青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

大橋裕之『シティライツ』&奥田亜紀子「神様」

シティライツ(2) (モーニング KC)

シティライツ(2) (モーニング KC)

大橋裕之『シティライツ』の2巻が素晴らしい内容で感動してしまう。冴えない人々の暮らしも俯瞰で見ればシティライツの1つであるという認識。更に

八百屋のみいちゃんにも
お医者さんちのあっこちゃんにも 
静かに夜は来る みんなの上に来る

という矢野顕子の名曲「ごはんができたよ」における、あの突き放したような優しさが作品全体に通底しているのがたまらない。



夢で逢えたら」など、『ドラえもん』の傑作「夢はしご」や「ドリームプレイヤー」またはクリストファー・ノーランの『インセプション』を基に、『デビルマン』的な終末戦争なイメージと並行させながら、冴え渡らない人々の日常を切なく可笑しく愛おしく描き切る力量に舌を巻く。何たる跳躍力。とは言え、『音楽と漫画』で注目された事もあり、そのジャンプ力にばかり目がいきがちだが、そのジャンプに辿り着くまでの構築力が凄いのだ。後、言葉の選択の鋭さ。「ディランの埋蔵金」とか「おばあちゃんお年玉ありがとう!」なんていうのはもうたまらないわけですよ。こうやって書くと何にこっちゃわからないけど。今巻のラストに収められた「音楽」はよいですね。彼らの奏でた「まちのあかり」という曲はやっぱりマリリンモンローズの「シティライト」みたいにへったくそで温かい歌なんだろう。

シティライト

シティライト

  • アーティスト: マリリンモンローズ,常木智史,原川ゆみこ
  • 出版社/メーカー: インディーズ・メーカー
  • 発売日: 2011/11/01
  • メディア: CD
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そして、大橋裕之の仕事の多くに参加している、奥田亜紀子の読み切り「神様」が『アフターヌーン』7月号に掲載された。

月刊 アフタヌーン 2012年 07月号 [雑誌]

月刊 アフタヌーン 2012年 07月号 [雑誌]


IKKI』に掲載された「ぷらせぼくらぶ」は読み逃してしまったので、今作が初めて目を通す奥田作品だったのだけど、たまげました。上の画像の1カット目で「奥村さんの茄子」(『棒がいっぽん』収録)期の高野文子を想起すると思うのだけど、ズバリ、高野文子の系譜にある人だと思う。萩尾望都の『半神』の要素もあって。
棒がいっぽん (Mag comics)

棒がいっぽん (Mag comics)

半神 (小学館文庫)

半神 (小学館文庫)

しかし、必ずピカピカの奥田亜紀子のオリジナリティを磨き挙げて世に大きく名を広めるであろう。市川春子の「虫の歌」が『アフターヌーン』に読み切りとして掲載された時、あまりの衝撃に切り抜いて保存していた友人がいたけど、今作「神様」もそういう作品だ。読み切りがまとまって単行本になる頃が楽しみであります。