青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

カクバリズム&LIQUIDROOM presents cero×スチャダラパー

cero×スチャダラパーのツーマンライブを恵比寿リキッドルームで目撃。リキッドで4時間立ちっぱなしの辛さときたら!という話なのですが、この日のceroの演奏があまりに良過ぎて、もうそれはいいっこなしであります。BTBのメロウかつアッパーな(山下達郎の「Dancer」が!)なDJ SETの後に「翼をください」を奏でながらスチャダラパーが登場。スチャなりのギャグらしいのだけど、既にエヴァがあるので、そのギャグはキレがなくないかしら。バンド編成を従えてのパフォーマンスでした。kasifのギターと鍵盤を主軸においた、メロウファンクなライブでした。「アーバン文法」とか「GET UP DANCE」ともかやるのかー。秋もいよいよ本番って時に「サマージャム’95」をラストに披露するもんだから、結局その印象しかないな。やたらと「ceroのお客さんは〜」というMCをしていたけど、「うるせぇい、ceroのファンはお前らの事も好きじゃい!」という気持ちでした。良かったような気もするんだけど、何と言うか「あぁ、スチャダラパーだ」という感想以外湧いてこない、可も不可もないライブでありました。曽我部恵一のDJ(「ブッタの休日」のドロップ!)をはさんでceroの登場。

いやはやちょっと圧倒的だった。cero世代もcero以降も、たくさん生まれたように思いますが、トップランカーは伊達じゃない。元々ズバ抜けていたセンスに加えて、必要なものを次々に獲得している。目に見える進化ってこんなに興奮するのだな。出音が圧倒的にいい。PAの得能直也とリキッドの相性なのか何なのか。光永渉の超絶的なドラムプレイを中心にリズムと管楽器が複雑に絡み合っていく。そんなバンドアンサンブルの迫力がくっきりと響いていて、終始鳥肌が止まりませんでした。あれ、もしかたら今まで観てきたceroのライブの中で今日が1番かっこよくないか?と自問自答してニヤニヤしてしまった。うれしかったのが、高城さんの声だ。ここ1年くらいでしょうか、喉を悪くしてしまったようで、声から潤いが無くなっていたように思います。気持ちよく歌えていない感じが聞いていて、とてももどかしかったのだけど、この日のライブでのボーカルは最近聞いた中では1番”歌”だった。新しい歌い方を会得したのでしょうか。リバーブとかエフェクトを多用して、声を楽器のように使うシーンも印象的。しかも、ソウルマナーのようなものも体現していて、表現者としてのステージが更に1つ進んだような感動を覚えました。


そして、新曲群の充実。この日は「21世紀の日照りの街に雨が降る」「cloud nine」「マウンテン・マウンテン」「大停電の夜に」という以前のライブでの鉄板4曲が披露されていない。それでいてこの満足感。頼もしい。「elephant ghost」「Summer Soul」「orphans」といった新曲群がみるみる研ぎ澄まされ、メロディーやリズムの輪郭が輝き出している。「orphans」には泣かされてしまった。橋本さんのceroへの初卸し曲というトピックも、ソウルと小沢健二の折衷点のようなスウィートさも、高城さんのリリックも、その全てが特別だ。特にリリックは「別の世界では 2人姉妹だったのかも」とバイクで海を目指す高校生の男女の青春劇。しかも、そのタイトルが”orphans(孤児)”だというのだから泣けて仕方ない。高城さんの安達哲イズムよ。

さくらの唄 1 (ヤングマガジンコミックス)

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バカ姉弟 (1)     ヤンマガKCデラックス

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1stアルバムの1曲目「ワールドレコード」に“Orphans go frontier”というリリックがあったことを思い出す。この2人の事だったのか。「夜去」という新曲にも”巨大なレコードの上”という歌詞が登場し、同一の世界観を拡大していっているのが見受けられる。リズムや演奏の進化と共に、高城さんのストーリーテーラーぶりも今後目が離せない。噂に聞く小沢健二「一つの魔法(終わりのない愛しさを与え)」のカバーも素晴らしいはまり方でした。

『Eclectic』におけるオザケンのフロウは高城節に大いに影響を与えているなぁ、と思った。新アレンジの「さん!」やアンコールでの「今夜はブギーバッグ」もばっちり。「今夜はブギーバッグ/あの大きな心」バージョンのような橋本さんのギターがかっこよすぎます。とにもかくにも、「Yellow Magus」披露前に発された「この魔法のような夜に」というMCがこの日のライブを全て物語っていたように思うのです。