青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

2012-01-01から1年間の記事一覧

マームとジプシー『ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。』

チェーホフの『桜の園』的なモチーフ。100年の歴史を誇る生家が、解体されてしまう兄弟の話。あえて語られない細部とやや退屈なリフレインによって、ついつい自分の記憶と対話を強いられる。亡き祖母の家の事なんて考えて、思わず少し泣いてしまった。本当に…

moscow club というバンド

moscow clubというバンドに夢中だ。驚くべき事にほぼ全ての音源がbandcampでフリーダウンロードできてしまう。しかし、この人達が何者なのかさっぱりわからない。「moscow club」とgogleで検索してみると、当然のようにロシア語が飛び出してくる。「moscow c…

両想い管打団! LIVE in 渋谷WWW

凄いものを観てしまった。両想い管打団!のライブをついに観る事ができたのだ。しかも、PAは西川文章。一体ステージには何人のミュージシャンがいたのだろう。音が、声が重なり合うというのはあんなにも美しい現象だったのか。それぞれに違う音を奏でる人達…

最近のこと(2012/09/05~)

仕事が比較的忙しい週だった。オフィスで残業中に突然携帯から「とっても行きたいっ!ユナイテッドオブステイツアメリカっ!」と大音量で流れ出すとうう誤作動を起こしてしまった。恥ずかしかったけども、シャムキャッツのライブがとても観たくなりました。…

私立恵比寿中『ほぼブラジル』

Go!Go!Here We Go!ロック・リー/大人はわかってくれない(初回生産限定盤A)アーティスト: 私立恵比寿中学出版社/メーカー: DefSTAR RECORDS発売日: 2012/08/29メディア: CD クリック: 15回この商品を含むブログ (22件) を見る私立恵比寿中学のメジャー2ndシン…

Chilly Gonzales 『Solo Piano 2』

7年前にリリースされた『Solo Piano』は心のベスト10入り間違いなしの愛聴盤だ。美上がり切らず下がり切らず、感情の振り幅から解放された、どこでもない場所を鳴らしているような音。どこかまとまりがなく、たゆたう凪のような。何も考えたくない時間に流す…

最近のこと(2012/09/01~)

なんだか涼しくなってきました。もうすぐドラえもんの誕生日だし、藤子F不二雄ミュージアム開館1周年という事で再び盛り上がっている。ローソンでもキャンペーンが始まり、『Pen』でも特集号が組まれています。Pen+ (ペン・プラス) 大人のための藤子・F・不…

『山下達郎シアター・ライヴ PERFORMANCE1984-2012』

冒頭は1980年代、90年代のライブ映像が続く。ヤング達郎のスタイルの良さ。「SPARKLE」「LOVELAND, ISLAND」と言った名曲のオンパレード。完璧に制御されたバック陣の演奏、山下達郎によるギターカッティングのかっこよさ、ドゥー・ワップのリズム感、そして…

わっしょいハウス『エーテル』

古い一軒家に共同生活する若い男女5人、それに管理人と犬。舞台は夏の京都。何やら「エーテル」と呼ばれる謎の生物が大量発生しているらしい。何かが起こりそうな予感に満ち満ちている。しかし、立ち上がる会話もロマンスもどこか空回りで、始まりそうで始ま…

ジョルジュ・メリエス『月世界旅行』

ジョルジュ・メリエス『月世界旅行』とそのカラーフィルムの修復、そしてメリエスの栄光と挫折を追ったドキュメンタリー『メリエスの素晴らしき映画魔術』の2本立てをイメージフォーラムで観賞。マーティン・スコセッシの『ヒューゴの不思議な発明』に詳しい…

The Teenagersというバンドについて

The Teenagersは今何をしているのだろう。1stアルバムが出たのは2008年であり、わずか4年前なのだけども、ずいぶん昔のバンドのような気がしてしまう。The Teenagersというのはロンドン在住のフランス人によるバンドだ。そのナードな佇まい、チープなシンセ…

最近のこと(2012/08/15~)

結局3回もロロの公演に足を運んでしまった。3回目観賞時のトークゲストは監督のいまおかしんじ。三浦君がとにかく舞い上がってきょどっていたのだけど、いまおか監督への愛が漏れ出ていて、いいヴァイブスだった。いまおか監督が「昔の彼女を思い出した」と…

ロロ『父母姉僕弟君』

傑作だ。いつもより抑え目の演技でジワジワと感情を揺さぶる亀島一徳や「まさに天使」という感じにキュートネスとサッドネスを炸裂させる島田桃子らの役者陣、トイピアノ、フルート、三味線、鉄琴らが一斉に奏でる音楽前夜社からの素晴らしき提供楽曲、舞台…

三浦直之(ロロ)×高城晶平(cero)トーク

ロロの公演『父母姉僕弟君』のアフタートークゲストにceroのフロントマン高城晶平が登場した。ロロ主催の三浦直之の対話で印象的だった箇所をメモ(敬称略)。 ・高城と三浦は、在学時に面識はないものの日本大学芸術学部の先輩と後輩 ・高城は以前友人に誘…

昆虫キッズ3rdアルバム発売決定!!

昆虫キッズの3rdアルバム『こおったゆめをとかすように』の9/19(水)発売決定。しかもCDとアナログが同時発売だ。なんと後、1ヶ月くらいで聞けてしまうのだ!発表から1ヶ月後に発売というのは店舗などへのプロモーション活動の面ではどうかわからないのだけ…

ザ・なつやすみバンドワンマンライブin下北沢440

ザ・なつやすみバンドのワンマンライブが7/30に下北沢440で行われた。なんて美しいバンドなんだろうか。関口政史率いる謳音カルテットによる弦楽四重奏との融合。J-POPのバラードにおける感情を煽るだけのストリングアレンジとは異なり、ザ・なつやすみバン…

『POP SONG 2 U』in 西麻布eleven

西麻布elevenにて開催されたTomato n’ Pineのイベント『POP SONG 2 U』に行ってきた。出演は住所不定無職、ライムベリー、Tomato n’ Pine、そしてDJ3組で17:00〜22:00の5時間ぶっ通しのパーティーです。電波も繋がらない中、孤独と闘いつつも、楽しむこと…

パブリック娘。『パー連れ/パー抜け』

とにかくパブリック娘。に夢中だ。パブリック娘。の魅力にてっとり早く気づく事のできる動画はこれではないかしら。いや、ほんとは音源『初恋とはなんぞや』『Summer Chance』『そんなことより早く、このパーティーから抜け出さない?』の3枚をダウンロード…

ナカゴー『黛さん、現る!』

面白かった。以前観た『ダッチプロセス』は、「悪いハンバーガー」に侵略され、食の危機に始まり「どうして今まで安全、安心と思っていたのかわからなくなった。外に出るのが怖い!」というのが展開されるという、語り口はコミカルながらモロに震災後の空気…

電気グルーヴライブin恵比寿リキッドルーム

電気グルーヴのライブを観てきた。決して熱心な電気リスナーではないので、今回が初ライブ。いや、ちょっとビックリしました。百戦錬磨と言いますか、会場のもっていき方がエグいくらいに上手い。音もギラついていて超快楽的。光と映像のドラッギーな演出で…

細田守『おおかみこどもの雨と雪』

テーマは「子育て」と監督自身がはっきりと述べている。確かに母の愛を主軸に13年という時の流れを巧みに操作して2時間弱に収めた手腕も美しい。しかし、私はこの作品を「選択すること」の残酷さを肯定する試みの映画として評価したい。作中での、人間として…

ハイバイ『ポンポンお前の自意識に小刻みに振りたくなるんだポンポン』

今回が再々演だそうで、まごうことなきハイバイの代表作の1つなのでしょう。今作で取り上げられる『ファミコン』『グーニーズ』『ミシシッピー殺人事件』『たけしの挑戦状』『キン肉マン』『ひょうきん族』etcといった固有名詞は観る人の世代によってはかな…

五反田団『五反田怪団2012』

アトリエヘリコプターにて五反田団『五反田怪団』を観賞。今年もサイコーに面白かった。ようは役者何人かの怪談話を聞くだけなんですが、なんというか旅先で夜に布団を並べて話すあの楽しさに参加しているような気分になれるのがたまらない。2部で披露される…

山下敦弘『苦役列車』

音の映画だな、と思う。印象的な音に満ちている。前田敦子の笑い声であったり、彼女が老人から採ってあげる尿の音であったり、森山未来の食う飯の音だったり、猿の鳴き真似であったり。最も印象的なのは森山未来の放つ”僕”という響きだろう。”僕”という一人…

tofubeats 『水星 feat オノマトペ大臣』

久しぶりに堂々とアンセム然とした佇まいの楽曲の登場が喜ばしい。神戸の夜の匂いを吸い込んだエレピアノとシンセサイザーのアーバンメロウサウンドが心地よい。別に新しくとも何ともないけど、オートチューンをかけたボーカルがいいのだ。ちょっとだけ声を…

パブリック娘。『そんなことより早く、このパーティーを抜け出さない?』

パブリック娘。なるラップユニットの音源を聞いた。なMaltineRecordsの蒔いた種は既に開花し始めている。雑多なサンプリングセンスが発揮されたトラック、あらゆるラッパーへの憧れを隠さないナード感漂うフロウ、故に開かれた圧倒的なポップネス。んでも大…

高畑勲『平成狸合戦ぽんぽこ』

コミカルさと虚無が同列に横たわっているのに震える。『もののけ姫』が到達した境地を、ライトな語り口でもって達成しているのでは、という気さえしてくる。環境保護を訴えるメッセージが強烈な印象だが、根底に流れるのは「タヌキだってがんばってるんだよ…

下北沢インディーファンクラブ2012

今年も都市型フェス下北沢インディーファンクラブに参加してきました。お目当てのアーティストの出演時間のかぶりや入場規制などで涙を多く流すこのフェスですが、なんだかんだ楽しい。街全体がフェス仕様でお祭り騒ぎなのです。今年は歩いても歩いても、路…

ミツメLIVE in 下北沢シェルター

ついに4人編成のミツメを目撃する事ができた。しかも、下北沢シェルターで。これはいずれ、20年前にスピッツを新宿LOFTで観たというのと同様に、誇れる事実になるに違いありません。しかし、驚いた。完全体となったミツメは、これまでに何回か観てきた3人編…

マームとジプシー『ドコカ遠クノ、ソレヨリ向コウ 或いは、泡ニナル、風景』

主催の藤田貴大が大学卒業して間もない頃に上演した作品の再演。リフレインや過剰な運動による肉体への負荷、「演劇やりまーす」というようなメタ構造、音楽の空間への響かせ方、などここ数年のマームとジプシーの方法論を研ぎ澄ました集大成のよう。尾野島…