青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

ナカゴー『ベネディクトたち』

ナカゴー特別劇場vol.13『ベネディクトたち/ミッドナイト25時』の内『ベネディクトたち』をアーツ千代田3331にて鑑賞。1本観たら1本無料なので、実質1本1100円!何たるリーズナブルさ。受付で爽やかに対応していたのが、『ミッドナイト25時』で発狂していた女優さんだったので、なんか次元がゆがんだ。


さて、『ベネディクトたち』ですが、60分という尺の短い作品ながら再演を重ねているようで、ナカゴーの名刺変わりのような作品なのでしょうか。ものすっごく面白かった。前にも書いた気がするけども、ナカゴーのそれは平田オリザの「同時多発会話」の方法論の最果てだ。複数人が同時にわめき散らし実にノイジー(しかし、何故か聞き取れる台詞)。人間同士のディスコミュニケーションが、筋力増強剤を打ちこんだかのように、大袈裟に展開されている。作家の鎌田順也は人と人との繋がりに、もうほとんど諦めに近いようなものを持っているのか。それとも、その摩擦を「人間っておもしれーなー」と観察しているのか。ナカゴー作品に執拗に繰り返される”洗脳”や”集団発狂”といったモチーフも、やはり人間の底を観察したいからなのか。あのキャッチーな風貌も相まって、彼が得体の知れないモンスターに見えてきたぞ。鎌田順也の凄いのは、諦観と悪意のようなものと同等に、いやそれ以上の分量のユーモアで作品を埋め尽くしている事だろう。声色や発生の笑い、言葉の鋭さ、アクション、スピード、暴力性。ナカゴーのこういった”笑い”の手法がこの国のお笑い史のどの流れを汲むものなのか、勉強不足でわかりかねる。ハイブリットなのか、突然変異なのか。とりあえずわかるのはこれが新しいという事だ。あれを体現している役者陣は凄い。全員素晴らしかったが、やはり篠原正明と高畑遊の2人。身体性も声も圧倒的。僕にとってはスーパースターだ。次回作で一気にブレイクスルーする所が観たい。