青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

フジロッ久(仮)ツアー2014 -轍-ファイナル『おはようございます!』in渋谷WWW

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最近は平日の仕事後に長時間立ってライブを観る気力がすっかり無くなっていたのですが、このバンドのツアーファイナルは何としても見届けたい、そう思わせてくれる勢いが今のフジロッ久(仮)にはある。会場に着くやいなや、ラーメンだんすの列に並ぶ。その名も「魔法のラーメン」を作っているのは、ヤングのフロントマン高梨くんだ。とても美味しい鶏白湯。焼きトマトが泣かせます。あの素晴らしき『IZU YOUNG FES.2014』の感動が蘇ります。その他のフードや物販店も活気がありました。そして、ハンバートハンバート小西康陽(DJ最高過ぎました)、momo-sei(ヨシノモモコ+ヤマモトセイ!!)といったアクトが登場し、”うた”がジャンルや歴史を横断して繋がっていく。これがフジロッ久(仮)の描いた星座か。

別々に散らばった ドレミを辿ってく
繋ぐと 星座になるように


フジロッ久(仮)「うまれる」from『ニューユタカ』

トリを務めたこの日のフジロッ久(仮)はちょっとスペシャルだった。新メンバーが加入後のフジロッ久(仮)の演奏を、渋谷WWWのようなくっきりとした音響の箱で聞くのは初めて。改めて、新体制のポテンシャルに心震えた。今年度加入したのが、シマダボーイと鮎子さんの2人。シマダボーイはNATURE DANGER GANG、無呼吸過呼吸深呼吸、最近ではスカートの12インチB面でのプレイなど、引く手数多のパーカッショニスト、鮎子さんはどついたるねんや倉内太のサポートなどインディー鍵盤界の屋台骨といった趣すらある技巧派ピアニストだ。シマダボーイの加入は勿論、鮎子さんの鍵盤もまたときに全身で打ちつけるように打楽器的なプレイを披露していて(それでいて先代:森川さんへのフレーズへのリスペクトが感じ取れる所が凄く良いです)、リズムは強化&細分化されている。湧き立つと言いますか“熱情が跳ねっ返る”“と言いますか、とにかく熱(エネルギー)が可視化されるようなグルーヴに仕上がっている。新しいリズムを受け止めるリズム隊もまた進化している。パンクの定型通りに突っ走るというのでなく、少し腰を落としたたおやかなグルーヴが聞いてとれた。新旧のリズムがぶつかって、ギターのディストーションに包まれて生まれるあのフィーリングに正しい音楽用語を並べてあげる事は僕にはできないのだけど、またしても楽曲の中の言葉を借りるならば、これが”命が踊る音”というやつなのだろう。


藤原亮、高橋元希のフロントマン2人の素晴らしさは言わずもがなだろう。藤原さんの歌の凄味はどんどん深まっているし、パッションリーダー元希くんのライムと身体はいつ観てもひたすらに涙腺を刺激する。そちらは重複となってしまいそうなので、映像作品『おはようございます vol.1 -try a little new yutaka-』(マストバイアイテム!)の感想エントリーに譲りたい。

新曲「おかしなふたり」から今年度最大級の名曲「ドゥワチャライ久」(MVも最高!!)

へと繋いだ、まるでエンディングのようなオープニングから、もうずっとハイライトなライブ。仕上がりまくっている。来るセカンドアルバムリリースまでに向けたフジロッ久(仮)の”今”を見逃すなかれ!



余談。DJブースからフジロッ久(仮)の演奏を見つめる小西康陽がとてもいい顔をしていた。「一足先にメンバー全員からサインをもらっちゃいました」と『ニューユタカ』のアナログを掲げてはしゃぐトーンもよかった。しかし、小西康陽中原昌也の両方に愛されたバンドというのもなかなかいないのではないだろうか。渋谷系(死語)とデス渋谷系(超死語)の2人です。掛け合わさると消えちゃう。「はたらくおっさん」で熱狂の中、終焉を迎えたフロアにRCサクセションの「トランジスタラジオ」を流したのもよかった。元ネタ回しとかそういう野暮なものではなくて、何というかソウルを繋ぐ、って感じがしたのでした。