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青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

中園ミホ『トットてれび』2話

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抜群に楽しい。坂本金八とイコールで結ばれている武田鉄矢満島ひかりに当たり前のように「先生」と呼ばれて興奮するのは、『ごめんね青春』(2014)のベストカップル、満島ひかり錦戸亮の並びに歓喜するのは私だけだろうか。しかし、不満がないわけでもない。尺が30分しかないのが主たる要因だろうが、エピソードの掘り下げがどうしてもやや薄い。史実に基づいたこれほどまでに魅力的なエピソードの数々、これはもう「連続テレビ小説」案件である。30分×7話でどうしてもやるというのであれば、渥美清中村獅童)、森繁久彌吉田鋼太郎)、坂本九錦戸亮)、向田邦子ミムラ)といった黒柳徹子の豪華絢爛な交友録も、あれくらいの書き込みしかできないだから思い切ってカットしてしまってもいいような。それよりも、1話での「どうかされましたか?死んだんですか?」のような満島ひかりが体現するトットちゃんのラブリーな”変さ”をもっともっと観たいではないか。今話においても、満島ひかりの”はみ出し方”は、表情や発声からさりげない所作(頭から指の先まで!)に至るまで、とにかく「素晴らしい!」の一言。”窓ぎわ”とか”ふぞろい”という言葉がふさわしい規格外でありながら、どこまでもチャーミーに在り続ける。しかし、このドラマが描きたいのはそういった人間ドラマよりも、かつてテレビが持ち合わせていた圧倒的な力のようなものらしい。それを蘇らせてやろう、という気概が作品に満ちており、そのエネルギーが今作を魅力的なものにしている。過去を顧みながらも、視線はまっすぐに前(未来)を見据えている。82歳の黒柳徹子が100歳の姿で出演しているのが、その何よりの証左だろう。



さて、前述の通り、話自体は薄味なのだけども、フィーリングの積み重ね方は非常に巧みなのです。かつて幼いトットちゃんに「テレヴィジョン」の存在を教えてくれた友だち、泰明ちゃん。彼との思い出である”木登り”という上昇の運動性が、坂本九の歌う「上を向いて歩こう」と同調する。

幸せは雲の上に
幸せは空の上に

泰明ちゃんは病で幼くして空の上に昇ってしまった。もう会う事のできない友人に「夢であいましょう」という調べが流れる。
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テレヴィジョンの語源は「遠く離れた視界」であるらしい。であるならば、大きなお相撲さんですら入ってしまうこの小さな魔法の箱の映像は、もしかしたら遠い所へ行ってしまった友だちの元にも届いているのかもしれない。だから、トットちゃんはその箱の中で懸命に生きる、魔法を信じ続けて。



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