くりはらたかし『たんぽぽふうたろうと7ふしぎ』
今、1番素敵な絵を描く漫画家/イラストレーターはクリハラタカシさんなのです(断言)。やわらかい線で紡がれる所作の中に、生きることの喜びが詰まっています。くりはらたかし名義の新作絵本が発売されました。さすらいのたびびと"たんぽぽふうたろう"が"おおだぬき"を退治するお話。物語に絡んでこないチューじろう、首根っこ掴まれるマメだぬき、おむすびを運ぶおばあさん・・・とモブキャラのかわいさにも細かく言及していきたくなってしまうのですが、おおだぬきとふうたろうの追いかけっこ、その転がるような疾走感がこの絵本の白眉です。カメラアングルとコマ割りの秀逸さ、講談調の歯切れのよいテキスト、何度も声に出して読み返したくなること必至。お母さんもぜひお子様にすすめて上げてください*1。タイトルにもある「もののけがはらの七不思議」はこうである。
①小石をなげいれると 岩が ふる いけ
②手を たたくと おじぎを する スギの木
③のぼると いちばん したに とばされる かいだん
④なでると くびが とぶ じぞう
⑤ふりかえると そこに いる ダルマ
⑥ふむと けむりを はく カエル
⑦かぜも ないのに ゆれる 草
なんともばかばかしくてかわいらしいではありませんか。この"無用の長物"とでも言うようなものたちが絡み合い、そこに"在る"意味を為していくカタルシス。ページをめくるたびに、瞬間、瞬間の煌めきのようなものを感じてしまうのです。
ちなみに、今年1番読み直した漫画はクリハラタカシの『冬のUFO・夏の怪獣』です。
- 作者: クリハラタカシ
- 出版社/メーカー: ナナロク社
- 発売日: 2015/08/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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*1:Ⓒエキセントリック少年ボーイのテーマ