青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

ドラマ25『サ道』

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ディープリラックスと美しき世界への圧倒的感謝。タナカカツキによる決定的バイブル『サ道』にて言語化されたサウナの気持ち良さが、端的に映像化されていた。

サ道

サ道

「ととのったぁ」の発話もジャストだ。サウナと水風呂を繰り返すことによる精神の昇天は、決してハイなテンションで語られるものではない。じんわりと、でも確実に、世界と自分との境界が正しい位置に導かれていくあの感覚。それは穏やかな心持ちで発されるのです。タナカカツキによるCG描写のサイケデリック度合いは地上波向けにチューニングされていて、やや控え目。回を重ねるごとにタガを外れていくのを期待します。実在する名店でロケーションし、受付からロッカーでの着替えの描写も描き、サウナの温度・湿度、水風呂の水温などもきっちりデータとして示すなど、かゆいところも手が届く作り。これからサウナで気持ちよくなりたい方への入門としてまさにピッタリの作品だ。

サウナという場がもたらす男の裸というヴィジュアルから、“親父の背中”という主題へのスライドも見事だ。サウナで出会った見知らぬ中年(宅麻伸)と死んだ父親の背中が混濁し、時空を超えて“父”からサウナを教わっていく主人公。ようは『孤独のグルメ』のサウナ版だろう、という予想を超えて、ここにはきちんと物語がある。

主演の原田泰造ネプチューン)の小市民然とした佇まいがとても良い。往年よりも脂の抜けたルックスがむやみに美しい。クリーンな印象の衣装やピッタリ揃った長めの前髪も良い。あの前髪が浴場で乱れていくのも、このドラマの見どころだ。抑え目のナレーションのトーンも心地よい。「曲がったーことが大嫌いー、はーらーだたいぞうです!」というあの往年のギャグのテンションを思い出そう。そして、このドラマでの原田泰造を目にすれば、サウナに入ることでの精神の安定というのを、スッと感じることができるのではないだろうか。