青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

さくら学院『The Road to Graduation 〜Happy Valentine Thank you for your smile〜』


今、1番好きなアイドルのライブはさくら学院のそれであります。というわけで下北沢GARDENで行われたさくら学院のライブハウス公演『The Road to Graduation 〜Happy Valentine Thank you for your smile〜』に行って参りました。まず感心したのがライブハウスライブという事でギュウギュウ詰めを覚悟していだけど、かなりスペースに余裕があったという点。これはチケットが売れてないとかではなくて、ある程度の動員でスチケットをしっかり売り止めているということでしょう。運営側のホスピタリティに賛辞を送りたいっす。あーしかし、もうこの今のさくら学院を見られるチャンスが1ヶ月ほどしかないなんて。そうなのです、さくら学院は「成長期限定ユニット」という事で、メンバーは中学卒業と共に必ずさくら学院も卒業せなばならぬ。このシステムは発明だ。終わりが明確に設定されている事で、少女期の刹那が確実に目に見えて燃え宿っている。アイドルを語る上で欠かせない「物語」というやつも、運営側が変に設定する事なくストレートで綺麗なものが自動的に発生するのだ。生徒会長(ようはリーダー)である中元すず香がまもなく脱退する。彼女の類稀な歌とダンスが確実にさくら学院をパフォーマンスグループとして1つ上の段階にもっていったと思う。あれだけのダンスパフォーマンスと歌を聞かせてくれるグループだったとは。前会長の武藤彩未が率いたさくら学院の優雅さも素晴らしかったのだけど、今のさくら学院は少女の煌きと運動感がほとばしっています。


楽曲も素晴らしい。ウェルメイドではあるものの所謂J-POPサウンドなのだけど、これが凄まじく魅力的に聞こえてくる。これはメンバーのボーカルの響きに他ならないと思う。最近は素人でもDIVA系の歌い方ができてしまう。なんせカラオケボックがそこら中にあるわけで、小さな頃から当たり前にJ-POPを歌ってきている。しかし、さくら学院のボーカル、とりわけユニゾンにおいてはそういった歌い方は極力排除されており、少年少女合唱団のような、純粋で汚れを知らぬような歌声が採用されている。かなり厳しく歌唱指導しているのだろう。J-POPサウンドに合唱団歌唱、そのズレが妙な高尚感を醸し出している。


バレンタイン直後という事もあり新田恵理「バレンタインデーキス」、Perfume「チョコレートディスコ」、放課後ティータイムふわふわ時間」のカバーを披露。放課後ティータイムさくら学院の相性のよさにうなる。ニューシングル「My Graduation Toss」はライブで聴いてその名曲っぷりに度肝を抜かれました。 the brilliant greenの製作&プロデュースという事で、ウェルメイドなパワーポップロックチューンに仕上がっているわけですが、歌唱、パート分け、振り付けが、「物語」に見事に昇華されていて、一挙手一投足がエモくて涙もの。実写版放課後ティータイムである。『けいおん!!』後半のあのカタルシスがあの1曲に詰まっている。