昼過ぎに腹が減って起きるも、冷蔵庫にはピーナッツバターしかない。アメリカ映画みたいだ。この家には米はおろかパンのひとつもないのだ。本来ならば、大阪に住み出していたはずなのだから。ここはひとつUber Eatsにチャレンジしてみようと、アプリで鶏肉屋さんのからあげ弁当なるものを注文してみた。Uber Eatsは配達者の顔写真がマップ上で確認できるのだけども、わたしのからあげ弁当のピックアップに向かってくれているのは金髪のギャルだった。コロナ対策で、玄関前に置くというシステムが導入されたようで、顔を合わすことはない。それでも、少しソワソワしてしまうではないか。Uber Eatsがなければ一生繋がることがなかったであろうギャルの行程をスマートフォンで見つめる。なんだか進まずにグルグルしているのでどうやら迷っているらしい。もうとにかく迷っている。からあげ弁当のホカホカ具合も、ギャルも心配である。家の近くまで来てもずっとグルグルと迷っているではないか。これはもう弁当は冷めていることだろう。「住所〇〇の△△ですよね？」とギャルからメッセージがくる。そう、Uber Eatsは配達者とメッセージのやりとりができるのだ。住所は間違えていなかったので、「そうです」とだけ送ると、しばらくしてインターフォンが鳴った。モニターで確認するとギャルは写真からの想像を超えた鬼ギャルで、サングラスをかけホットパンツを身に纏っていた。ドキドキしながら玄関ののぞき穴で様子を伺う。するとエレベーターから同じ階の住人がギャルと一緒に降りてくるではないか。隣人がUber Eatsの存在を知らなかった場合、わたしはこのご時世にギャル専門店のデリバリーヘルスで濃厚接触をはかろうとする愚か者と思われてしまうだろう。別にいいけど。ギャルがお弁当を置きエレベーターで降り去るのを見届けてから、そっと玄関を開けお弁当を部屋に引き寄せた。ありがとう、ギャル。しかし、蓋を開けてみると、からあげ弁当は無残なまでにグチャグチャになっていた。たしかに自転車に乗っているギャルってあんまり見たことないもんな。もちろん冷えてしまっている唐揚げを頬張りながら、もうUber Eatsを利用するのはやめようと心に誓った。報復が怖いので、ギャル配達員に高評価を押してしまった自分が情けない。
時間はたくさんあるのに、あれほど観たかったドラマや読みたかった本に触手が伸びない。『うしろシティ 星のギガボディ』(TBSラジオ)でも語られていたが、空き時間を埋めなきゃと観ると、途端に作業のように思えて楽しみきれなくなるのだ。没頭できる『あつまれどうぶつの森』に逃避してしまう。頭が痛くなるまでやり続けた。住民勧誘のための無人島ガチャで日長を潰す。この日はかっこいい黒馬のシュバルツで手を打った。はじめてのオレ様系の住民なのでドキドキだ。
東京営業所の後輩から、「ドラえもんの映画どれが1番オススメですすか？」とLINEが来たので、少し悩んで『のび太の魔界大冒険』を推した。パラレルワールドの概念と平行世界すらも救わんとするのび太の心意気に胸を熱くしてくれたらなによりだ。すると、「魔法大好きです！ありがとうございます」と返事が来て、バカみたいでかわいいなと思いました。Netflixでドラえもんの関連動画として『21エモン』を見つけたらしく、「これなんですか？パロディですか？」「ドラえもんとはまったく別物？」「ドラえもんってそんなにシリーズがたくさんあるんですか！？」と怒涛の質問がきたので、さすがにうるせぇなと思いました。でも優しいので、「まったく別物の藤子・F・不二雄先生の作品なんだけど、『ドラえもん』にも21エモンのご先祖様である19エモンが登場する回があるよ」と教えてあげました。無視されました。「わたしもドラえもんの映画を全部一から観直してみようかしら。
今日は楽しみにしていた『ザ・ドリームマッチ2020』(TBS)の放送日。テレビの前で正座して観た。1番楽しいのは結局フィーリングカップルということはわかっているので、冒頭から集中して観た。オードリーの若林さんがモテモテなことに心から笑顔に。ネタも全組もしっかりおもしろくちょっと感動してしまった。ベテラン勢の中で、霜降り明星が2人ともフレッシュかつ天才でうれしい。1番好きだったのは、野性爆弾くっきーとオードリー若林のコンビ。カツラをかぶった若林がほぼ萩原聖人で、映画だった。あの設定で黒沢清が映画を撮ったっていいと思う。くっきーのやりたいアクション、撮りたい画の先行でコントを作っていく姿勢が、もはや巨匠の佇まいであった。ハライチ岩井と渡辺直美の魔人ミュージカルも最高。あれは作曲も岩井さんなのだろうか。1番笑ったのはサンドイッチマン伊達とバイきんぐ西村のコンビかもしれない。男塾名物油風呂って言いたいよな。
