青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

松本壮史×三浦直之『それでも告白するみどりちゃん』

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『それでも告白するみどりちゃん』というなにやら画期的に新しいドラマが始まった。そのドラマは、テレビの地上波放送でなく、ローカル放送でもなく、ニコニコ動画でもGYAO! でもなく、カルチャー動画メディア「lute/ルーテ」のInstagram 上のStoriesにて展開されるのだという。インスタのストーリー機能というのがどういうものなのかよくわかっていないので、そこは詳しい人に譲りたいのだけども、とにもかくにもそれは史上初の試みであるらしい。


1/31(水)から2/7(水)の8日間にわたって3分間のドラマが毎日18:00に更新されていく。すなわち全8話。最新話が更新されると、前話を視聴をすることはできなくなってしまう。24時間限定の3分間の命、刹那型の儚いドラマなのである。ちなみに画角はスマートフォンで観ることを想定して、縦長。ときにドラマはスマートフォンの動画撮影機能画面に切り替わり、わたしたちのスマホがジャックされたような感覚に陥る(lyrical school「RUN and RUN」だ!)。そんなまったく新しい形態のドラマの監督と脚本を任されたのは松本壮史(THE DIRECTORS FARM/ Enjoy Music Club)と三浦直之(ロロ)、『デリバリーお姉さんNEO』(2017)においてもタッグを組んだナイスなコンビ。とくれば、音楽を担当するはもちろん江本祐介(Enjoy Music Club)、ドラマをポップに彩ります。


タイトルの通り女子高生みどりちゃん(りりか)が想いを寄せる谷口くん(中島広稀)に告白をする。ひたすらに告白する。パンパンに膨れ上がったみどりちゃんの気持ちは、そこいらにありふれた言葉なんかではとても伝えきれないから、1話ではダンス*1で、2話では本で覚えた超能力を駆使して、3話ではあらゆる宇宙の恋人たちを結んできた「全ての愛の言葉をたったひと言に凝縮した特別な言語」でもって、告白する。今後もあらゆるバリエーションで告白を為していくのだろう。どうやらみどりちゃんはちょっとエキセントリックな女の子らしい。その多彩なバリエーションの告白の数々は、不気味がられたり、宛先違いだったり、と谷口くんにはなかなか伝わらない。けれども、みどりちゃんの”好き”の気持ちは、確実に「世界」を輝かせているのである。告白を見守る友達のくらっち(亘理舞)もいつも楽しそうだ。『デリバリーお姉さんNEO』1話にはこんな台詞が出てきた。

好きって気持ちがあるとさ
周りの景色もキラキラするでしょ?
あたしが見てるキラキラは
あたしだけのものじゃないって思うの
そのキラキラは別の誰かが見てる景色も
少しは輝かせてくれるって思うの
あたしの世界が色づく時
世界も本当に色づくんだって
あたし信じてる

みどりちゃんの少しズレたチューニングで発される”好き”は、たとえ谷口くんに届かなかったとしても、世界そのものを欲情させ、煌めかせる。それはもう眩しいくらいに。ピカっと光って、儚く消える。まさに青春そのものみたいなラブコメディドラマ。残りの5話もマストチェックでいきたいと思います。



ちなみに、主演のりりかは松本壮史がディレクションを務めたCM『日本郵便WEB CM 「SNSでつながるあの子」篇』でも起用されている。三浦直之の独特で癖のあるキャッチーな台詞廻しをキュートに乗りこなしている。谷口くんを演じる中島広稀は、同じく松本壮史が手掛けた乃木坂46個人PV「アイラブユー」や『デリバリーお姉さんNEO』でお馴染み。もはや松本組と呼んでいい信頼のキャスティング。さらにロロ繋がりの舞台俳優たちが混ざり合っていくそうな。これは見逃せませんね。

*1:振付はロロの島田桃子