本作の舞台は、”23区内とは思えない古くさい商店街”と評される板橋区下赤塚の商店街。つまり『ハロー張りネズミ』が描くのは、時代から忘れ去られようとしているものなのだろう。THE BLUE HEATS、長渕剛、『あぶない刑事』だの『ねるとん紅鯨団』だのを無邪気に引用してみせながら、昭和の探偵ドラマのフィーリングを蘇らせようとしている。それは「リンダリンダ」が言うところの”ドブネズミのような写真には写らない美しさ”であって、劇中の五郎の言葉を借りるのであれば、”人情とお節介”というやつなのだろう。これまで大根仁がテレビ東京の深夜枠で手掛けてきた『まほろ駅前番外地』(2013)にしろ、『リバースエッジ 大川端探偵社』(2014)にしろ、同様の気概を感じたし、監督した劇場公開作『SCOOP!』(2016)も原田眞人『盗写 1/250秒』(1985)のリメイク。昭和のエンターテインメントのエネルギーを現代に召喚してみせるといういうのが、大根仁のライフワークなのだろうか。そういう意味では山口智子のトレンディな演技もハマっているし、どう考えても演技レベルが大根作品の求めるそれに達していないように感じる伊藤淳史のキャスティングも『とんねるずのみなさんのおかげです』のチビノリダーの記憶を求めてか。ちなみに、1991年に公開された映画版『ハロー張りネズミ』は未見なのだけど、五郎役は山口智子の夫である唐沢寿明が演じていたらしい。
HAPPLE『ハミングのふる夜』リリースパーティライブを観るため、灼熱の渋谷へ。会場である7thFLOORは入口からもう冷房がキンキンに効いていて、気も利いているな、と思った。HAPPLEもザ・なつやすみバンドも久しぶりにライブを観るので、とても楽しみにしていたのだけども、想像以上にグッときてしまった。ニューアルバム完成の充実が迸るHAPPLEのライブ涙もの。溢れるソウルとハーモニー。『ハミングのふる夜』は、「predawn」や「手紙」といったライブでお馴染みの名曲が格になるのかと思いきや、いい意味でアルバムのピースに収まっていて、驚いてしまう。個人的なイチ押しは鍵盤の斎藤さんがリードボーカルをとる「Talk To Sea」と、ラストを飾る「ファンファーレ」「主題」の2曲。土岐さんのMCは相変わらず抜群だ。何度も書いていますが、土岐さんのおどけているのだけど、どこか物哀しい感じが私は本当に好きだ。あと、前から思っていたのですけど、サポートの和田大樹さんは本当に天才肌のミュージシャンですよね。音色のデパートだ。新編成のザ・なつやすみバンドの演奏もとっても素晴らしかった。「ファンタジア」のメロウなニューアレンジもナイスだったし、コーラスワークもより研ぎ澄まされていた。そして、みずきちゃんのドラム!「S.S.W(スーパーサマーウィークエンダー)」でのタイトなプレイなんかもう大興奮でした。すごく久しぶりだったので、あれも聞きたい、これも聞きたい、という気持ちになったので、次のワンマンライブには足を運びたい。
日曜日。ちょっと早起きてして、近所の銭湯で朝風呂&朝サウナ。陽光差し込む浴槽で身体を温めるその行為の甘美さたるや。たらこスパゲッティくらい好きだ。家に戻り、すっかりととのった身体と精神を横たえながら、クーラーの効いた部屋で『タッチ』を読む。これぞ至福なり。続きの巻を取りに行くのが面倒くさくなり、そのまま夢見心地に少しまどろむ。目が覚め、スティーヴィ―・ワンダー『Songs in the Key of Life』
すごくおもしろい。『メアリと魔女の花』は残念ながらおもしろくなかった。なんでだ、と思う箇所はありすぎて、口を噤んでしまう。『借りぐらしのアリエッティ』でもやっていた、主人公が髪を結う演出はいいな、と思った。宮崎駿がラストにもう1本作ってくれるのまじでありがてぇ。エンディングで流れるSEKAI NO OWARIの新曲「RAIN」がすっごくよかった。 youtu.be
バンドの持つメロディの強度が戻ってきている。作曲のクレジットはメンバーが3人が記されていたので、もうむちゃくちゃ気合い入れて作ったのだろうな。
というような歌詞のハッタリのきかせかたもいい。ストリングスアレンジは小林武史が担当しているらしい。もう1回聞きたい!と思って、グーグルで検索したら、SEKAI NO OWARIって入れると、候補に「レイン」のみならず「ライン」と出てくるのだけども、小さな子らが頑張ってローマ字読みで検索したのだろうか。そうだよな、RAINを普通に読んだら「ライン」だよな。