ドラマ25『サ道』
ディープリラックスと美しき世界への圧倒的感謝。タナカカツキによる決定的バイブル『サ道』にて言語化されたサウナの気持ち良さが、端的に映像化されていた。
- 作者: タナカカツキ
- 出版社/メーカー: パルコ
- 発売日: 2011/11/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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サウナという場がもたらす男の裸というヴィジュアルから、“親父の背中”という主題へのスライドも見事だ。サウナで出会った見知らぬ中年(宅麻伸)と死んだ父親の背中が混濁し、時空を超えて“父”からサウナを教わっていく主人公。ようは『孤独のグルメ』のサウナ版だろう、という予想を超えて、ここにはきちんと物語がある。
主演の原田泰造(ネプチューン)の小市民然とした佇まいがとても良い。往年よりも脂の抜けたルックスがむやみに美しい。クリーンな印象の衣装やピッタリ揃った長めの前髪も良い。あの前髪が浴場で乱れていくのも、このドラマの見どころだ。抑え目のナレーションのトーンも心地よい。「曲がったーことが大嫌いー、はーらーだたいぞうです!」というあの往年のギャグのテンションを思い出そう。そして、このドラマでの原田泰造を目にすれば、サウナに入ることでの精神の安定というのを、スッと感じることができるのではないだろうか。