青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

最近のこと(2022/11/30~12/06)


ワールドカップで日本中が盛り上がっている。Jリーグが開始したのが1993年。ちょうどわたしが小学校に入学したあたりであったので、サッカーが好きであるということがマジョリティであったが、小学生の頃のわたしと言えば、広島カープの佐々岡の昨夜のピッチングがいかに素晴らしかったかだとか、ダイエーホークスの吉永の打率がどうだとか、横浜ベイスターズブラッグスが何本ヒットを打っただとかを知るべく朝刊を熟読しているようなタイプであったので、生まれてはじめての疎外感はサッカーに因るものだったように思う。とは言え、「まさお、Jリーグカレーよ」だの「アルシンドになっちゃうヨォ」だの、テレビを見ていればとにかくJリーグの情報が入っている時代だったので、ジーコという偉大なブラジル人選手が鹿島アントラーズでプレイしているだとかヴェルディ川崎ビスマルクがゴールを決めると祈るだとかは知っているし、Jリーグのマスコットキャラクターである「Jリーグキング」にだってきちんと王としての畏敬の念を払っていた。ときに、あの方の頭部は単なるサッカーボールでなく、地球にも見えるようなサッカーボールでデザインすべきだったのでは。サッカーは国境を越えると聞きますし。JリーグキングをはじめとしてJリーグチームのマスコット達にはそれなりに夢中になっていて、グッズを集めていた覚えもある。名古屋グランパスエイトの「グランパスくん」が好きだったので、『コントが始まる』(2021)の中で仲野大賀がグランパスくんのTシャツを着用していたのにはうれしくなってしまった。今、思えばガンバ大阪の「ガンバボーイ」って松下進デザインだった。オリックスブルーウェーブのネッピー(知らなかったけどガンバボーイの兄という設定らしい)とかam/pmのデリスくんとか、『ファミ通』の表紙とか、“平成”というものを思い返す時、松下進のイラストは象徴的に機能する。話をサッカーに戻すと、『キャプテン翼』だってちゃんと読んでいたのだ。今でもコーラを飲む時や袖を肩までまくった人を見れた時は日向小次郎のことを思い出すし、地面を蹴りつけてからシュートする雷獣シュートの練習にも励んだ。ロベルト本郷のように胸ポケットにウィスキーを入れた水筒を忍ばせてみたいとは今でも思っている。とまぁ、それになりに関心を持っていたにも関わらず、サッカーと距離をとってしまったのは学生時代の体育の授業に要因がある気がする。体育というと、とにかくサッカーの時間が多かった。野球やバスケだってしたいのに。クラスメイトがサッカーの時だけ人格変わる感じが苦手だった。誰かがミスすると怒鳴ったり、舌打ちしたりする感じ。あれは我々の世代がJリーグ黎明期時代を生きていた故に極端にサッカーに熱くなっていたからなのか、それとも全世代共通なのか。冷笑の態度みたいなものにドップリ浸かっていた残念な10代だったので、その熱さをバカにするあまり、「足でボールを蹴りながら走っていく」というのが恥ずかしくてできなくなってしまった。そうするともう、試合中は味方のゴール前に立って、たまに来るボールを適当に遠くまで蹴り飛ばすことしかやることがないのだ。1回だけ強く蹴り飛ばしたらそのまま相手のゴールに入り得点してしまい、実にばつの悪い思いをしたのを強烈に覚えている。あの退屈で屈辱的な時間を思い返すだけで、サッカーとはまだまだ和解できそうにない。もちろん、日本に頑張って欲しい気持ちはあるので、スペインに勝利したと聞いた時は朝から喜びの舞を踊った。ドイツやスペインが強いことはなんとなく知っている。

11月30日水曜日

この日は夕方から『M-1グランプリ2022』の準決勝が開催されていて、夜の22時に決勝進出者が決定。もう一日中ソワソワしていた。決定した9組、すんごい面子だった。真空ジェシカは今1番好きな漫才師と言っても過言ではないので、ぶっちぎりで優勝してしまって欲しい。ヨネダ2000のすばらしさは筆舌に尽くしがたいものがあって、心の中の大切なものを託したくなるコンビ。さらには、タイタンから2組!ウエストランドの返り咲きも素晴らしいし(夏頃に観たタイタンシネマライブでもすでに仕上がりきっていた印象)、キュウを決勝の舞台で観られる喜び。ロングコードダディ、カベポスター、さや香も大阪在住の身としてはうれしい。ママタルトとマユリカは今後も情熱的に応援していくし、令和ロマンの素敵なスーツをはやく決勝で観たいし、ヤーレンズもどうか世間に見つかって欲しい。現在のM-1仕様漫才のヤーレンズも素晴らしいが(あそこには血と汗が滲んでいる)、ボンクラの立ち話をひたすらに続けるかつてのヤーレンズの漫才も評価されて欲しい。ハイツ友の会を準決勝に上げてくれるなら、かつてのヤーレンズだって・・・ヤクルトスワローズから守護神マクガフが退団。メジャーに挑戦とのこと。本当によく投げてくれて、弱かったヤクルトをリーグ2連覇までに導いてくれたので感謝しかありません。次の守護神は清水だろうか。文句なしにヤクルトで1番いい球を投げていると思う。眠る前に『世界の小さな村』という本を眺めた。

ホッロークー、ザリピエ、シリンジェ、アヒヒック、理坑、ホラショヴィツェ・・・と私が地理に疎いせいもあるが、名前も聞いたことない地域にひっそりと佇む美しい村の写真集。そのおとぎ話のような美しさに妙な既視感があるというか行ったことすらある気がするのは、おそらく『ドラゴンクエスト』や『ゼルダの伝説』などの製作者がこういった実在の村をモチーフに世界を作り上げているからな気がしている。

12月1日木曜日

お昼休みに病院に行き、先週受けた精密検査の結果をもらう。肝臓に何の異常もなし、血液検査の数値もすべて良くなっているとのこと。安心した!昼過ぎから車で市内を外回り。大阪城の紅葉はまだまだ美しい。この日は運転中にスカートのナイスなニューアルバム『SONGS』を聞いた。

SONGS

SONGS

  • IRORI Records
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思い切ったアルバムタイトルの通り、曲が粒立っている。スカートは冬の寂しさがよく似合う。Spotifyが2022年によく聞いた音楽を報告してくれた。アーティストでは1位Rex Orange County、2位猫戦、3位宇多田ヒカルとのこと。Rex Orange Countyに関してはあの報道があってからまったく聞けなくなっているので悲しい。アーティストの人柄と作品は関係ないとドライに割り切る方法もあるのだろうけど、行為の質が悪すぎる。猫戦と宇多田ヒカル(特に「BADモード」と「Somewhere Near Marseilles -マルセイユ辺り-」の2曲)は本当によく聞きました。今年リリースされたものだと、Harry Styles、the1975、DOMI&JD BECK、The Weeknd、柴田聡子、えんぷてぃ、C.O.S.A.、Bobby Oroza、Sam Wilkesあたりもよく聞いた。ちなみに1番聞いたPodcastは『アンガールズのジャンピン』だそうです。Spotifyで聴けるラジオは手軽で重宝している。『マユリカのうなげろりん!!』『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』『トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画』『宮下草薙の15分』など。最近は『空気階段の踊り場』もSpotifyで聴けるようになってありがたい。「踊り場ブレイキングダウン」は新たな傑作コーナー。この番組は人間のみっともなさを愛おしさとして昇華するのが上手すぎる。GERAにもお世話になっていてママタルト、春とヒコーキ、囲碁将棋、みかみかわとスーパー三助の番組を特に愛聴している。

お風呂に入りパジャマに着替え、温かいほうじ茶を淹れ、万全の体制で『Silent』の8話に臨む。夏帆風間俊介の瑞々しい演技が素晴らしい。そんな意図はサラサラないかもしれませんが、森口瑤子を召喚という坂元裕二へのリスペクトの示し方に驚いた。9話は目黒蓮のターンか。目黒蓮と言えば、朝ドラ『舞い上がれ!』は残念ながら離脱。舞ちゃんのキャラクターがあまり魅力的に思えない。祖母役の高畑淳が出演していた頃の子役時代が1番良かった。『ちむどんどん』は2話で早々にリタイアしてしまったし、どうにも朝ドラが得意じゃない。しかし、『カムカムエヴリバディ』は最後まで観通したのだ。深津絵里が好きだから。

12月2日金曜日

この日は和歌山方面を外回り。和歌山インター近くの人気店「ラーメン 丸花」でお昼関西でこれだけ美味しい家系ラーメンが食べられる喜び。くどすぎないスープが洗練されていて、実に美味しい。うずらと海苔を追加トッピングした。かりそめ天国もMステもない味気ない金曜日だったのだが、ちょうど良くDOMMUNEで「カクバリズムと21世紀」という放送があって、角張社長・九龍ジョー・柴崎祐二・MC.sirafu・あだち麗三郎という座組で、2000年~2010年代のインディーシーンの振り返りをしていて、聞き入ってしまった。2010年頃の東京インディーはわたしの第2の青春だ。Your Song is Good「THE LOVE SONG」、cero「武蔵野クルーズエキゾチカ」、片想い「踊る理由」などの音源や映像が流れる度に涙腺が刺激された。mei eharaとキセルのライブも素晴らしかった。さらに、『「ほら!ここが父ちゃんちの踊り場」~空気階段×真空ジェシカ×オズワルド 忘年会2022~』の配信チケットを買い、視聴。ラジオも聞いている大好きな3組だが、利きビール大喜利対決が長すぎて眠くなってしまい、そのあとは適当に流し見。

12月3日土曜日

午前中は部屋の掃除や洗濯。大学時代の友人から結婚祝いに圧力鍋が届いた。とてもありがたい。お昼過ぎに歩いて難波まで行き、洋食屋「重亭」に並ぶ。最近、オズワルド伊藤、ママタルト大鶴、春とヒコーキぐんぴぃなど「重亭」について言及していたので、覚悟を決めて並んでみた。海外の観光客が多かった。向こうのガイドブックに掲載されているのだろうか。30分ほど並んで、ハンバーグとライス。妻がポタージュを注文したのだけど、テーブルに届いた熱々のスープを見た隣の席の韓国からの観光客もたまらず追加でポタージュを注文していた。なんとなくうれしい。ハンバーグはフワフワなのに肉汁が溢れるジューシーさで大変美味しい。これは並ぶ価値ありだ。

すっかり寒くなってきたので心斎橋で温かい部屋着を購入。セレクトショップに並んでいたバブアーのオイルジャケットを触ってみたらあまりベタベタしていないし、匂いもあまりしないのでビックリしたのだけど、2006年くらいからオイルが改良されているらしい。古着のバブアーは臭いものが多い。南堀江のFLAKE RECORDSでthe chef cooks me「間の季節 (feat. ayU tokiO, KONCOS)」の7インチを購入。「間の季節」はシェフを代表する名曲だけど、ayU tokiOによるアレンジでさらに更新されていた。帰りは御堂筋を歩いて、イルミネーションの美しさを堪能。

夜は近所に住んでいる会社と後輩とその彼女に妻を加えた4人で居酒屋でご飯を食べた。角煮のパイ包みと白子ポン酢が絶品だった。2人はもうすぐ同棲を開始するということで、わが家を見学。あまり来客のないわが家なので、人が来るのは一大イベントなのだ。準備にあたり、妻は「絶対にUNOが必要だ」と主張し、それを失笑であしらったら、たいへん機嫌が悪くなった。来客が帰り、録画してあった『ベストアーティスト!』を流し見る。ブラックビスケッツ復活は世代なのでちょっと感激。「Timing」よりも「STAMINA」派だし、もっと言えば3枚目の南々見と天山がリードボーカルの「Relax」が1番好き。「Relax」はほぼSMAPの「SHAKE」であって、なんでSMAPに提供しなかったのかなというレベルの楽曲で、つまりは超名曲。そもそもブラビの楽曲は作詞がほぼ森浩美SMAPの「SHAKE」「青いイナズマ」「しようよ」「笑顔のゲンキ」などその他多数)で、作曲や編曲を林田健司(「青いイナズマ」)や小森田実(「SHAKE」「たいせつ」「ダイナマイト」「らいおんハート」など)が手掛けているというSMAP黄金期の布陣なのだ。

12月4日日曜日

京都に出かけるつもりだったけども、妻が風邪気味だったので中止。家で寝ころびながら映画を観た。軽めの良すぎない映画にしたいなと思ったのだけど、1本目のイルミネーション・エンターテインメント『Sing/シング』(2016)がひさしぶりに観たら、結構良くてちょっと泣いてしまった。2本目の『クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁』(2010)ははじめて観たのだけど、これも面白い。もっともクレしん映画の名作扱いされてもいいと思う。3本目は『ドラえもんのび太の銀河超特急』(1996)でこれは本当にひさしぶりに観たけど、やっぱりあまり印象に残らない。新聞記者ボームさんがめちゃんこかっこいいキャラクターなのに変な髪型とズングリ体型で最高。ここらへんは今のアニメにないセンスだよなぁと思う。塩沢兼人の声がいい。最後に『劇場版 きのう何食べた?』(2021)を観た。予告の限りでは京都が舞台なのかと思っていたが冒頭の15分くらいで、あとはドラマ版とほぼ変わらない印象。

THE MANZAI』を流し見。個人的には海原やすよ ともこが1番かっこいい漫才をしていたように思った。本当にその場の思いつきで喋っているみたいなのに演芸だった。大阪市に住んでいると、「大阪市プレミアム付商品券2022」のポスターで1日に10回はやすともを目にするので、贔屓目だろうか。甥っ子が大阪に遊びに来た時も、「ほら、あれが“やすとも”だよ、大阪の鬼だよ」と教えてあげた。今、甥っ子が怖いものNo.1は鬼で、言うことを聞かない時は鬼に電話されるらしいので、その鬼にやすともという実像を与えてみた。あと、集中して観たのは霜降り明星、ナイツ、かまいたちおぎやはぎ爆笑問題

12月5日月曜日

会議続きでヘトヘト。帰宅して夜ご飯。

天ぷらのあとで
「君にはわるいんだが、御飯に醤油をたらして食べたいんだよ」
いうや、近藤君がニッコリして、
「あれは、うまいですからねぇ」
そういってくれた。うまいので、3杯も食べてしまう。

というくだりが『池波正太郎の銀座日記』にあって、つい真似してご飯に醤油を垂らして食べてみた。たしかにこれだけでも充分に旨い。しかし、晩年の日記であるはずなのに池波正太郎は本当によく食う。お風呂に浸かりながら、iPhone松任谷由実『悲しいほどお天気』を流して聞く。

悲しいほどお天気

悲しいほどお天気

  • アーティスト:松任谷由実
  • ユニバーサル ミュージック (e)
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「ジャコビニ彗星の日」で始まるのが最高だし、「緑の町に舞い降りて」「Destiny」「悲しいほどお天気」など名曲たっぷりの名盤。

Netflixで『ウェンズデー』を3話まで観た。これは抜群におもしろい。ようはティム・バートン版『ハリーポッター』なのだけど、バートンの魂がこれでもかと吹き込まれた主人公を愛さずにはいられない。抑圧された魂。それを象徴するフェンシングの面、養蜂保護服。はやく続きが観たい。リアルタイムで『エルピス』も観る。先週くらいから、少しダラダラしている印象を覚える。同じところでグルグルしているような。先週に登場した岸本の実家からの引っ越し先が『美味しんぼ』の山岡さんスタイルだったのはいかにも大根仁という感じですが、ちょっと興奮してしまった。岸本の友達役の斉藤天鼓という役者さんは、『First Love 初恋』の町田先輩といい、とても印象に残る。顔に似ているし、ポスト高橋一生になりえる存在では。

12月6日火曜日

晴れ渡り、澄み切った元旦のような気候。宝塚方面を走っていると、キラキラと光る川面の大きな川が流れていて、とても豊かな気持ちになる。宝塚市手塚治虫記念館もいつか訪ねてみたい。この日は帰宅して『アトムの童』8話を観た。TBS日曜劇場の典型と言えばそうなのだけど、岸井ゆきの風間杜夫の存在感がそこをズラしてくるので意外と楽しめる。この作品ではじめて山崎賢人に触れたのだけど、実に華のある役者さんだ。窪塚洋介赤西仁といった危険な雰囲気をまとったゼロ年代のイケメンのオーラがある。ときに、原価高騰により来年出荷分から山崎製パンの「薄皮シリーズ」が5個から4個に変更されてしまうとのニュース。こんなにも値上げの波や貧しさを感じる事象もないし、それ以上にどこか精神的にダメージを負うものがある。“5個”という割り切れなさがあの商品のなによりの魅力ではないか。5個だと一気食べるにはちょっと多いのだけど、そこがいいのだ。Twitterのリプライでもらった言葉だけども、朝・昼に2個ずつ食べても1個残り、2人で2個ずつ分けても1個残る。さて、どう使おうかというこの割り切れない1個が生活の中の豊かさであり、もっと言うならば“詩”の領域であったように思う。日本が失ったのは単なるミニあんぱん1個ではない。いつか元に戻ることを願います。火曜日のくだりは、宝塚⇒手塚治虫鉄腕アトム⇒アトムの童⇒山崎賢人山崎製パンという風に繋いでみました。