ceroが『SMAP×SMAP』に出演、というあのあまりにもエポックでメモリアルな出来事が「2016年3月7日」*1に巻き起ったという事実を、数年後に振り返る為に記し残しておこう。ceroファンにSMAPを嫌いな人などいないように思いますが、私もご多分にもれず双方がダイスキ。熱に浮かされて、ceroの事を「インディー界のSMAP」なんて評していたり、解散騒動にも夜も眠れず涙したものでした。であるからして、ceroとキムタクがユニゾンしているなんていうのは、ちょっと信じ難い夢のような時間だったわけです。本当はtwitterなんかで「す、すげー!!」と100回くらいつぶやいてもよかったわけですが、何故かクールを気取って「あれ、草なぎくんいた?」とかどうでもいい事をつぶやいてしまったので、ここで叫ばせて下さい。凄すぎるぜ、cero!!!勿論、草なぎくんのことも大好きです。
国民的アイドルが無名のインディーバンドを番組に呼びセッションする。いやはや、こんなにも大きく振り幅のあるフックアップってそうそうお目にかかれるものではないでしょう。事の始まりは、香取慎吾さんがceroの音楽を気にいった事からだそうで。
今号のオリスタで、香取慎吾さんが「最近よく聴く音楽はcero」とおっしゃっている…!「『マクベス』がお気に入り。小沢健二やスチャダラパーを彷彿とさせる歌モノで、聴けば聴くほど気に入っている」そうです。
— 彩ちゃん (@aya717) 2015年10月24日
SMAPとceroの双方を愛する熱心なファン(『ORICON STYLE』をチェックしているという時点で素晴らしいですね)の方がそれを発見した際のツイート。稲垣吾朗さんがポップカルチャー愛好家というのはよく耳にしましたが、慎吾さんもそっち方面に造詣があるとは勉強不足で把握しておりませんでした。こういう話を聞くと、いつも「好きなら番組に呼んでくれればいいのにな」とか思うわけですが、そういったフックアップが古い慣習に囚われたテレビ業界で実現された例というのを、少なくともこの国のポップミュージックの中では見かけた記憶がありません。ましてやSMAPの、それも屋台骨の『SAMP×SMAP』という番組でそんな絵空事が実現されるだなんて誰が思いましょうか。せめて、あっても『SmaSTATION!!』だろう!と。いや、本当に凄い。
お前(慎吾)金もらってんのか?
と、今回のceroの出演がいかに凄い、いや、異例な事であるかを示す補助線を軽妙なトークの中で引いてみせる中居くんも凄い。今回のこの「SMAP×cero」事件の名は”希望”ですし、街中に「いよいよ 壁はなくなるぞ」とスプレーで書き散らしたい気分でございます。
現実とのつながりが 時には 切れそうなこともあるけど
音楽が終わる頃には 地図は書き換えられるだろう
という披露された「Summer Soul」の一節をそのまま記しても、なかなか気分だろう。「Summer Soul」のイントロにのってSMAPがステージ外から登場するシーンのかっこよさよ。実は渋谷系やシティポップといった懐古主義ではない、ブラックミュージックを日本語のリズムで咀嚼した最新系のハイブリットであるceroのサウンドに、なんら違和感なくのっかる事のできるSAMPの懐の広さ。今回のフックアップや楽曲でのミュージシャン起用の勘の鋭さも含めて、まだまだこの人達がこの国の大衆音楽のトップに居座っていてもらわなくては困る、と改めて感じさせられました。
収録時期は1月頭のようなのですが、報道を鵜呑みにするのであれば、独立騒動を巡っての、「つとぷ」(ツートップ、中居さんと木村さんの事です)の不和がピークに差し掛かっている時期かと思われます。そこでヘラヘラした青年が「中居さんと木村さんが・・・」と切り出すものだから、背筋が凍る思いでございました。高城青年は「高校時代の文化祭の出し物で2人がバンドを組み、教室に人が集まり過ぎて2階の窓から逃げた」という都市伝説の真相を尋ねたわけですが、おそろしい強心臓と言いますか、不和どうこうを把握していなかったとしても、聞きづらい質問ではないか。しかし、これが大ヒット。木村くんと中居くんが言葉を交わす瞬間は見られませんでしたが、少し照れたような2人の絶妙な表情を引き出す事に成功しておりました。それはまるで過ぎた時間を慈しむような。スーパースターの青春時代が、まるで安達哲の漫画みたいなキラキラを纏って響いてきて、むちゃいいフィーリングでございました。あそこで「逃避行のパートナー」と歌われるceroの「Orphans」がバックに流れているのも最高!これからは「SMAPが解散しなかったのは、cero高城さんのおかげ説」と唱えていこうかと思います。