青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

最近のこと(2020/03/07)

起床すると空が雨模様なので、洗濯を断念。散髪に出かける。駅前のなんてこない1000円カットなのだけど、7年通い詰めることで、理想の仕上がりを提供してくれる店となっていた。わたしの中の理想は、「確実に量は減ったのだけど、散髪した感がない」というもので、人に「髪切った?」と指摘されないくらいがいい。そこに辿りつくまではそれなりの苦労があった。散髪の仕上がりについてスタッフと会話をするなんて、わたしにはとてもできない。なので、鏡で仕上がりを見せられた際の微妙な表情の変化のつけ方で、ちょうどいい塩梅を擦り合わせてきた。もうここにも来ないのだろうなと思うと、散髪一つをとっても感慨深いものだ。自転車屋でタイヤに空気を入れてもらう。お店の人に「自転車をとても綺麗に使っていますね」と褒められた。ほとんど乗っていないからなのだけども、いい気持ちになった。ときにユニコーンの「自転車泥棒」という曲がとても好きだ。あと、最近の糸井重里にはうんざりしてしまうけども、彼が矢野顕子に書いた「自転車でおいで」はとても好きな歌です。

自転車で下板橋のお気に入りのカレー屋「八仙花」へ。スパイシーチキンとポークビンダルーの2種盛りを食べる。ここのカレーは下板橋という辺鄙な場所になるのでそこまで混んでいないが、都心にあれば行列必至のレベルのお店だと思う。ポークビンダルーの一噛みごとにスパイスが弾けていく感覚は耐え難い喜びだ。このまま自転車でどこか遠出してみようかおと思ったが、風が冷えるので、これまたお気に入りのときわ台の喫茶店「珈夢居」で絶品のウィンナー珈琲を飲みながら本を読んだ。最近手にとる本を少しあげてみると、

小川洋子『小箱』
中島義道『孤独について―生きるのが困難な人々へ』
東畑開人『居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書』
南直哉『なぜこんなに生きづらいのか』
三木成夫『生命とリズム』

喪失感のようなものをどうにかしたいというのが明白だ。もちろん答えはまだ見つからない。しかし、生きることを諦めないように、ひたすらに本を読んで、知識と知恵を蓄えていきたい。「珈夢居」はどの飲み物も本当にウットリするほど甘くて美味しい。そして、いつもニコニコしていてかわいいマスターがいる。喫煙可能な古き良き喫茶店なのだけど4月から全面禁煙になるらしいので、嫌煙家の方もぜひ足を運んでみて欲しい。

洋服を丈直しに出す。出張先の街の古着屋で買ったフランス軍のM-52チノをとても気にいってしまい、色違いで買ってしまった。ウエストはダボダボでシルエットもルーズなのだけど、妙な愛らしさと品があるのです。品質の良さはもちろん、バッググラウンドのおもしろさ、ディテールなどが充実しているミリタリーウエアはコレクション気質を絶妙にくすぐってくるのでおそろしい。最近欲しいのは、80年代アメリカ軍のヘルメットバッグです。

地元の本屋で田中宗一郎と宇野維正の両氏が2010年代のポップカルチャーを総括したという『2010s』を探したけど、売り切れていた。しかたないので、散歩をしながら三原勇希×田中宗一郎によるポッドキャスト『POP LIFE』を聞いた。前回のサザンオールスターズの回も楽しく聞いたが、今回は山崎洋一郎をゲストに迎えての、この20年のJ-POPについて。『SNOOZER』直撃世代なので、少し興奮してしまった。しかし、ここで「よし、自分も20曲選んで発表してみよう」とならないところに加齢を感じてしまう。三原さんが挙げていた木村カエラの「You」という曲を自分も学生時代とても大切に聞いていたのを思い出した。

saku saku』(テレビ神奈川)はDVDを買うほどファンだったし、なんなら増田ジゴロウのストラップを携帯につけていたし、2ndシングル「happiness!!!」は本当に心撃ち抜かれたし(くるり岸田繁が作るパワーポップっぽいと思って興奮した)、木村カエラが主演した『カスタムメイド10.30』は劇場にまで足を運んだというのに、完全に自分史から木村カエラの存在を消し去っていた。『カスタムメイド10.30』はどんな映画だったか、さっぱり覚えておらず、加瀬亮の天使姿だけが印象に残っている。わたしと木村カエラの間に何があったのだろう。