文芸坐オールナイト マイマイ新子と片渕須直の足跡
昨夜、池袋文芸坐で行われた「新文芸坐×アニメスタイルセレクション マイマイ新子と片渕須直の足跡」に行ってきた。文芸坐のオールナイトにある独特の雰囲気がとても好きだ。眠気ざましにホット珈琲や栄養ドリンクを飲んだり、毛布にくるまっている女の人がいたり。オールナイトは秋、冬がよいのだ。なんでか知らないけど。ところで、池袋文芸坐で館内放送する人の声、吉田照美に似すぎじゃありません?誰かこれわかってくれる人いないかなぁ。ずっとあの人が館内放送してるみたいだし。
まず、22時半から監督とアニメ雑誌編集者のトークショー。片渕監督が「魔女の宅急便」の監督を降ろされた話なんかを掘り下げて話していておもしろかったな。
ジブリめんどくさい
といういきなりのぶっこみが全てでした。「マイマイ新子と千年の魔法」は原作作者、高樹のぶ子の自伝的小説で、新子がのぶ子で、劇中の貴伊子も実在するそうで。映画を見て「私が貴伊子です」と名乗り出てきた方がいたそうですよ。いい話。
1本目「マイマイ新子と千年の魔法」
ラピュタ阿佐ヶ谷で1度見たのですが、今回はスクリーンもでかく、音響もよい環境だったので更によかったです。もう、皆さんご存じかとは思いますが、2009年に公開されたものの、宣伝に全くお金をかけれなかったため、客足が伸びなかったのですが徐々に口コミで評判が広がり、7ヵ月以上のロングランを記録したアニメ映画。
主人公新子の想像力は現実と融解する。この映画は様々なものが混じり合うのだ。想像と現実、東京から来た貴伊子と田舎、不良のタツヨシと学友たち、大人と子供、あい慣れない者が溶け合う様を丁重に描く。特に新子や貴伊子の想像が、現実の世界に浸食して融解していく様はこれぞアニメーションの魅力と言わんばかりの素晴らしさだ。濃厚に漂う死の匂い。別れという刹那が新子たちに襲いかかるが、それを「空想すること」「約束すること」「忘れないこと」という魔法で抗う。なので、エピローグでの新子に訪れるいくつかの大きな別れにもしっかり対応できている。この通常であれば最大の山場になるであろうシークエンスをエピローグでサラッと描けてしまうのがこの映画の持っている強さだ。小さい時、電車や車に乗ってた際、忍者があなたに並走していた方は必見。これって忍者以外の人もいるのかな。後、この感覚ってファミコン世代までのものな気がしていて。今の子供の忍者は並走しなそう。本当に名作だと思うのだが、なんでもDVDもいまいち売れてないそうで。
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続いて「名探偵ホームズ」
「風の谷のナウシカ」と同時上映されたという劇場版「青い紅玉」と「海底の財宝」を観賞。
という最強布陣なだけあって非常に面白い。途中でお腹痛くなって抜けたのが悔しい。ホームズかっこいいです。宮崎駿はあまり思い入れがないようですが、THE駿なカリオストロ的なアクションや脚本の妙でかなりの傑作になっております。もう1回見たい。TV放送版は駿が監督をしたのは6話までのようです。
更に「おねがい!サミアどん」の片渕演出の回を2話。今じゃありえないキャラクターのかわいくなさ(デザインはドラえもん大長編の芝山努)
スピード感や変な多幸感があって、かなりはまりました。OP曲もよいんですよ。演歌歌手の長山洋子のアイドル時代の楽曲。
片渕須直が画面構成をした。有原誠治監督「うしろの正面だあれ」
初代林家三平の妻、海老名香葉子の実体験を素にした反戦映画。画面構成、片渕の功績か、かなり面白いカットもちらほら。こちら、小学校1年生の時に学校の体育館で見ましてね。もう凄い泣いてどんより帰ってきた記憶がありまして。見るのちょっと嫌だなぁ、と思ってたんですが、しっかり見て、しっかり泣いてきました。悲しすぎる。我慢しなければ嗚咽で大変なことになるところでした。戦争はもちろん嫌なのですが、何が1番悲しいってこんなに頑張って生きた香葉子が後に産むのが「金髪豚野郎」でおなじみの泰葉だってことですよ。息子の今や三平、元こぶ平、当時、海老名泰孝も、声優で参加しております。しかもエンディング曲の作詞までしてました。深みねー。
楽しみにしていた片渕須直監督第1回作品「アリ―テ姫」ですが眠気がMAXに達し、映画の静けさも相まってあまり覚えていません。かなり観念的な映画だった印象。DVDで再見したいと思います。
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