれた時からず…

『キングオブコント2018』ハナコのコントの魅力について

今年も出前のお寿司をつまみがら、楽しく『キングオブコント』を観ることができました。さらば青春の光とザ・ギースの2本目が観たかった・・・などなど色々想うところはありつつ、何はなくともハナコである。全ての組が魅力を発揮し、秀作揃いの『キングオブ…

TBSラジオ『神田松之丞 問わず語りの松之丞』2018年9月16日放送回

最近の何よりの楽しみと言えば、ラジオ『神田松之丞 問わず語りの松之丞』(TBSラジオ 日曜23:00〜23:30)を聞くことなのですが、9月16日放送回、これがもう衝撃的に素晴らしい。とにかく誰彼かまわず聞かせて回りたい衝動に駆られているのです。まずはTBSラ…

日曜ビッグバラエティ『空から村人発見!パシれ!秘境ヘリコプター』

ヘリコプターに乗ったオードリー春日が山奥に住む人々の夢を叶えていく。テレビ東京が9月9日に放送した日曜ビッグバラエティ『空から村人発見!パシれ!秘境ヘリコプター』が実に素晴らしい番組だった。「全てのロケ、そして総合司会まで、2時間すべてをオ…

あだち充『スローステップ』

あだち充の最高傑作は『スローステップ』である、と言い切ってみたい。実際のところは、いや『H2』だろ、いやいやそこは『ラフ』で、いやいやいや結局は『タッチ』なのです、いやいやいやいやその作家性が爆発しているのは『虹色とうがらし」であるからして…

藤岡拓太郎『コーヒー吹き出さないように気をつけ展』

夏の終わりの高円寺に『コーヒー吹き出さないように気をつけ展』を観に行ってきた。奇しくもこの日の高円寺では恒例の阿波踊りが開催されていて、街は異様な活気に満ちている。私は踊らぬ阿呆であるし、またどんな顔で阿波踊りを視線を傾ければいいのかもわ…

台北旅行記2018

台北という都市の魅力は、ノスタルジーと未来とが混在となっているところにあるように思う。たまらなく懐かしくて、新しい。東京という街が年老いて行く中で切り捨てていったものが、自然なままにテクノロジーと調和している。猥雑で多様なその有り様は、ど…

『LOOPY!鹿皮』雪おばけにまつわる物語

雪おばけは冒険に出たいと思っていました。だけども、外は陽射しがとても強かった。それはもう、雪おばけの全てが溶けてしまいそうなほどに。あまりの暑さに一度はお家に逃げ帰ってきた雪おばけ。それでも諦めきれない彼は、自らの身体にサンスクリーンを塗…

芝山努『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』

『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』(1994)という映画がある。決して出来のいい作品ではない。1980~90年代におけるドラえもん映画の黄金期と照らし合わせてみると、そのストーリーテリングには雲泥の差があると言っていい。おそらく今後もリメイクの対象に…

E・L・カニグズバーグという児童文学作家

E・L・カニグズバーグという児童文学作家*1に夢中だ。『クローディアの秘密』『魔女ジェニファとわたし』『ベーグル・チームの作戦』『ティーパーティーの謎』・・・・どの作品を読んでも夢のように素晴らしい。クローディアの秘密 (岩波少年文庫 (050))作者…

練馬区立美術館『サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法』

東京都の練馬区立美術館でレイモン・サヴィニャックの大きな展示会が始まった。正直なところ、「いまさらサヴィニャックかぁ」なんてことも思わないでもなかったのだが、これが大いに楽しんでしまった。サヴィニャックの弾けんばかりのポップネスはとびきり…

今井一暁『ドラえもん のび太の宝島』

川村元気という海賊による略奪。奪われたのは、藤子・F・不二雄『ドラえもん』、ロバート・ルイス・スティーヴンソン『宝島』という児童文学が誇る偉大なフォーマットだ。今作のベースにスティーヴンソンの『宝島』が置かれる必然性がまったく理解できなかっ…

『あいのり:Asian Journey』の異様な魅力について

『あいのり:Asian Journey』がおもしろい、呆れるほどにおもしろい。ここ数日で食い入るようにして、Netflixで配信済の約20のエピソードを観終えてしまった。必要ないとは思いますが、『あいのり』という番組について念のため説明しておきます。「ラブワゴ…

伊藤万理華×福島真希『はじまりか、』

昨年末に開催された個展「伊藤万理華の脳内博覧会」にて公開されたショートムービー『はじまりか、』がYouTube上で閲覧が可能となった。掛け値なしに素晴らしい8分30秒なのだ。伊藤万理華によるファンやメンバーに対するストレートな愛のメッセージをして*1…

最近のこと(2018/02/01~)

一旦書くのを緩めると、まっこと億劫になるのがこの「最近のこと」なのです。書きそびれがあまりにも膨大なので、一日ごとに振り返るスタイルは放棄して、ざっくりと備忘録を記していきたい。2月はもうオリンピック一色である。ウィンタースポーツには興味が…

小沢健二『アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)』

① 小沢健二が、極めて私的ないくつかの関係性を綴ったリリック。ひどく露悪的ではあるが、どこまでも普遍的に、切実に響くことは否定できない。もしかしたら、ポップミュージックの歌詞というものは具体的であればあるほどいいのかもしれない、というような…

ロバート・マックロスキー『ゆかいなホーマーくん』

ゼンマイ仕掛けの機械から大量に流れて出てくるドーナッツ、それをポケットに手を入れたまま片手でムシャリと頬張らんとする少年。たまらなく胸を捉えた。この表紙のイラストだけで、10冊は確保したい代物である。この『ゆかいなホーマーくん』の挿絵を担当…

坂元裕二『anone』5話

とうとう周回遅れである。つい不満のほうに筆が走ってしまうので、何度も書き直してしまうのだ。たとえば、序盤で繰り広げられた「すれ違いコント」に、ナレーションによる状況説明が挿入されていたのには、たまらなく暗澹たる想いに駆られた。"すれ違ってい…

村山籌子/村山知義『リボンときつねとゴムまりと月』

村山籌子の紡ぐ児童文学は、夫である村山知義によるイラストの魅力と不可分である。上の絵をじっくり見つめて頂きたい。このタイムレスな魅力は異常ではないだろうか。そのシュールレアリスムにはさくらももこの源流を見るよう。とにかく絵もお話も、都会的…

エズラ・ジャック・キーツ『ゆきのひ』

雪が積もった日の幼き高揚感を瑞々しく捉え切った永遠のマスターピース。足跡をつけて歩く、雪の小山を滑り降りる、木に積もった雪を落とす、寝転んで手足を動かす(Snow Angel)・・・いつもと違う白銀の街でのはしゃぎ方がここにはすべて詰まっている。と…

坂元裕二『anone』4話

私の名前はアオバ 苗字はない この世に生まれてこなかったからだ 幽霊っていうのとは少し違うけど まぁ そう思ってもらえるのが一番手っ取り早い いきなりの”幽霊”の登場である。低視聴率のテコ入れとして、急遽挿入されたであろう「3話までのダイジェスト」…

松本壮史×三浦直之『それでも告白するみどりちゃん』

『それでも告白するみどりちゃん』というなにやら画期的に新しいドラマが始まった。そのドラマは、テレビの地上波放送でなく、ローカル放送でもなく、ニコニコ動画でもGYAO! でもなく、カルチャー動画メディア「lute/ルーテ」のInstagram 上のStoriesにて展…

野木亜紀子『アンナチュラル』3話

3話についてしっかり書く余裕がないまま、4話の放送日になってしまった。無念。今回は軽いテイストでご勘弁頂きたい。3話は裁判所を舞台とした法廷ものであった。演出は塚原あゆ子から竹村謙太郎にバトンタッチ。編集のスピード感はグッと抑えられ、室内撮影…

ルドウィク・J・ケルン『すばらしいフェルディナンド』

ルドウィク・J・ケルンは日本ではあまり評価されていないのだろうか。ポーランドの児童文学作家なのだが、Wikipediaにも項目は存在しない。日本語に翻訳されている作品は3作品。その内の1冊『ぞうのドミニク』は福音館で文庫化しており現在も入手可能だが、…

最近のこと(2018/01/20~)

Lampの4月に発売されるニューアルバム『彼女の時計』よりリード曲「Fantasy」のMVが公開。ワンマンのチケット買いそぶれてしまったが、アナログ盤は絶対にゲットしたいものです。とてつもなく寒い日々が続いておりますが、すでに花粉は飛んでいて、コンビニ…