青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

ミツメ LIVE in『Street Voice Park Park Carnival』

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台北 花博公園・円山緑地で開催された『Street Voice Park Park Carnival』でミツメのライブを目撃!台湾旅行の日程とぴったりとはまる偶然に運命を感じてしまい、スケジュールに組み込ませて頂きました。会場はおそらく名前の通りかつて花博が行われた跡地で、実に広大。2007年には銀杏BOYZもライブをした場所なのだ。そう、あの峯田和伸が股間露出の容疑で警察に連行されたあのライブである。そうなってくると、ミツメのイチモツにも注目が集まる所ですが、そこは東京インディー三銃士の一端を担う紳士でありますから、心配はゴム用でしょう。


広大な会場には9つほどのステージが設置されていて、またそれらが非常に密接していて、音が混ざり合っている。演者にもお客にもなかなかシビアな環境だ。同じイベントなのか別イベントなのか不明ですが、コミケのような祭りが同時に開催されていて、コスプレイヤーやそれを撮影する人、薄い本でカバンがパンパンになった人がたくさん。更にフリーマーケットも開かれていて家族連れも多数訪れているというカオスっぷり。ちなみに、とりたてて目を引いたのは『変態仮面』のコスプレをしていた女性です。しかし、ミツメの演奏するのはメインステージだったようで、他と比べるとかなり恵まれた環境でした。リハの段階から観ていたのですが、曲をやるというよりフレーズをミニマルに繰り返して音作りしている様が印象的。
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この日は雨が降ったり止んだり。ライブ開始前に本格的に降り出し、あわや中止という空模様でしたが、無事スタート。お客さんはスペースに目一杯に集まっており、ミツメは台湾でもおおいに受け入れられているようだ。ボーカル川辺素が台湾語で挨拶をし、1曲目「クラゲ」が演奏される・・・・
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とここまで書いてみたものの、筆が折れました。1曲目から順にセットリストを書き連ねていくなんて苦痛過ぎる。そもそも演奏を語りうる語彙を持ち合わせていない。しかし、それでも書き記しておきたいと思わせられる、本当に素晴らしいライブだったのだ。申し訳ないが、フェスの他の出演バンドとは鳴らしている音のレベルが違った。分離の効いた音色とタイトな演奏がもたらすグルーヴに幅広く豊かなアレンジ。それでいてポップソングとしてのメロディーの強度はしっかり保たれている。更にはミツメには素晴らしいボーカリストまでいる。川辺素は歌い上げることなく、情感とメロディーの幅を演出する。卓越したテクニックと特別な歌声を持った歌い手である。おまけにメンバー全員がグッドルッキンだ。日本代表として申し分なし!音楽偏差値が高すぎる故、その認知度はインディーの範疇に収まっていますが、これだけの才能の集団と言うのであれば、このまま高い音楽性を保ったまま大ブレイクの道を突き進んで欲しい。異国の地で観る事で改めて、ミツメというバンドへの想いを強く致しました。カッパが必要な程の雨の中でもお客さんは減る事なく、近くの施設の階段まで人がギッシリ。日本語の歌詞を口ずさむ女の子や、演奏するメンバーと一緒にカメラに写ろうと奮闘する男の子など、台湾のお客さんにも届きまくっているのを実感しました。


キャリアを網羅した(再現の難しい『ささやき』からの楽曲はなし)セットリストも最高。ミニマルなループ感が強い『うつろ』や『めまい』からのナンバーは音源以上の響きで迫ってくる。中盤からメンバーがマラカスやカウベルを振り出す「ブルーハワイ」のグルーヴの豊かさよ。
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それらとファースト『mitsume』からのUSインディー的なギターポップナンバーが違和感なく同居しているのは、やはり全ての楽曲に川辺の天才的な節回しが通奏低音として鳴っているからだろう。その才能が炸裂している「煙突」(大好き!)には涙腺が緩んだ。この日のラストナンバーは「三角定規」、そのアウトロで爆音のノイズを振り撒いて笑顔で去っていくメンバーに気づけば目がハートでございます。ロックンロールは永遠に不滅!ってな気持ちでした。