青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

『月刊ウォンブ』8月号 ジオラマシーンLIVE


こちら、大橋裕之先生のペンによるウォンブ君。会場は渋谷円山町のホテル街に佇むWOMB。とても行きづらい。『月刊ウォンブ』8月号に参加してきた。仕事終わりに「嵯峨谷」でチャーっと蕎麦を食ってから会場に向かい、厚海義朗トリオとシャンソンシゲル、そしてジオラマシーンのライブを観る事ができた。厚海義朗トリオはその名に反して「4人いる!」というSFバンドだった。ボサノヴァ、荒内さんの鍵盤が気持ちよかった。ジョアンの「3月の水」をカバーも飛び出す。たまに日本語が混ざる感じが「空耳アワー」ぽくてよかった。シャンソンシゲルは初めて観たのですが、コーラジュサイケデリックを人力で鳴らしている。アニコレっぽいな、と思った。イベントの最後に行われたプロレス興行も楽しかった。

ceroの高城さんのクレーム芸が面白い。



物販スペースで、どついたるねんの激ヒット物販「陽気なカツカレーTシャツ」を購入。最初は「なしだろー」とか思っていたのだけども、あまりに着ている人を見かけるし、たまにとてもオシャレに着こなしている人もいたりするものだから、だんだん最高にかっこいいアイテムなのではないか、という気持ちになってきた。

うん、やっぱりかっこいい。で、いざ買って着てみると全然似合わない。これは、あれだ。一時期、一世を風靡したコムデギャルソンの「PLAY」と同じ法則だ。実にやり手である。まずもってカツカレーが大好きだし、陽気でありたいと常に名がっているので、買わない手はない。しかも「陽気なカツカレーTシャツ」は「PLAY」のポロシャツだとかの約10分の1のお値段で購入できる。マストバイアイテムだろう。



この日は何はともあれジオラマシーンだった。言わずとも知れたceroのギタリスト橋本翼のソロユニット。管楽器はトランペットにMC.sirafu、サックスにあだち麗三郎、リズム隊はベース厚海義朗、ドラム光永渉。そして、鍵盤は伴瀬朝彦と中川理沙(コーラス)、というこの間のSIFと同じ編成。中川さん(fromザ・なつやすみバンド!)のような本意気の歌い手がコーラスで添えているというのは贅の極みだ。「ジオラマ」を冠するユニット名の通り、音が立体的だ。生活を高い所から見下ろしてスケッチするかのような俯瞰の視線がジオラマシーンの楽曲にはある。何年か前の情報で恐縮ですが、確か橋本さんのフェイバリットはThe High Llamas小沢健二やKANだったはずで、まさにそれを見事に咀嚼して吐き出したオリジナルかつ豊潤な歌モノが誕生している。歌謡曲のその源流であるソウルやジャズを抽出しつつ、J-POPとしても成立するライティングセンス。小沢健二で言う所の『犬は吠えるがキャラバンは進む』と『球体の奏でる音楽』のブレンドされた、彼が90年代にリリースするはずであったアルバムを、現代的に鳴らしているような音像だ。素晴らしきかな、橋本さんのソングライティングセンス。とりわけ「海水浴の夜」は本当に素晴らしい楽曲だ。「もうジオラマシーンはこれで最後になるかもしれませんが」なんてMCで冗談めいていましたが、どうかこのメンバーで録音して欲しいものです。「はたらけ(仮)」とか「熱の星」とか。