青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

BABYMETAL『BABYMETAL』


BABYMETALの1stアルバム『BABYMETAL』を愛聴している。

BABYMETAL(通常盤)

BABYMETAL(通常盤)

私がさくら学院(BABYMETALは元々さくら学院重音部という部活動扱いだったのだ)のファンである事を差し引いても注目すべき作品だろう。ライブの評価も非常に高いが、BABYMETALを観て、その物語性に飲み込まれ、少女の刹那だの覚悟だの運動だの語るつもりはない。それならば、本家のさくら学院を観るべきだろう。


メタルサウンドにアニメソングを想わせるメロディーがのっかる。その方程式からすれば、HELLOWEENのような様式美メタルが出来上がりそうなものの、そういったバタくささは皆無だ。それもそのはず、これはヘヴィメタルサウンドの意匠をハイスペックに纏いながらヒップホップ、レゲエ、宴会芸、祭り囃子などの和のモチーフといった、選び抜かれたジャンルからのギミックがミックスされた混沌のミクスチャーロックなのだ。ギミックの数々はいちいちキャッチーでフック生産工場である。これらは、ももいろクローバーがこの数年の音楽活動で拡張していった「J-POP」フィールドにおけるこの国のコンテンポラリーミュージックの定義をより研ぎ澄ました形と言えるのではないかしら。ソリッドで刺激的、それでいて圧倒的なユーモアとキュートネスを兼ね備えていて、聞き手の感情もミクスチャーなのです。最終的に言いたい事が「イジメは絶対ダメ!」くらいしかない感じもいいな。

しかし、オタクとヤンキーと海外という三大需要を取り込んだ完璧なビジネスコンテンツとして惚れ惚れしてしまうなぁ。DVD無しの通常盤であれば13曲入りながら2,000円という価格設定もにくいぜ。


SU-METALのボーカリストとしてのポテンシャルも堪能。声の伸びもさることながら、「メギツネ」などで魅せる表現力よ。

なんだかんだで結局停滞しているX JAPANを更新した「紅月」もいい。いやはやしかし、Perfumeモーニング娘。鞘師里保、そしてSU-METALとアイドル史を塗り替えるレベルの逸材を輩出し続ける広島アクターズスクールとは一体何なのだ。YUI-METAL、MOA-METALの2人も、前述のユーモア(YU-MOA!!)とキュートネスを存分に撒き散らし大活躍だ。「4の歌」や「おねだり大作戦」素晴らしさときたら!