青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

私立恵比寿中『ほぼブラジル』

私立恵比寿中学のメジャー2ndシングル『Go! Go! Here We Go! ロック・リー / 大人はわかってくれない』をヘヴィーローテーション中だ。とにかく今夏最高の1曲がすべり込みセーフで登場だ!と興奮を隠し切れないのが、「初回生産限定盤A(ブラジル盤)」のカップリングに収録されている「ほぼブラジル」である。これはもうエビ中の楽曲で1番好き。前山田健一が「えびぞりダイアモンド!!」「ザ・ティッシュ 〜とまらない青春〜」「エビ中一週間」「オーマイゴースト?〜わたしが悪霊になっても〜」などの名曲郡をエビ中に残した業績には最大の敬意を払いながらも、ここ数作においては氏を遥に上回る楽クオリティの楽曲を提供しているクリエイターがいる。それが、「さつき が てんこもり」だ。

『もっと走れっ!!』に収録の「売れたいエモーション!」、『仮契約のシンデレラ』に収録の「歌え!踊れ!エビーダダ!」も素晴らしいかったが、この「ほぼブラジル」は決定打。楽曲のコード進行、メロディの抜き差し加減がとにかく、絶妙なのだ。「一体何者なのか!?」と検索してみると、ニコニコ動画界では超有名なクリエイターらしい。

これまではボーカロイドに歌わせていたわkですが、エビ中におけるさつき が てんこもりの楽曲は、生身の少女達の躍動するボーカルを使用できる喜びに満ちていて、とにかくボーカルラインが凝りに凝っている。ボイスサンプリングのフックに満ちたアレンジもナイス。また、それに応える私立恵比寿中学の表現力も、1年前からは考えれないくらいに向上していて、ちょっと泣けてきてしまうほどだ。ハモリのコーラスも実に凝っている。しっかり全員に振り分けられて、それぞれの個性を発揮させるパート配分もエビ中の魅力。

この「ほぼブラジル」はモーニング娘。の「そうだ!We're ALIVE」が念頭にあったのではないだろうか。「往年のハロープロジェクトでのギラついていたつんく♂のクリエイティビティに負けず劣らず、いや、その一歩先を行く出来栄え。ファンキーなリズムパターン、的確に入ってくるシンセ音、完璧なサビ、そして、サビ前にこれでもかと挿入される美味しいメロディ。

ただでさえ蒸し暑い毎日
ハートウォーミングはお呼びじゃない

意味なんてないけど それでも今日も走るよ

というシニカルな立ち位置表明も痛快で。そして、うだるように暑いが、あまりにも短い夏を、ノスタルジックに的確に描写していて泣ける。ほぼブラジルって多分「黒い魔神」ことボボ・ブラジルからだ。

泣けますね。いや、そこは別に泣けないか。今後もさつき が てんこもり先生と私立恵比寿中学の美しい関係を聞き続けたい、いつか表題曲も!と祈る。