『表現×FALSETTOS×cero』 in Super deluxe
『表現×FALSETTOS×cero』in六本木Super deluxeを目撃。余談だが、この六本木 Super deluxeはチェルフィッチュの『三月の5日間』で登場するライブハウスのモデルなのだそう。出演者である3バンドはなんでも高校生の頃から親交があるそうで、その3バンドが再び一同に会した事への祝祭感に溢れたライブだった。また、その当時から彼らの写真を撮り続けている鈴木竜一郎氏の写真展示も併設、とかなりいいムードだったのですが、内輪感が強くて、肩身狭かったのも正直な所です。しかし、3バンドとも素晴らしい演奏だった。FALSETTOSは漫画のようなバンドで、女子校のクラスメイト4人が組んで、音楽室でせーのででたらめに音を鳴らしたようなかっこよさがずっと持続してきている。ルーズなドラムとその間を埋めるニューウェーブ感ある鍵盤が特に良い。
表現の演奏には度肝を抜かれた。どうやったら日本からこんなバンドが出てくるのだろうか。その出自不明性。楽器のようなボーカリゼーションは音源で聞くよりライブのほうが面白かった。ラストにかけて、高城晶平、MC.sirafu、あだち麗三郎等の管楽器やFALSETTOSの合唱やダンスが加わっての大団円。これでライブが終わらないなんて嘘だろうという盛り上がりの後に登場するceroの心境や如何に。そのアンサーは、ここ何回かの私が観たceroの余裕溢れる優雅なライブとは違う、エネルギッシュで若々しいceroの登場でした。これには興奮させられた。この前日の長野りんご音楽祭では、渋滞に巻き込まれてしまい到着が遅れ、4曲しか演奏ができず不完全燃焼だったそう。その分もこの日に炸裂させるかのような強烈なヴァイブを放っていた。あんなにテンション高いceroの演奏は初めて観る。本当にかっこよかった。セットリストを並べてみれば、この日の攻めの姿勢がおわかり頂けるでしょうか。
マウンテン マウンテン
21世紀の日照りの都に雨が降る
入曽
スマイル
武蔵野クルーズエキゾチカ
exotic penguin night
Contemporary Tokyo Cruise
クラウドナイン
(I found it)Back Beard
MY LOST CITY(新曲)
ceroに対して未だに喫茶ロック的なイメージを抱いていると怪我をします。どえらい黒く、ファンキーだった。カクバリズムの社長様はこの日のceroを「ノーウェーブつうかじゃがたらみたいな」と評していた。とは言え、そこにシンセサイザー、トランペット、スティールパンが甘く絡む。メロディーや音色のアーバンさ。これだけの熱量をあくまでスイートに響かせるのがかっこいいのです。そして、アンコールで披露したのが新曲(粋ですね!)であり、来るべき2ndアルバムのタイトルチューンという「MY LOST CITY」もすごい。拍もメロディーも複雑なファンクチューン。「ダンスを止めるな」というリフレイン、そして「MY LOST CITY」というタイトルから想起するに「風営法」や「震災以降」というタームを内包したアルバムになっているのではないだろうか。おそらく収録されるであろう「Contemporary Tokyo Cruise」や「クラウドナイン」らと組み合わさる事で、生活と地続きの反抗、革命の声が聞こえてきそう。反原発デモですら当たり前のように生活の一部に組み込んでしまう高城晶平の感性をこれからも信頼しております。