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青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

中園ミホ『トットてれび』1話

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当然のように最高!テレビ女優第一号である黒柳徹子の青春記を描いたドラマ作品。脚本は『やまとなでしこ』『花子とアン』などの中園ミホ。演出は『その街のこども』『あまちゃん』の井上剛、音楽は大友良英、ナレーションに小泉今日子と鉄壁の布陣。満島ひかりを中心に据えながら、脇には武田鉄矢(!!)、濱田岳、錦戸涼、大森南朋、荒井浩文、菊地亜希子、ミムラetc・・・とこれまでのあらゆるドラマ作品の連なりをほのかに匂わせる「わかってらっしゃる…」なキャスティング笠置シヅ子を演じた1話ゲストの中納良恵(EGO-WRAPPIN')も絶妙。スピーディーな展開をダイナミックな支えるスタジオ収録ならではの舞台転換もオールドスタイルで痺れる。絢爛な衣装のパレードも目に楽しい。しかし、何はなくとも満島ひかりである。


満島ひかりは現代を代表するドラマ作家坂元裕二から最もその愛を注がれている女優と言っていいだろう。坂元裕二は、人と人はわかりあえないという状況を懸命にサバイブする様を掬い取る作家であり、満島ひかりはそれを最も巧く表現できる女優という事だ。薄っぺらい身体が、必死にそこに在ろうとするあまり脱臼していってしまう。そんな切なさを可笑しみを伴いながら表現する。また、早口、言い淀み、つっかえ、噛みといったノイズ的現象さえもポップに響かせる。孤独な私達が抱え続ける世界とのズレのようなものを、彼女は美しく体現する事ができるのだ。圧倒的にアナーキー、唯一無二の才能。五反田団チェルフィッチュ以降の演技の世界は彼女の為にあると言っていい。


そんな彼女の資質が、“黒柳徹子”という絶対的アイコンの元、気持ちいいほどに炸裂している。満島ひかり演じる黒柳徹子の居心地の悪そうな落ち着きのなさ。更に空気も読めずに、喋れば鼻濁音と早口。そのどれもが、テレビ(ましてや黎明期の)という世界に不向きのようであるわけだが、彼女はそのネガティブに捉えられかねない特徴を、他の誰にもない固有の個性としてサバイブする。テレビ業界を、そして、世界を!むちゃくちゃにエネルギッシュでユーモラスなその青春、まさに愛と笑いの夜。型にはめんとする社会の中で”窓ぎわ”に追いやられたトットちゃんが外にジャンプ、下降しながらも何者かにならんともがく序盤のシークエンスがまずもって素晴らしく、そこからマンモスに乗って上昇するという奇天烈な夢へと結び、トットちゃんがテレビ女優へと変容する。史実として抜群に面白い黒柳徹子の自伝に、イマジネーションと満島ひかりという実存が加わり、ちょっと他では考えられない傑作に仕上がっております。土曜日20:15からをマストチェック。



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