青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

2017-01-01から1年間の記事一覧

最近のこと(2017/09/16~)

8月が曇天続きだったせいなのか、9月にしては雨が少なかった気がする。例年より残暑も厳しくなかったが、上着を着るのはまだちと早い。「これはもう完璧に秋が来たな」という日に、パーカーとかカーディガンを羽織って出掛ける時の、あの得も言われぬポワン…

近藤聡乃『A子さんの恋人』4巻

『A子さんの恋人』の待望の新刊が発売。あぁ、おもしろい。巻を重ねるごとに加速度的におもしろいではありませんか。コマの隅の隅まで楽しませ、心の柔らかい場所をこれでもかと刺激する、魔術的1冊だ。この作品の魅力は多岐に渡る。簡潔かつ官能的な線とコ…

最近のこと(2017/09/02~)

全日本コーヒー商工組合連合会という実にくどい名前の団体のポスターがかわいかった。この夏、喫茶店によく貼ってあった。しかし、もう疑いようもなく秋である。毎年9月は残暑の中で「秋はどこへ行った?」と大騒ぎだったのだけども、今年は確かに秋が存在し…

小沢健二とSEKAI NO OWARI『フクロウの声が聞こえる』

約20年の空白を経て、小沢健二が再び表舞台にその姿を現した。しかも、とびきりの新曲を携えて、だ。もう「懐メロ出稼ぎおじさん」といったような揶揄は通用しないだろう。ニューシングルはまさかのSEKAI NO OWARIとのコラボレーション。度肝を抜く発想と行…

坂元裕二「朗読劇ーVOICE OF BOOK」第一夜『カラシニコフ不倫海峡』

『往復書簡 初恋と不倫』の出版を記念して、「朗読劇ーVOICE OF BOOK」が、テアトル新宿で上演された。二夜限定の催しの内の、第一夜『カラシニコフ不倫海峡』を目撃することができた。読み手は豊原功補と酒井若菜。この坂元裕二の朗読劇は2012年、2014年に…

ひめだまなぶ『クルマごっこ』

姫田真武(ひめだまなぶ)の作るアニメーションの中で、この『クルマごっこ』が1番好きだ。各地の映画館で作品上映前に流れていたようで、ゲリラ的に遭遇したこのアニメーションと歌が、頭から離れず困ったという人も少なくないのではないだろうか。そんな方…

大根仁『ハロー張りネズミ』8話

FILE No.1から3までの慌ただしいジャンルの衣替えは、放送開始直後ということもあり、置いてけぼりにされるような感覚があったが、各キャラクターが物語に馴染んできた6話以降は好調だ。視聴率もわかりやすく回復の傾向を見せていて、何だかんだ視聴率も、指…

ナカゴー『地元のノリ』

上京した都市生活者の”寄る辺なさ”のようなものが、水木しげる的な”妖怪”として語られている。人知れず孤独を抱えるファミレスのバイトスタッフの2人が休憩時間に、突如として友人関係を結ぶ。友達になった彼女たちは、互いの秘密を告白し合う。彼女達の正体…

アジズ・アンサリ『マスター・オブ・ゼロ』Season 2

しばらくの間はどんなドラマを観ても、「そんなのアジズ・アンサリがとっくにやっているよ、それも完璧な形でね」なんて生意気なことを唱えてしまいそうである。それもこれも『マスター・オブ・ゼロ』のせいだ。それほどに今年リリースされたシーズン2の素晴…

最近のこと(2017/08/24~)

まずい、このままでは8月の記事数がブログ開設以来初の一桁になってしまう!と、慌てて「最近のこと」を書き飛ばすことにする。あんまり書くことないのだけども。今月は10本しか更新できなかった・・・なんて思っていたけど、冷静に考えれば3日に1本ペースと…

ままごと『わたしの星』

私たちはまだ1人じゃない という劇中での台詞がいたく感動的であった。今作における個性豊かなキャラクター達は、柴幸男がそれぞれのキャストの資質を見極め、あて書きしたものだという。そんな風に、”固有の個性の輝き”のようなもの書き分けながらも、一方…

神戸・京都旅行記

スパイスとサウナの旅にしよう、そう決めていた。スパイス×サウナだなんて、想像しただけで快楽の坩堝に蕩けてしまいそうではないか。土日を入れて三泊四日のささやかな夏休みであるからして、行先は神戸・京都に決定した。わりとすんなりと。関西方面はカレ…

岡田恵和『ひよっこ』20週目「さて、問題です」

あるど、澄子 おめえにいいこどはある 起ぎるよ そのいいこどっていうのは・・・5分後に始まります さながら預言者のような豊子(藤野涼子)がいる。思わせぶりな台詞の数々に、「なんだ、なんだ?優子に続いて結婚か?」と、澄子(松本穂香)のみならず視聴…

最近のこと(2017/08/05~)

youtu.be Hi,how are you?の「お盆」はもはやクラシックです。お盆休みに10連休なんていうのは、夢のまた夢なのだけども、世間の浮ついた空気に便乗して、何となくボケーっとしている。お盆に読みたい漫画、という趣旨の記事を「文春オンライン」に寄稿させ…

アジズ・アンサリ『マスター・オブ・ゼロ』Season 1

ソフトバンクの広告が若者たちを「スマホと大人になっていく たぶん初めての人類」と表現していたのだけども、アメリカでは1980年代から2000年頃に生まれた世代を一括りで”ミレニアル世代”と呼び、デジタルネイティブ扱いしているらしい。なるほど、アラサー…

若林正恭『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』

星野源とオードリー若林正恭。この国の”生き辛さ”を抱える人々のか細き声を代弁してきたメディアスターだ。”人見知り”という自虐を武器に成り上がってきた2人だが、年齢を重ね、活躍のステージを上げていくにつれ、奇しくも共に”人見知り”を克服した旨の宣言…

最近のこと(2017/07/29~)

フジロックが終わってしまい、どこかセンチメンタルな気分になっている。祭りのあとの妙な寂しさに包まれているのだ。苗場に行ってないし、行ったことすらないというのに。Twitterだのインスタだので、あまりにフジロックの情報をリアルタイムで浴びているが…

ピエール・コフィン/カイル・バルダ『怪盗グルーのミニオン大脱走』

ミニオン達のそれぞれのキャラクターを見分けるのは困難を極める。彼らは無数に存在するが、そのルックのバリエーションは、一つ目、二つ目、デブ、チビ、ノッポくらいのもの。しかし、彼らはそれぞれに個性があって、ケビン・ボブ・スチュアート、ティム、…

岡田恵和『ひよっこ』17週目「運命のひと」

NHKの連続テレビ小説『ひよっこ』が俄然おもしろい。あかね荘編がスタートしてからも、個性豊かな登場人物らはみな一様に愛おしく、宗男おじさんとビートルズ来日、乙女寮同窓会、みね子の初恋・・・などなどずーっと良質なおもしろさをキープしております。…

ナカゴー『ていで』

ナカゴーという劇団の現時点での最高傑作と言ってもいいのではないだろうか。「浅草九劇」という会場にも驚かされた。ちゃんと劇場なのだ*1。ここのところは、催事場、公民館、廃校スペースといった一風変わった場所でばかり上演してきたナカゴーである。お…

最近のこと(2017/07/21~)

かりあげクン(60) (アクションコミックス)作者: 植田まさし出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2017/05/27メディア: コミックこの商品を含むブログを見るコインランドリーに置いてあった『かりあげクン』をパラパラ読んでいたら、かりあげクンは毎週のように海…

最近のこと(2017/07/14~)

ジョージ・A・ロメロ、追悼。なんて綺麗な目で腐った死体を動かしていたことでしょうか。晩年の『ランド・オブ・ザ・デッド』『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』『サバイバル・オブ・ザ・デッド』の感じも好きなのだよな。何がしかのゾンビの端くれとして、ご…

田中嗣久×高橋一生 NTTドコモ25周年CM『いつか、あたりまえになることを。』

高橋一生は本当に素晴らしい。NTTドコモとMr.Childrenが25周年を迎えることを記念して制作されたCM『いつか、あたりまえになることを。』を貴方はご覧になっただろうか。いや、よくあるタイプの作品なのだ。『ニューシネマパラダイス』的手法で”眼差し”をダ…

大根仁『ハロー張りネズミ』1話

まあ、調査費用はふっかけられるかもしれませんが 何せドブネズミのような連中ですから 片桐(矢島健一)の“ドブネズミのような連中”という言葉に導かれて、スナックのカラオケでTHE BLUE HEARTSの「リンダリンダ」が流れる。 ドブネズミみたいに美しくなり…

最近のこと(2017/07/08~)

youtu.be 応援しているヤクルトスワローズがもうあまりにも弱くて、不機嫌極まりない毎日を過ごしております。そんな中、Lampだけが心の清涼剤で、最近はもっぱら『ランプ幻想』と『東京ユートピア通信』を愛聴している。ランプ幻想アーティスト: Lamp出版社…

坂元裕二『往復書簡 初恋と不倫』

男女がキスをしている後ろで車が燃えている写真を見たんです。ラブストーリーでも男女だけで成立するわけじゃない。社会で起きている色んなことが作用するし、逆に男女の間で起きていることが社会にも作用している。 これは、是枝裕和との対談(『世界といま…

最近のこと(2017/06/30~)

土曜日。陽が出ていないけども、洗濯物は溜まっていく。仕方がないので近所のコインランドリーへ行き、乾燥機を回すことにした。コインランドリーって不思議な場所だ。ドラマが生まれる予感しかしない。生まれた試しなんてないのに。コインランドリーにおけ…

あだち充『クロスゲーム』 あだちラブコメの"幽霊"という主題

あだち充の『クロスゲーム』は何匹目の柳の下のドジョウなのか。連載開始当初の印象はまさにこれであった。国民的漫画となった『タッチ』、そしてキャリア最高傑作と言える『H2』、高校野球×ラブコメはあだち充の鉄板とは言え、35年のキャリア(連載開始当時…

坂元裕二×是枝裕和トークショー『ドラマの神様は細部に宿る』

坂元裕二と是枝裕和、この字面の並び!!何度だって反芻したい。坂元裕二×是枝裕和トークショー『ドラマの神様は細部に宿る』に参加してきたのだ。”テレビドラマ”を語るにおいて、この上ない組み合わせを実現させた早稲田大学演劇博物館に溢れんばかりの感謝…

最近のこと(2017/06/23~)

youtu.be 梅雨ですね。最近のことです。金曜日。週の仕事の終わりに、池袋から椎名町方面へと歩いた。梅雨らしい蒸し暑さで、汗ばむ。立教大学の裏側にある銭湯「あずま湯」へ赴いた。こぢんまりとしながらも、お風呂の種類が豊富で、地元のお客さんで賑わっ…