青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

最近のこと(2017/03/11~)

2月末にハーゲンダッツの華もちの発売が再開したのだけども、ウカウカしていたら「きなこ黒蜜」は売り切れていて、店頭には「胡麻くるみ」しか並んでいない。悲しみに暮れていたら、アイスの匠が、もっと安上がりにハーゲンダッツなんて余裕に超えるもの食わしたるよ、と誇らしげな顔でほほ笑む。スーパーに出向き、明治「エッセルスーパーカップ」のバニラ、黒蜜シロップときなこ(黒胡麻入りが好ましいらしい)を購入。なんだか想像がつくなーと思いきや、いざ食べてみると、期待を上回る美味さがそこにはあった。確かに余裕で超えている。なるほど、きなこは黒胡麻の香りが効いている。いやいや、華もちの餅はどうした、という話なのだが、ダイレクトに注ぐ黒蜜シロップの粘度が、餅感も演出するのである。ぜひ、お試しあれ。私は思わず、次の日も試した。更に、帰り道に「カネスエ」のわらび餅を購入し、エッセル黒蜜きなこアイスに添えてみたのだけども、これは当然に麻薬ほどに美味いが、ハーゲンダッツを買う以上に高くついているのでNGです。本質を見失うところであった。お気に入りのワンピース達をメルカリに出品しているのだけど、全然売れない。かわいいと思うんだけどな。大人コーデで決めたいモノトーンのワンピース(6巻)とか、初夏にぴったりなエメラルドグリーンのワンピース(9巻)とか。本棚に空きを作りたいので、誰か買ってくれ。



土曜日。オールナイトのドライブ、ジョナサンモーニング(友人達のあの3/11何をしていたか、を改めて話した)から帰宅するともう朝の8時を過ぎていたので、このまま起きていることにする。夜をずっと起きたまま朝を迎えると、朝が異様に高潔なものに感じる。別に乱れた夜を過ごしていたわけでもないのに。洗濯物が大量に溜まっていて、強引に1回で済ませてしまおうとしたら、ものすごい音をたてて暴れていた。たまに爆発するんじゃないか、という音を出す時があるんですけど、洗濯機って爆発するんですかね。爆発したらとても困ります。部屋の掃除をして、洗濯物を干して、お風呂で『エスパー魔美』を読んだ。

魔美のボーイフレンドである高畑さんは全漫画の中で1番素敵なボーイフレンドだと思う。怪人的に頭が良くて野球が下手でとびきりに正義感で優しい。しかし、前も書いたけども、F先生の作品に出てくる男性はどうして一様にパートナーの女性より背が低く、小太りなのだろうか。F先生自身は高身長のスラっとした体型なのだけども、F先生の中ではむしろそれがコンプレックスだったりしたのだろうか。『マンガ道』の中でも才野茂(≒F先生)が、食が細くて苦労しているエピソードがいくつか見受けられる。諸々の支度を済ませて、昼前に京王線で南大沢へ。南大沢はいかにもニュータウンという佇まいで、大学もあるし、アウトレットモールもあるし、お祭りの出店も出ているし、明るくて賑やかな駅だ。お目当ては駅から1分ほどのところにあるスーパー「サカガミグランルパ」だ。その一角に居を構える「カーンさんのカレー」が本当に素晴らしいのである。ホテルのレストランで修行経験もあるというインド人のカーンさん手作りインド料理はこれがなかなかに本格的なのです。「サガミグランルパ」にはイートインスペースもあり、買ったカレーをすぐさま食べられる。「カーンさんのカレー」では本格的なビリヤニも提供していて、この日は店頭に並んでいなかったので、尋ねてみると、ちょうどできたところだったようだ。「本当に美味しいものを知っているね(ニッコリ)」と色々サービスしてくれた。
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ビリヤニはインド人の心のツボなのだろうか。カレーは種類豊富で、色々食べたけどどれも美味しい。この日チョイスしたエビのカレーは大量のオニオンの甘味と海の香りが口に広がる名品でございました。食事を終えて、多摩センター駅に移動。パルテノン多摩の小ホールで『演劇人の文化祭LIVE』を観て、更に京王線よみうりランド前駅へ。250円を払いゴンドラで丘の上へ。これが結構楽しいのでオススメ。時間帯によっては多摩の夜景が望める。丘に到着すると、よみうりランドがちょうど閉園する時間だったようで、とても混雑していた。お目当てはよみうりランドではなく、そのお隣の「丘の湯」だ。親子連れで賑わう土曜のスーパー銭湯。サウナと水風呂は平均点という感じなのだけど、広くとられた外気浴スペースがよかった。サウナ、水風呂の後に、外にゴロンと寝そべると、視界には空しかない。これはもうととのわざるをえないだろう。
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観覧車が目の前にあるのだけども、露天風呂からは観覧車は見えないし、観覧車からも露天風呂は見えない。情けないようで、逞しくもある。よく考えると一晩一睡もしないで、サウナに入るのは危険だったのでは。帰宅してそれはもうグッスリと寝た。



日曜日。10時間くらいグッスリ眠って、快調。お米のセレクトショップを名乗る菊田屋米穀店が展開する「米屋のおにぎり屋」で「魚沼産コシヒカリ 目刺し弁当」を食べた。
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これぞ、朝ご飯弁当の最高傑作だ。目刺しの苦味がお米のとてつもない甘味、すなわち旨味を引き出します。目刺し以外にも、だし巻や鮭がおかずになった弁当もあるのだけども、やっぱり1番質素で、故に最も美しいヴィジュアルを有する「目刺し弁当」をイチオシとしたい。ちなみに、新宿NEWoManで購入。「米屋のおにぎり屋」は他にも京都伊勢丹、JR新大阪駅、大丸梅田、大丸東京に店舗があるようです。新幹線や高速バスでの旅のお供にオススメだろう。目的地でいろいろ美味しいものを食べるのだろうから、旅のはじまりの朝食はこれくらい質素なほうが好ましい。お昼前に有楽町に出向いて、25年ぶりに3時間56分版がデジタルリマスターされたエドワード・ヤン『牯嶺街少年殺人事件』を観た。
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ついに、スクリーンでこの作品を観ることができた、その喜びでいっぱいだ。一体何人の映画ファンが渋谷と新宿のTSUTAYAに在庫されていた数本のビデオを観回してきたのだろう。その”みんな”で泣こうじゃないか。まったく作品の感想が言葉にならなくて、ただただ「映画の神様だ」と打ち震える。こう書いている今も、あの映画のショット1つ1つを思い浮かべてしまい、涙が出てきそうだ。ちなみに、朝から大好きな珈琲を絶ち、ノンカフェイン人間として挑むことで4時間の長丁場における尿意に打ち勝ちました。映画を観終えて、JR有楽町駅前に古から存在する中華料理屋「中園亭」で少し遅めのランチ。レモンそばとジャージャー麺が超絶気になったのだけども、無難にエビそばをチョイス。これがむちゃくちゃ美味しかった。多分このお店は何を食べても美味いのだろうな。JRで五反田駅に移動し、東急池上線に乗り換え。(たぶん)人生初の池上線だ。聞いたことない駅名がたくさんある。しかし、どこか慣れ親しんだ東武東上線と似たヴァイブスを感じてむちゃ落ち着く。車窓から風景や駅の佇まいも似ている。この沿線なら住める、むしろ住みたいと思った。途中で、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の舞台である雪が谷大塚駅を通過した。練くんと音ちゃん。池上駅で下車し、「桜館」という銭湯へ。
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いやー痺れた。今のところ都内ベスト銭湯だ。佇まいもいいし、サウナも水風呂も天然温泉も抜群。本格フィンランド式、を謳うサウナは高温かつ高湿の最高仕様で、入ってすぐさま汗ダクダク。水風呂は15℃を下回る本格派で、手足を浮かせないと長くは入っていられないほどだ。キンキンに冷やしてサウナで温める。そいつを繰り返せば、嫌なとこなんて全部吹き飛ぶような多幸感に襲われます。サウナのテレビで横綱になった稀勢の里の初勝利を見届ける。そういえば、優勝の瞬間も銭湯のサウナで観た。白鵬が格下相手に負けてしまい、サウナ内にどよめきが巻き起こっていた。テレビが映す会場の空気も異様だった。この日はWBCの日本VSオランダ戦もあって、帰宅してテレビに齧りついた。いやはや、大変な熱戦で名勝負だった。日本の4番中田翔の勝負強さときたら痺れてしまうな。そして、オランダの4番に座るバレンティンも絶好調だ。バレンティンは本当に愛らしい助っ人外国人だ。試合前の柔軟運動に日本側に混じっているバレンティンもかわいいし(山田と秋吉の間にいるのがまたいい)、かつてのチームメイトである青木に抱きつく姿もかわいいし、ホーラムンを打った後の外野守備で日本のファンにお辞儀するバレンティンもかわいかった。とりわけ最高だったのは、スワローズでチームメイトである秋吉との対決だろう。三振という結果にお互いに見つめ合ったのちに笑う感じが、最高にマンガだった。そして、その様子に興奮してTwitterを更新する元スワローズで今やバリバリのメジャーリーガーとなったバーネット。オランダ代表の監督も元スワローズのミューレン。ネットスラングで言うところの、(お腹に)やさしい世界(←ヤクルト)だ。



月曜日。花粉と眠気で絶不調である。朝、電車の中で隣に立ったおじさんが、ニーチェを読むくらいの優雅さで華麗な音を立てながらページを捲っていて、気になったので覗いてみるとカバーを外した少年マガジンコミックスだったので、なぜか無性に腹が立った。到着駅までに2冊目に突入し、そちらもカバーは外されていた。マガジンの何だよ、と確認したかったのだが、少し視線を送ると、すぐにマンガから顔を上げて警戒心を出してくるやば目の人だったので、無理でした。何事へのやる気も巻き起こらなかった。デパートでホワイトデーのチョコを買って、スーパーで夕飯の買い物をして帰宅。月曜日はお決まりの豚バラ肉鍋だ。不思議とまったく飽きが来ない。猛烈な不調を覆す為に、森永のカップアイス「MOW」のあずき味も買ってしまった。私はこのアイスをこよなく愛している。2015年にリニューアルしてから「MOW」の印象は大きく変わった。名称の”モー”という響きがそうさせるのか、それまではミルク臭さが際立っていたのだけども、バニラ香料を見直すことでバランスが改善。そして、なんといってもパッケージが良くなったし、木村文乃を起用したプチプラ感を演出した広告も冴えていた。
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新CMは高橋一生がスーパーの店長。これまた冴えている。バニラもチョコもいいけども、期間限定(?)のあずきがとりわけ傑作。130円という価格からかけ離れた満足感を抱けます。ご飯を食べながら、溜まっていた録画の消化に勤しむ。『アメトーーク』のガラケー芸人はおもしろかったが、一人旅芸人は、庶民と芸能人の金銭感覚の違いを見せつけられるだけだったな。この国の何割の人があんな気ままに海外旅行に行けるというのか。『乃木坂工事中』はドッキリ企画という鉄板のはずが、言及すべき点がまったく見当たらない。この日の深夜に放送された『KEYABINGO』もドッキリ企画であったが、こちらは大変練られていたし、グループのいいヴァイブスを汲み取れていた。『欅って書けない?』もここのところまた一段と面白い。斎藤京子さんは素晴らしい。「日高屋」のチゲ味噌ラーメン、絶対食べに行こうと思う。『A LIFE~愛しき人~』は木村と浅野がバチバチで俄然盛り上がってきたのだけども、もう来週が最終回か。ビックリするくらい話が進まなかった印象だ。

祝福 (河出文庫)

祝福 (河出文庫)

お風呂で長嶋有『祝福』を読み終えた。1篇とびきり好きな短編が入っていた。



火曜日。WBCと『カルテット』の日。まっすぐ家に帰って、応援した。今大会不調であった山田哲人が初回先頭打者ホームラン。更にツーベースに、ダメ押しのホームラン。山田哲人という男は本当に打ち出すと止まらない、ミスター固め打ちである。しかし、やはり筒香が凄い。筒香が三冠王、山田が3年連続トリプルスリー、という偉業を今年は期待できるのでは。乃木坂46のキャプテン桜井玲香さんのファースト写真集『自由ということ』を購入したので眺める。

桜井玲香ファースト写真集 自由ということ

桜井玲香ファースト写真集 自由ということ

むちゃ元気が出る。50分遅れの『カルテット』9話、泣く。4人全員よい。でも、やっぱりほとばしる、いや零れ落ちる、坂元裕二満島ひかり愛。宮藤官九郎VS大倉孝二もよかった。最後のシーンは「朝ご飯なんじゃないか?」というご指摘をいくつか頂いたので、観直してみたのだけど、やっぱり夜だと思った。3人ともその前の楽屋シーンの服のままだし、そもそもあのシーンはスタジオ撮影のはずだから、眠れずに早く起きてしまった朝だとしたいならば、もう少し照明で早朝感を演出できるはずなのだ。でも、まぁそういうわかりづらい演出する監督の回だからな。あと、Twitterで教えてもらった、夜説を有力に後押しするものとして、今作に携わっているフードスタイリスト飯島奈美のエッセイに、”朝ごはんみたいな夕食”に関する文章があるらしいです。やっぱりあのシーンは夜なのに朝食みたいなメニュー、というズレに良さがあると思うな。朝食にあのメニューを作っていたら(ましてやこれまで1回も料理をしなかったすずめちゃんが)、ただただ完璧すぎて、ドーナッツホールでも何でもなくないだろうか。




水曜日。サウナに行こうと思ったが、WBCが観たくて帰宅。千賀が素晴らしいピッチングを披露していた。こういう強気なピッチャーがスワローズにも欲しい。

我が名は阿厳 其方を屠る者の名だ

ってこれ、井上雄彦の『バガボンド』に出てくる阿厳というキャラクターの台詞です。一時期凄く阿厳に凝っている時期があって、mixiでも阿厳のコミュニティの副管理人をしていたし、人を屠ったりする時なんかよく真似していたりしたなぁ。武田鉄矢が肛門様としてTBSドラマ『水戸黄門』が復活するらしい。これは必見だ。全然イメージにはまってないけども、説教もできるし、アクションもできる(名作『刑事物語』を観よう)のが武田鉄矢だ。適任だ。武田鉄矢は肛門という感じもなくはないので、ミスタイプはそのままにしておいた。お風呂で音楽が聞きたくて、を浴室に持ち込んでいたのだけども、湯船に沈没した。私は慌てない。まず、よく振って機内から水を出し、すぐさまドライヤーで水分を飛ばすのだ。ネットで調べてみると、それこそがiPhoneが水没した時にやってはいけない3箇条の内の2つで、当然のように完全に壊れました。携帯にドライヤーで思い出してしまうのが大学1年生の時のサークル旅行だ。初日の夜、3年生女子の先輩がトイレに携帯を落としてしまったと大泣きし、男の先輩達が5~6人がかりで彼女の携帯を一生懸命ドライヤーで乾かしていたのだ。マドンナ的存在だったのだろう。なんだか大学も思っていたほどおもしろくなさそうだぞ、と思った。



木曜日。携帯が無くても生きていけるが、携帯が無いと不便だ。急いで退社して、自宅から最寄りのソフトバンクショップに駆け込んだら、本日の業務を予約でいっぱいだ、と門前払いされてしまった。携帯が全く動かない、と伝えても、否応なしに門前払いされてしまうのは哀しいな。ペッパー君のほうがよっぽど人間味溢れる対応をしてくれているではないか。しかたがないので自転車に乗って、”確かあったような気がする”くらいの朧気な記憶を頼りに、隣駅へ。携帯がないので、その場では何も調べられないのだ。これは不便ですねぇ。行ってみたら、記憶は正しく、ソフトバンクショップは何やら朧気な場所に確かにあった。しかも空いている。店員が近寄ってきたので、「水没して全く動かないので、機種変したい」と伝えると、すぐに席に通され料金の見積もりやプランの変更の相談に乗ってくれた。あぁここはいいソフトバンクだ、と喜んでいたのだけど、2~30分かけて見積もりがいざ終わると、「えーでは、当店にはiPhone7のすべてのカラー、在庫ありませんので、2週間お待ち頂く形になります」と言うではないか。椅子から転げ落ちそうになってしまった。「いやいや、そういうのは、最初に言ってくださいよ」と怒りを抑えて伝えるも、「申し訳ございません、まずは”見積もり”という段取りになってまして」と返すので、バカらしくなってしまう。まじでソフトバンクの店員全部ペッパー君にしてくれ。これが単なる機種変を要望しているならまだわかる。しかし、このケースは最初に水没して壊れた旨も伝えているし、なんなら壊れたiPhoneを目の前に置きながらの見積もりの相談だったのだ。お前が同じ立場で「2週間お待ち頂く形になります」と言われて、「わかりました!」と言うのか。携帯屋が1番携帯をなめているではないか。しかし、発売間近でもないのにソフトバンクショップにiPhoneの在庫ないなんて。「今、iphone7ってどこも在庫そんな感じなんですか?」と尋ねたら、「いや、他店の在庫のことはちょっとわかりません」と返ってきた。いや、そういうことじゃなくて。別に各店の在庫を詳細に教えてくれと言っているわけじゃなくて。叫びだしたくなったが、アホらしくなったので、店を後にした。帰宅してソフトバンクのショップサイトにアクセスしてみると、事前来店予約や購入フォームもあるようだ。職場の最寄りの店舗で、iPhoone7の購入と来店予約を送信すると、「折り返し、マイソフトバンクに登録されている番号に電話もしくはメール差し上げます」と書いてあった。ダメじゃん。食材がもやししかなかったが、再び出掛ける気力もわかないので、ゴマ油で炒めて食らった、全然美味しくなかったが(ソフトバンクへの怒り→ホークス→福岡→向井秀徳、という思考かと思われます)。お風呂で長嶋有『電化文学列伝』を読んで、その豊かさに打ちのめされる。

電化文学列伝 (講談社文庫)

電化文学列伝 (講談社文庫)

卓越した書評の数々に思わず声が漏れた。昨夜iPhoneを落としたというのに、お風呂への持ち込みはやめられない。Amazonプライム鶴巻和哉龍の歯医者』を遅ればせながら鑑賞。
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むちゃくちゃおもしろい。千眼美子さんの声もよい。舞城王太郎(脚本)に黒田硫黄の活劇が混ざったような快作だった。死なずのブランコの声優さん、(いい意味で)異物感あるなと思ったら、松尾スズキだったのですね。音響監督が庵野秀明なのか。キャラクターデザインと作画監督した井関修一は素晴らしい才能だ。同い年らしい。同い年と言えば、最近、かっこよすぎるセルフプロデュース曲で話題のw-inds.だ。
youtu.be
アルバム気になるな。そういえば、昔ブログをはじめたての頃、「1985年生まれとお見受けしますが、同い年生まれには宮崎あおい蒼井優上戸彩綾瀬はるかなどたくさんのスターが活躍されていますが、同世代としてどう思われますか?」という超謎のコメントがきた。「元モーニング娘。石川梨華さんわい!(ご結婚おめでとうございます)」と思いつつも「私は女優じゃないのでわかりません」と答えた。どう思えば、満足してもらえたのだろう。とにもかくにも、絶対サイコパスの人だ。

坂元裕二『カルテット』9話

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家森:別府くん、この映画いつになったら面白くなるの?
真紀:宇宙・・・出てこないですね
すずめ:幽霊はどこにいるんですか?
別府:だから そういうのを楽しむ映画なんです

『スターシップ 対 ゴースト』という、2話で登場した『人魚 対 半魚人』に劣らぬB級感を醸し出す映画を観ながらの4人の会話。まさにこの『カルテット』という作品についての自己言及のようである。面白くない人には本当にずっと面白くないだろうな。アンチドラマで、登場人物はウダウダと動かず、物語展開はどこまでも不親切で、毎回フェイクな予告で視聴者を惑わしたりもする。8話のラストであんなにも視聴者を揺さぶった「真紀は早乙女真紀ではない」というサスペンスも、開始数分であっという間に処理されてしまう。「誰でもない女ですかね」とまで言われていた真紀の本名も”ヤマモトアキコ”とあっさり明かされ、本物の早乙女真紀はしっかり生きていて、あまつさえ自転車泥棒で捕まるような間の抜けた方だ。戸籍売買へと至った義父とのトラウマや被害者/加害者の葛藤もおそらく詳細に語られることはないだろう。そんなものを語ろうとしようものなら、「いい、いい!もういいよ!」「どうでもいい、すっごくどうでもいい!」と、ものすごい勢いで静止されてしまう。通常のテレビドラマが山場としてフォーカスを定める場所をあえてズラしている。それは社会とか倫理とか呼ばれるものか。『カルテット』は時にそういう場所に向かう素振りを見せるも、すぐにプイっと違う場所へ行ってしまう(まるで猫のように)。社会とか倫理ではなく、本来であればドラマにはなりえないように、日々暮らしていく中で、言葉にならずに零れ落ちてしまうはずの感情の機微を丁寧に拾いとることに注力し、人間そのものを描こうとしている。


『スターシップ 対 ゴースト』に宇宙も幽霊も出てこないように、『カルテット』はミステリーサスペンスでありながらも誰が良い人で、誰が悪い人か釈然としない。真紀は善人か/悪人かというミステリーを、馬の鼻先に人参をぶら下げるようにして、視聴者の関心を引き付けておきながらも、「そんなものはどうでもいい」と人参を放り投げてしまう。我々は何度この手に引っ掛かったことだろうか。坂元裕二は、性善説性悪説というようなものに、はなから興味がないのだろう。しかし、坂元裕二の書くドラマは人間の暗部にカメラが向けられてはいる。それは何故か。人間は愚かである、人間は哀しい、人間は醜いetc・・・そこから目を背けずに、それでもなお人間に愛らしさを見出し、繋がろうとするものこそ、この世界を生き抜くことができる、そう考えているからではないだろうか。であるから、こんなスペシャルな台詞が飛び出す。

僕はみなさんのちゃんとしてない所が好きなんです
たとえ世界中から責められたとしても
僕は全力でみんなを甘やかしますから

凡百のドラマからこんな台詞が飛び出せば「何をだらしのないことを言っているのか」と、抗議が殺到である。互いのダメなところをおもしろがって、欠点で繋がる4人。その絆を3ヵ月という時間をかけて描いてきたからこそ許される圧倒的な肯定が、この台詞なのである。


ホッチキスはステープラーバンドエイドは絆創膏、ドラえもんは猫型ロボット、ニモはカクレクマノミetc・・・

本当の名前で呼んで!

という家森の叫びが、真紀の本当の名前を巡る挿話の伏線になっている、という記事をニュースで見かけた。言いたいことはわかるのだけども、あの言葉を発した時点で家森が”早乙女真紀”の真相を知りえていたという描写はないし、視聴者としても放送序盤で戸籍売買の件を把握しているので、あれは伏線ではない。共鳴と呼びたい。物語のトーンに家森が(本人の知りえぬところで)共鳴してしまったのだ。そういった運動の連鎖が、物語を豊かなものにしていく。今話における最も美しい”共鳴”はこうである。すずめがバイオリンを抱きながら廃船で星を眺める中学時代の真紀を、真紀がパトカーの中でチェロをかついで地下鉄に乗る幼いすずめを、同じ時間に、離れた場所で、互いに想像する。その共鳴は、東京の地下鉄で偶然すれ違うことなんかよりもずっと尊く、美しい。誰もが孤独で、どうにも交わるはずのないようにすら思われる我々の人生は、実は知りえぬところでゆるやかに繋がっている。そんな希望が託された共鳴である。


”伏線”にどうしてもこだわるのであれば、重要なのは、ホッチキスやニモの正式な呼び方なんて「どうでもいい」という態度が、真紀の本当の名前なんて「どうでもいい」という、「どうでもいい」のミクロからマクロへの跳躍を支えている点にあるだろう。あいまいなものはあいまいなままでいい。

咲いても咲かなくても花は花
起きてても寝てても生きてる
辛くても苦しくても心

これまでと同様に対比構造を否定していく。被害者/加害者、祝賀会/残念会、パンツだけ履いてる人/パンツだけ履いてない人、仕事/趣味etc・・・どうでもいい、全部どうでもいいのだ。そんな中、ただ1つだけ、二律から一項を選びぬく問いがあった。人生やり直しスイッチを押す人間/押さない人間、である。

二種類ね、いるんだよね
人生やり直すスイッチがあったら押す人間と押さない人間
僕はね、もう 押しません
ねぇ?なんで押さないと思う?
みんなと出会ったから、ね?ね〜?

高橋一生にしか演じきれないだろう"かわいさ"はさておき、この選択の強さときたら。人生やり直しスイッチ、というドラえもんの秘密道具のようなポップな言葉で包まれているが、それは現実世界においては、ようは自殺するか、しないか、という問いだ。”みんな”と出会った4人は、生きることを諦めない。不可逆な時の流れに、逆らわない。

まきさんは奏者でしょ?
音楽は戻らないよ?
前に進むだけだよ


一緒
心が動いたら前に進む
好きになった時
人って過去から前に進む

レモンをかけた唐揚げというたとえでもって何度も説かれていた、やり直しの効かない時の流れ、この世界の冷酷さが、この9話で見事に反転していく。前に進む、ということは素晴らしいことなのではないだろうか。そのエモーションはやはり不可逆である”ドミノ倒し”に狂喜乱舞する4人の姿に託されている。人を前に進ませるのは”好き”という感情だと言う。

ママのこと愛してるんで

僕は全力でみんなを甘やかしますから

私は、真紀さんが好き

信じて欲しい

みんなと出会ったから

いくつもの美しい”好き”に満ちた9話(対比されるように空寒い、有朱の棒読みの大好き!)は、季節も前に進める。雪積る真冬の軽井沢で繰り広げられたこのドラマだが、アウトレットモールでは春の装いが並び(見るだけ)、4月になれば、すずめの誕生日もやってくる。少しずつ、でも確実に、春を目指している。暖かい場所へ。

泣きながらご飯を食べたことのある人は生きていけます

家森の流した涙を知ってから知らぬか、すずめが晩御飯の支度をする(いつも食べて寝ているばかりだったすずめが!)焼き鮭、きんぴらごぼう、そして炊き立てのご飯。これまでカルテットの夕食に並ぶことのなかった白飯が登場したことにも示唆的だが、これはまるで朝食だ。真紀が姿を消してしまった暗い夜に、朝ごはんを食べる。時の流れを先取るように、“光”のほうに進むのだ。



さてさて、残すところついに最終回1話のみである。あんまり他の作品の事を引用すると、怒られてしまうらしいのだけど、名残惜しむように、余計なことまで語らせて欲しい。おまけのようなものなので、読みたくない人は読まなくていい。この『カルテット』から何やらスタジオジブリへの目配せのようなものを感じないか、という話だ。『かもめ食堂』(2006)でお馴染みの飯島奈美をフードスタイリストに招聘してまで力を入れて描かれるフード理論はジブリお家芸、と言うよりも”フード理論”という言葉自体、ジブリ映画を語る際に生まれたようなものである。魔法少女というモチーフや、白い髭のおじいさんに導きを得たりするなんてのもどこかジブリ的なのだけども、決定的なのは家森の声色物真似だろう。「ワシにもくれ」「ワシを倒してからいけ」は『千と千尋の神隠し』(2001)で我修院達也が演じた青蛙だし、お得意の「アレー?」は『となりのトトロ』(1988)のメイだろう。そう考えると、真紀が名前を消失してしまうくだり『君の名は。』(2016)ではなく『千と千尋の神隠し』だ。こういったオマージュが、どこに結びつくかと言えば、やはり宮崎駿の(撤回された)引退会見でのこの言葉であろう。

子どもたちに「この世は生きるに値するんだ」ということを伝えるのが
自分たちの仕事の根幹になければならないと思ってきました

これを坂元裕二は自覚的に受け継いでいるのではないか。宮崎駿はファンタジーの世界で、坂元裕二はすれ違う人間模様の中で、やり方は大きく異なるが、伝えたいことは同じ。『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016)は私の中で『もののけ姫』(1997)だったりする。前述の引退会見で宮崎はこうも述べている。

自分の好きな英国の児童文学作家でロバート・ウェストールという人がいるが、彼のいくつかの作品の中に、自分の考えなくてはいけないことが充満している。その中にこういうようなセリフがある。「この世はひどいものである。君はこの世に生きていくには気立てがよすぎる」。少しもほめ言葉ではない。それでは生きていけないぞと言っている言葉。本当に胸を打たれた。(「この世は生きるに値する」という言葉は)僕が発信しているのではなく、僕はいろんなものを多くの読み物や昔見た映画などからいっぱい受け取っているのだと思う。(それらを作った人々は)繰り返し「この世は生きるに値する」と言い伝え、ほんとかなと思いつつ死んでいったのではないか。僕もそれを受け継いでいるのだと思っている。

「この世はひどいものである。君はこの世に生きていくには気立てがよすぎる」というロバート・ウェストールの言葉は、何というか坂元裕二のキャラクター達の核心を捉えていやしないか。そして、宮崎駿がウェストールをはじめてとする先人から受け継いだように、坂元裕二もまた、「この世は生きるに値する」ということを、テレビドラマの中で訴え続けている。

玉田企画『少年期の脳みそ』

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玉田企画の演劇は徹底的にアンチドラマである。この『少年期の脳みそ』のあらすじを述べるにしても、「高校卓球部の合宿の一夜」としか言いようがない。その合宿の一夜で繰り広げられる出来事の細部は、とても”あらすじ”に要約することはできない。要約されることを拒むような“小さなドラマ”が無数に積み重なっているのだ。主催の玉田真也の類まれなる観察力と着眼点で掬い上げられたミクロな感情の揺らぎ。人間の発するその“小さな意味”を、正確に細やかに舞台に立ち上げてこそ、真の人間ドラマというようなものが描き出せるのだ、という信念を感じる。


もちろん、舞台上で役者が放つ台詞と身体にはそんな気負いは一切感じさせない自然な軽やかさがあり、常に笑いに包まれている。とにかく役者が皆、抜群に巧い。とりわけ、もはやスターシステムのような吉田亮と木下崇祥の2人の臭みのある存在感が抜群。悲劇的なまでの人間のすれ違いは、喜劇だ。空気の読めない人々のやりとりは、神の視点を持つ我々観客からすると、あまりにも滑稽であるのだが、そこに愛おしさを覚えさえもする。大学生のOBとこっそり付き合っている2年生女子の先輩に、面前で告白させられ、当然のように玉砕する童貞の津田。そんな彼にそっと寄り添い慰める顧問の先生を、玉田真也その人が演じている。その事に、胸が熱くなってしまった。あの津田のみっともなさに寄り添う、それが玉田企画の演劇の神髄ではないだろうか。そして、ラストの、2年生女子二人のやりとりも白眉であろう。言葉になりきらない想い、”小さなドラマ”が、壮大な花火として打ちあがり、散っていく。儚く美しいエンディングである。


さて、この『少年期の脳みそ』は新作ではなく、2014年公演作の再演とのこと。なるほど、2016年に鑑賞した『怪童がゆく』『あの日々の話』という2本の傑作に通ずる、既視感の強いプロットも数多く見受けられた。『怪童がゆく』が大学のゼミ合宿、『あの日々の話』が大学サークルのカラオケオール、そして『少年期の脳みそ』が卓球部合宿、と基本的にどれも同じような話なのだけども、とにかくそれぞれの舞台設定が秀逸過ぎるので、存分に楽しめた。今作も抜群に面白いが、前述の2作は既にネクストレベルに到達している印象も覚えたので、来る純然たる新作への期待は高まるばかりである。



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ロロ+EMC feat.いわきっ子 in『演劇人の文化祭LIVE』

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パルテノン多摩で開催された『演劇人の文化祭LIVE』で披露されたロロ+EMC feat.いわきっ子のパフォーマンスにとにかくもうガツーンとやられてしまった。なんとかこの感動を書き残しておきたい。しかし、その感想をこのブログに公開したとしても、それは不特定多数の人にシェアする批評としては機能しないような気がする。どうにもこうにもロロとEnjoy Music Club(そして、いわきっ子に)に過度な思い入れを抱いてしまっているからだ。だからこれはただのラブレターのようなものであって、そんなものは読みたくないという人は読まなくていいし、このラブレターがひょんなことで間違えて貴方に届いてしまったのなら、それはそれでとてもうれしいことです。


まず、お揃いの衣装を纏ったロロメンバー5人が登場し、5本のマイクスタンドの前に立つ。背中に”LOLO”と刺繍されたキュートな紺色カンフースーツはメンバーの森本華によるものだ。5本のマイクスタンド=SMAP俺たちに明日はある」であるからして、昨年、一夜限り披露された幻のSMAPトリビュートミュージカル『ひらひらの』のナンバーがかき鳴らされる。EMCの江本祐介(詞はおそらく松本壮史と三浦直之か)によって編まれた2曲のナンバーは、「SHAKE」であったり、「夜空ノムコウ」であったり、「朝日を見に行こうよ」であったりという、国民的アイドルの往年のヒットナンバーのフレーズやコードや質感を点在させた、まさに”失われた新曲”というような趣なのです。まずもってこの楽曲がむちゃんこいい。泣ける。このエントリー内で本当はあと100回くらい書きたいのだけども、くどいので1回で打ち止めにしておくが、江本祐介は紛れもない天才だ。ここ1年における、そのメロディーメイカーとして充実は、すべてのポップミュージック愛好家に発見されるのを待っている。


亀島一徳を欠きながらも、ロロの役者陣5人が集結している。ロロメンバーの横並びの立ち姿の美しさよ。圧倒的にキャッチ―なルックス、個性豊かでバラバラで、でも確かに1つの共同体なのだ、という感じ。これはもう本当にただのファン心理なわけですが、このメンバーが青春時代に偶然出会い、1つのコミュニティ(劇団)を結成し、モラトリアムなんて時期をとっくに過ぎ去った今なお、懸命にサヴァイヴし続けている、その事実だけで私は胸がいっぱいになってしまうのだ。さらに、このパフォーマンスにおけるロロメンバーには、楽曲の力によって2017年現在失われてしまったSMAPの質感がトレースされている。あの”CRAZY FIVE”が勢揃いした時の、あの得も言われぬマジカルで無敵なフィーリング。そんな風に頭の中でSMAPとロロをオーバーラップさせていたら、驚くべきことに、1曲目にして涙腺が崩壊してしまった。まずい、これは恥ずかしいぞ、と終始上向きでの鑑賞が始まります(涙がこぼれないように!)。島田桃子が担当した振り付けも見事にSMAPのグルーヴを踏襲していて、「統制のとれたダンス」というのから少しルーズに逸脱していて、フリーダムってやつを体現している。余談になりますが、ロロ男性陣における、野比のび太(三浦直之)が夢に見る、理想ののび太(亀島一徳)、理想のジャイアン(板橋駿谷)、理想のスネ夫(篠崎大悟)という藤子・F・不二雄感もまた超好きです。


『ひらひらの』においては、元SMAPの5人というのを演じてのステージだったわけだが、今回のステージはロロの板橋駿谷、望月綾乃、篠崎大悟、森本華、島田桃子として登場している。よく考えてみれば、ロロの面々が何かの役を演じるでなく、”本人自身”としてその身体を舞台上に晒すのを目にするのは初めてなのだ。パフォーマンスの途中、ロロメンバーが“あの頃”の思い出をそれぞれ連呼していくシーンが挿入される。それに耳をすませていると、舞台を観ているだけでは知りえないロロ固有の青春の一端に私たちは触れてしまう。たとえば「あぁ、板橋くんと望月さんはみんなより年上だから、他のメンバーからは”さん”づけで呼ばれているんだな」とか。そうすると、

あれから 僕たちは
何かを信じてこれたかなぁ

というフレーズが切実さをもって響いてしまうのだな。


ロロ5人がSMAPトリビュート曲を2曲披露した後、いよいよEnjoy Music Clubの3人が登場だ。自然体に緊張している感じがすごくいいぞ。「EMCのラップ道」ではロロメンバーも加わりラップをかます。森本華は板橋駿谷はラップも上手いのだ。とりわけ素晴らしかったのはEMCの3人とロロ女性陣3人が向かい合い、3組のカップルとなって歌う珠玉のメロウチューン「ナイトランデブー」だろう(個人的に1stアルバム『FOREVER』で1番好きな曲だ)。
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柿ピーみたいになりたい
僕が柿で
君がピー

というリリックは、今聞いてしまうと、思わず坂元裕二『カルテット』6話の松たか子宮藤官九郎をオーバーラップさせてしまうだろう。とりわけ胸を打ったのが、E+島田桃子ペアでして、Eさんの照れというか島田さんとまったく視線を合わせられない感じに、「この人、ホンモノだ!!」と大変興奮いたししました。楽曲が終わると、そのペアだけが残され、島田桃子がEに向けて「がんばってね」と声をかける。ここでの島田さんの発話もリアルと虚構が揺れていてまことに素晴らしい。島田桃子が舞台を去ると、EMCの衣装を脱ぎ、江本祐介が現れる。舞台上の高まりきったエモみを引き継ぐように、あの大名曲「ライトブルー」が披露される。
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このMVさながらに、いわきっ子達が続々と登場し、学校生活での所作をダンスへと変容させていく。その舞いは、直視できぬほどの眩しさを纏った青春の可視化だ。もうここらへんで、上向きに観ていようとも零れる涙。更に、ロロ主催の三浦直之が登場し、ライムをかます。

ベイベー
未来はいつも
100%楽しいから

ついに初披露された「100%未来」は、この度高校生活にピリオドを告げたいわきっ子たちの未来を照らすようだ。ロロ、EMC、いわきっ子、そしてこのパフォーマンスを目撃した観客のこれまでとこれからが交差して、重なり合って、音楽が鳴ることの素晴らしさ。あらゆる分断を乗り越え、混ざり合っていこうという希望の音楽だった。

アイラブユーってゆうかダンスウィズミー
ボーイミーツガールだけじゃもう足りない
ミーツミーツミーツ
出会った 君あなた
僕と私 あの鐘を鳴らそう


ロロ+EMC「ミーツミーツミーツ」


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最近のこと(2017/03/03~)

豚の生姜焼きが好きだ。生姜焼き定食、というのをメニューに見かけてしまうと6割方は頼んでしまう。サウナに併設されているレストランでのそれは8割にまで跳ね上がる。サウナの後に食べる生姜焼きが想像を絶する美味さであることは想像に難くないでしょう。肩ロース肉が一般的ですけど、バラ肉で作るやつも美味しいですよね。私が生姜焼きに強い気持ちを抱き始めたのは、小学校の家庭科の授業に遡る。栄養学か何かの一環で、「あなたの好きなメニューを3つ書きましょう」という課題が出た時のことだ。他2つに何を選んだか忘れたのだけど、そこに”生姜焼き”と書いたのをはっきり覚えている。好きだった女の子が用紙を覗いてきて、「生姜焼き!!めっちゃいいね。私も書こう」と言ってくれたからだ。そこから私の世界の法則(ルール)に「生姜焼き=めっちゃいい」というのが書き加えられたわけだ。しかし、こうやって思い出してみても、その子に抱いていた”好き”は何ら間違えていないな、と思いますね。



金曜日。3/3なので両津勘吉の誕生日だ。1週間の疲れを癒す為、池袋「タイムズスパ レスタ」へ。都内のスパの中では、指折りのオススメ店。しかし、HPによりますと、女性サウナには低温のミストサウナしかないようなので、ハードサウナ―な女性の方には物足りないかもしれないのが残念だ。これは後楽園「ラクーア スパ」も同じ。いつの日か、男女間でのサウナ施設の区別がなくなることを祈りましょう。「タイムズスパ レスタ」はサウナよし(自動ロウリュウが最高)、水風呂よし、外気浴よし、香りよし、清潔感よし、飯も美味くて、休憩スペースもたっぷり。言うことなしの快適空間なのです。特に外気浴が素晴らしいのだ。11階という高層の立地からか、とにかくビル風がビュンビュン吹いている。サウナと水風呂と血液を循環させまくった状態でデッキチェアに寝そべって目をつむっていると、空を飛んでいるよう感覚が得られるのです。ジブリ的飛行。もしくは舞空術だ(『ドラゴンボール』で空飛ぶことを、舞空術って呼ぶのいいですよね!)。この日のロウリュウは特別プログラムのヒーリングロウリュウ「アーネトン」で、絞られた照明の薄暗さの中で響くピアノの音色、静かに蒸されました。サウナで蒸されながら、明日から上演開始するロロのことを考えていた。で、驚いてしまったのだけど、この日、同じ時間に、ロロ主催の三浦直之がレスタで蒸されていたらしいのだ。なんたる奇妙な連帯。全然気づかなかったのだけども。蒸して冷やしては繰り返し、身体の中がすっかりホカホカになったので、退館。外の冷気を心地よく感じながら、池袋の街を歩く。サンシャイン通りの裏道では、いつだって女子高生の恰好をした客引きがいる(これからはあそこを”いつ高”通りと呼ぶことにしよう)。5人くらいの高校生の恰好をした女子高生ではないのであろう女の子たちが、「あーむずい」「どういう感じの人に声かければいいの?」「んー私は手当たり次第にいくね」という会話をしていた。その手当たり次第から漏れてしまった私は仕方がないのでイヤフォンで音楽を聞く。小沢健二「流動体について」とEnjoy Music Club「そんな夜」に涙腺が緩んだ。サウナでととのってしまうと、飯も美味く感じるが、音楽もより一層深く染み込んでくるのかもしれない。『住住』の主題歌であるEnjoy Music Club「そんな夜」が配信開始されましたので、マストチェックでお願いします!!マジで名曲。EMCのその名曲製造機ぶりはとどまることをしらない。



土曜日。朝起きてまず『ドキュメント72時間』の録画を観た。猛烈に串カツが食べたくなる。洗濯を澄まして、朝風呂に入り、湯船で長嶋有『夕子ちゃんの近道』を読み終える。

夕子ちゃんの近道 (講談社文庫)

夕子ちゃんの近道 (講談社文庫)

「Title:満月 本文:ですな」というメール、グッときた。お昼にインドカレーを食べて、渋谷へ。久しぶりにレンタビデオ屋でDVDをレンタルした。Netflix、Hulu、amazonプライムという環境に身を置いてしまったので、本当に久しぶりな気がする。渋谷から駒場東大前まで歩き、アゴラ劇場でロロ『すれちがう、渡り廊下の距離って』と『いちごオレ飲みながらアイツのうわさ話した』を観た。本当は4公演の通しで観たかったが、もう椅子に座り続ける体力(忍耐力?)に自信がないので、断念。『すれちがう、渡り廊下の距離って』の篠崎大吾のジェンダーレスな感じは本当に素晴らしい。しっかり”転校生”している。新作の『いちごオレ飲みながらアイツのうわさ話した』も素晴らしかった!
hiko1985.hatenablog.com
森本華の「散文的に笑う」アクションでむちゃくちゃ笑ってしまったな。多賀麻美は本当に高校生のように永遠に若い気がする。まったく面識はないが、人に多賀麻美の事を話す時はつい気やすく「”多賀ちゃん”がさぁ」と言ってしまう。そういった親しみやすさを多賀麻美が体現しているというのもあるが、つまるところ、”ガ”なんだと思う。多分、日本全国の加賀さんも、須賀さんも、多賀さんも、あだ名は”ちゃん付け”だと思う。でも、羽賀研二は羽賀ちゃんと呼びたくないな。しっかし、『いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三高等学校シリーズ』って小沢健二が完全復活した今、更に旨味のあるタイトルと化したものだ。思い返してみれば、6年ほど前に『いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校』というロロの公演タイトルを目にして、絶対観たい…!と検索したのが、出会いのきっかけだった。



日曜日。大きい荷物の受け取りなどが立て込んでいたので、基本的に家にいた。レンタルしてきた山田太一岸辺のアルバム』を最後まで鑑賞。

岸辺のアルバム DVD-BOX

岸辺のアルバム DVD-BOX

頭からジャニス・イアンの歌声が離れない。『ゲーム・オブ・スローンズ』もシーズン2までやっと観終えた。どちらも震えるほどおもしろくて、頭がボーっとしてしまう。荷物も無事受け取り、近所の銭湯に行き、軽くサウナを楽しむ。日曜の夕方の銭湯はとても賑やか。帰りしなに発見した小汚いスーパーで”自家製”と大きく銘打たれたモツ煮とサラダカニカマを買って帰り、オールフリーで流し込む。モツ煮は自家製だけあって大変臭く、サラダカニカマにマヨネーズと七味をつけて食べるのは美味しい。この日放送の『欅って書けない?』がむちゃくちゃ面白かった。突如スタジオに生まれた法則みたいなものに、MCを含めた全員カチっと噛み合い、いいヴァイブスが流れていた。普通に声を出して笑ってしまった。



月曜日。『ラ・ラ・ランド』むちゃくちゃ好きなわけじゃないのに、批判されているのを見かけると無性に腹が立ってしまうのは何故なんだろう。ちなみに、感性が批判されて怒っている、とかそういう話ではまったくない。仕事後にレイトショーでドラえもん映画の新作『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』を観た。
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ティザー広告の素晴らしさから期待値が高まっていたのですが、それを裏切らぬ佳作に仕上がっている。往年のドラ映画の質感が少しずつ蘇っている。来年は『のび太の南海大冒険』なのかな。あんまりいい印象ない作品なんだけど、ここからへんもリメイクしていくのか。『のび太の海底鬼岩城』は大切にリメイクして欲しい。しかし、どうせなら昼間の回で観て、子ども達の反応も伺いたかったものです。そして、入場者特典のおもちゃ貰いそびれている事に気づく。映画を観終えてお腹が空いたので「富士そば」でコロッケそばを食べた。
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コロッケそばを食べる時は、いつでも東海林さだお先生のエッセイに一遍を頭の中で反芻しながら食べる。『万年B組ヒムケン先生』は総集編で、本当に番組を畳みにかかっていて悲しい。



火曜日。WBCの初戦と『カルテット』の放送日なので、いそいそと帰宅。かつて得体が知れず最強だったキューバが弱体化していてつらい。3番セペダ、4番デスパイネではなぁ。しかし、全員スイングは早かった。筒香選手のホームランにむちゃくちゃ痺れる。筒香は高橋一生くらいかわいいぞ。試合が1時間延長で、『カルテット』も1時間遅れ。思っていたよりは早かったのでよかった。8話、素晴らしかった。『いつ恋』が8話からどんどんひどくなっていったので、すごく安心してしまった。すずめちゃん(満島ひかり)がかわいすぎて、ピンときてしまった。眼鏡クイックイッ。あのたこ焼き屋さんが時任三郎だったら、感情が破壊されていたので、むしろ違くてよかった。坂元裕二×中井貴一×時任三郎がむちゃくちゃ観たいのだ、私は。水曜日。この日もWBCを観る。オーストラリアの4番が元ヤクルトのデニングだった。デニングの満塁ホームラン、懐かしい。木曜日。『カルテット』8話の感想、何とか書き終える。あと2回書けば終わりだと思うと気が楽だけども、もう自分に持ち球がない気もしていて不安だ。精魂込めて書いているつもりなのだけども、同い年くらいの評論家さんにTwitterで、「対象の魅力を損ねる貧しい批評」というようにこきおろされていた。ハラワタが煮えくり返りましたが、藤子・F・不二雄エスパー魔美』1巻を読んで、心を静めた。F先生ありがとうございます。
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白菜鍋を作って食べて、お風呂にゆっくり浸かって寝た。



金曜日。小竹向原の劇場で玉田企画『少年期の脳みそ』を観劇。おもしろかったなー。再演ということで、これまで観てきた2作のプロトタイプという感じだった。というかだいたい話の構造や舞台装置は同じ。だけども、玉田真也にしか書けない感情の揺れを掬い取った台詞やシークエンスがあるのだ。本当に天才だと思うし、これからがむちゃくちゃ楽しみ。もっと早くに出会って、最初の作品から全部観ておきたかった。悔しい。観劇後、練馬に移動して友人と落ち合い、ラーメンを食べた。久しぶりに「濃菜麺 井の庄」のつけ麺。
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やっぱり美味しい。その後、もう1人加わったので、車を出してもらい深夜ドライブを楽しんだ。ジュディマリとSPEEDとどついたるねんを聞いた。「Human」は名曲だ。
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どついたるねんのワンマンライブで何やら重大発表があるらしいのだけども、ワトソンがかねてからの夢である果物屋さんになる為、解散とかだったらどうしようと心配しています。いい事だといいな。とりあえず、かつての青春を反復するように何となく海を見て、帰ってきた。海岸で缶のコーラ飲んで殴り合おうぜ!って盛り上がっていたんだけども、寒くてとてもじゃないけどコーラなんて飲めなかった。ジョナサンでモーニング食って解散。ジョナサンのモーニングめっちゃ充実しているし、久しぶりにメニューを眺めていたらすごいレベルアップしていた。デニーズを追い抜くと思う。