青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

tengal6『CITY』


クリエイター集団NEWTRALによるプロデュースで発足したヒップホップアイドルユニット。スポンサーがTENGAのためユニット名はtengal6。かといってエロ要素は排除、ヒップホップアイドルの名に相応しい「脱力ラップ+高品質トラック+萌え」の方程式がしっかりと成り立っております。HALCALIのO.T.Fプロデュース期を彷彿させた「ルービックキューブ」も衝撃でしたが、昨年のシングル「プチャヘンザ!」にて一気に新世代ポップスの最前線に躍り出た。

フルアルバムのタイトルは街。『CITY』には、この街で暮らす人々の声で溢れている。それも、女の子達のお喋りだ。彼氏の事、友達の事、家族の事、ファッションにグルメにスイーツにデートに旅行にダイエット・・・とめどないお喋り、くちびるから散弾銃!「お喋りに花が咲く」とはよく言ったもので、この街の華やかさ、美しさは女の子達のお喋りで成り立っているのではないだろうか。


tofubeats をはじめ、WEEKEND、韻踏合組合餓鬼レンジャー、okadada、Fragmentと新旧問わず、ハードからナードに幅広いクリエイターが高品質のトラック・リリックを提供。それらが彼女たちのお喋りに回収されてしまう様は痛快だ。お喋り最強。フリースタイル風の「〜cypher〜 (skit)」みたいな普通なら恥ずかしくなってしまうようなトラックが最高の楽しく聞けちゃうんだから、かわいいは正義だ。「決戦は金曜日」とか「くちびるから散弾銃」とか「運命のファンク」とか90年代的記号がリリックに飛び出すが、若き彼女達が歌うとそれらは意味性を排したただのフックに満ちたフレーズになる。脱力ラップと言うが、それぞれの声質、喋り方の特徴を最大限に活かしたフロウは、「キャラ立ち6本マイク」の冠に相応しく、聞く人の耳にフックをかけまくる。メロウパーティーチューンといった感じに統一された楽しくも少し切ない音色は、「楽しい時間は終わってしまうけどその一瞬を掴み取り、明日への糧にするのです」というムードを掻き立てている。そのムードを、クラブでの夜から朝、彼女たちのtengal6としての活動にまで広げて物語として回収するアルバムの構成もバッチリ。

CITY

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