青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

最近のこと(2020/05/04)

かれこれ3週間、誰とも会うことなく、居住区の半径5キロを超えずに過ごした、過ごせてしまった。ずっと不安に感じている、孤独に死んでいくことへの耐性がこの自粛期間で身につくかもしれない。買い出しに行けていないので、あるだけの材料で再びナポリタンを作る。どんどん上手になっているので、誰かに食べさせたいなと思ったので、わたしはまだまだ孤独への鍛錬が足りない。

自転車に乗って往復20キロほど走った。天気がとても良くて、堂珍と川畑要が言うところの"夏草"の匂いがする。詳しくないけど、たぶんあれが夏草の匂いなんだと思う。途中通り雨に降られたが、それすらも気持ちいい気候。気分がよくなったので、『キテレツ大百科』のOP曲「お嫁さんになってあげないゾ」を聞いた。ソングライティングの妙に加えて、歌っているのがX JAPANのToshlを洗脳していた元嫁というところも含めて好きな1曲です。ちなみにキテレツでもっと好きなのは「ボディーだけレディー」かな。リアルタイムだとOPは「お料理行進曲」世代なのですが、死にたいほど落ち込んでいた時にレンタルしてきた『キテレツ大百科』を永遠と観ていたことがあって(ディスク1枚で3時間くらい収録されているのだ)、全部歌えるほど身に染みついている。もしカラオケで何の前振りもなしに「お嫁さんになってあげないゾ」や「ボディーだけレディー」を歌う女性に出会ったら、どんなに高嶺の花であろうとアプローチをかけてしまうと思うな。これを書いていて思い出したけど、日曜日に子どもらがキテレツを観ていると、「キテレツはドラえもんの紛い物だから」と母はいつも嫌がっていた。

最近、YouTubeチャンネルをよく観るようになったので、チャンネル登録も始めてみた。「街裏チャンネル」「Aマッソ公式チャンネル」「ジャルジャル公式チャンネル」「ジュニア小藪フットのYouTYube」「さらば青春の光official」「しもふりチューブ」「空気階段チャンネル」「ララチューン」「ぼる塾チャンネル」(『しゃべくり007』もよかったですね!)をとりあえず登録しました。「しゅーじまんチャンネル」は金髪に染める動画をついにチェックしましたが、登録するにはいたりませんでした。他の動画は多くても1万回くらいなのに、金髪に染める動画だけ6万回くらい再生されている。金髪似合ってて、たしかに和製エド・シーランなのだけど、それ以上にペンギンズのノブオだった。ときにYouTubeの広告で必ずと言っていいほど流れる、かわいい魚が酷い目に合うフィッシュダムの広告が嫌です。

せっかくの時間をなにか有意義なことに充てたいと思い、ハロルド作石『ゴリラーマン』を読み始めた。

1話、転校してきたゴリラーマンに藤本が足をひっかけて転ばすのだけど、次のページではもう肩組んで仲良くなっているところとかむちゃ良い。学校のトイレのハットリくんドラえもんの落書きも最高。『ゴリラーマン』と『ストッパー毒島』さえあれば漫画はもう充分なのだ、という極論を支持できるほどに好き。古本屋でバイトしていた頃の同僚である中国人留学生のハンさんに「ヒコさんのオススメの漫画教えて」と聞かれた時も、『ゴリラーマン』をオススメした。ちゃんと全巻買って読んでくれたハンさんは「よくわからないけど、顔がおもしろいね」と言ってくれました。ハンさんがバイト辞める時の送別会で歌ってくれたSMAPの「ありがとう」忘れらないな。Enjoy Music Clubの「いいトゥモロー」という楽曲の中に、

給料日前で金ないし
『ゴリラーマン』まとめて読むか

というリリックがあって、この人とは友達だなと思ったその数年後、Mさんと『ストッパー毒島』の佐世保の”代打勝ち越しサヨナラホームラン”について語り合えた時はとても感慨深かった。


長田弘『死者の贈り物』という詩集の最後に収められた「わたし(たち)にとって大切なもの」という詩を読んだ。

なくてはならないもの。

何でもないもの。なにげないもの。

ささやかなもの。なくしたくないもの。

ひと知れぬもの。いまはないもの。

さりげないもの。ありふれたもの。

もっとも平凡なもの。

平凡であることを恐れてはいけない。

わたし(たち)の名誉は、平凡な時代の名誉だ。

明日の朝、ラッパは鳴らない。

深呼吸しろ。一日がまた、静かに始まる。


長田弘「わたし(たち)にとって大切なもの」