九井諒子『ダンジョン飯』1巻
- 作者: 九井諒子
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン
- 発売日: 2015/01/15
- メディア: コミック
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日常の中の非日常ではなく、非日常の中の日常を描く。一見すると異常な世界観だけど、その世界の住人達にとってはいつもの出来事って感じがするのす。それが心地いいのすのすー。
というのがあって、今作ひいては九井諒子という作家の持ち味は、まさにこの台詞が当てはまる。タイトルからもうかがえる通り、今作はRPGゲームの世界におけるモンスターを食材としたグルメを描いた作品だ。グルメ漫画の体裁を踏襲し、細かい情報や豆知識をふんだんに折り込んでいるのだけど、当然ながらその全ては架空のできごと。実用性はゼロだ。「そんなグルメ漫画、何の意味が・・・」と思うなかれ。実用性という"結果"から解放されたそのディテールの数々は、驚くほどに豊かでみずみずしい。細部が躍動する、というのはこういう作品に付するにふさわしいのでしょう。でも、やっぱり1番凄いのは、その売れ行きからも証左ですが「誰が読んでも面白い」であろう大衆性を、作家性をなんら削る事なく獲得している事でしょう。