下関旅行記
2泊3日で下関へ行って参りました。下関は本島最西端の栄えた観光地であります。源平合戦の「壇ノ浦の戦い」、宮本武蔵と佐々木小次郎の「巌流島」、幕末期の「下関戦争」(高杉晋作終焉の地でもある)と、1つでもあれば充分に強力コンテンツを3つも有している。更に県のアイコンとしての”ふぐ”がいるわけで、観光資源を兼ね備え過ぎていて、観光地としてはとっ散らかった印象も覚えましたが、なんと言っても魅力的なのは、港街の持つ叙景と豊かな海産物だ。
今回の旅の最大の目的は唐戸市場。揚がったばかりの海産が直売されており、干物や瓶詰といった加工物に加えて、土日はその場でさばかれた刺身や寿司一様に並べられ売りさばかれている。
比較的安価(チェーンの回転寿司と比べてはいけない)で新鮮な魚を楽しむ事ができるのです。無数に並べられた色とりどりの寿司が目に楽しく、それらを自由にパックに詰めていくというシステムも実に快楽的。
これはもう天国に1番近い場所である。とてつもない高揚感に包まれ、財布の紐も緩みまくります。土曜のお昼、日曜の朝と2日連続で入り浸りました。
ふぐや鯨などのレアネタはマスト。のどぐろ、ひらめ、あじ、イワシなどの白身&ヒカリものの存在感が光りますが、マグロも抜群に美味しい。トロ、頬肉、脳天などあらゆる部位を堪能できます。プリン体の化け物、白子、イクラ、ウニの御三家の直売ならではの旨味にも舌が悲鳴を上げる事となるでしょう。希少なウチワエビも絶対に食べたい一品だ。
ふぐの唐揚げ、海老フライに味噌汁や雑炊も販売されていますので、安価ですがすぐにお腹が一杯になってしまう海鮮丼などに手を出すのはオススメ致しません。色んな店舗を回って、少しずつ頼むのがベター。味やネタの大きさ、値段などを比べてみるのも一興です。そして、海鮮からは外れますが、必ずや食べて頂きたいのが「縁起焼」であります。
大宰府の「梅が枝餅」のような餡子の入った焼き餅なのですが、これが抜群に美味しい。常温でも美味しいですが、温めると更にモチャっと抜群の食感が楽しめます。その場で温めてもらい食べ、あまりの美味しさに、お土産としても買って帰りました。ときに「モチャ」という擬音には、しっかり「餅」が音として組み込まれており、優秀ですね。
唐戸市場の近くには水族館「海響館」、観覧車などを含むミニ遊園地「はい!からっと横丁」(ネーミングセンス!)などもありますので、家族や恋人と下関を訪れた際はマストのエリアと言えます。更に遊覧船の乗り、5分ほどで対岸にある福岡県の門司エリアへ訪れる事もできます。門司港周辺は、レトロな建造物を残した街並みを売りにした、比較的ありがちな観光地ですが、焼きカレーでの町興しやバナナの叩き売りなど、見所は少なくありません。駅前のカフェで「焼きカレーガレット」を堪能致しました。
カレー、チーズ、卵といった強力なフレーバーに負けないガレットの旨味にうなる。
ホテルにチェックイン後は駅周辺を探索し、都市の差異を観察した。下関は地理的に韓国が近く、駅前には小規模ながらコリアンタウンが広がっています。明るい時間はほとんどの店が閉まっており、シャッター商店街のよう。裏に入ると老朽化した建物がたくさん立ち並び、哀愁を漂わせています。
メイン通りには韓国式の焼肉屋が多く見られたので、夜はにぎわっているのかもしれません。スーパーを巡るのも楽しい。駅前には「you me」というスーパーが見受けられた。ゆめタウンという企業が運営しているので、おそらく「ゆめ」と読むのだろう。ちなみに「you me」のレシートの印字が鮮やかな青色でクールです。
こちらでの1番の収穫はイケダパンの「三角あげパン」でしょうか。
餡子を挟んだトーストを油で揚げた胃もたれ必至ながらも、絶対間違いない菓子パン。鹿児島のパン企業が誇る九州のソウルフードのようで、山口でも大人気のよう。夜には小倉、白餡、クリームの3種がほぼ全て売り切れていました。どうしても食べたくなり翌朝、再びゆめマートに駆け込み、新入荷として並んでいた小倉をゲット。当然のように美味しい。噛めば噛むほど油が染み出て、餡子の甘みと共鳴し合います。やはり胃に厳しそうですが、この高カロリー&ジャンクぶりは食べざかりのキッズには最適でしょう。夜は雨に降られてしまったので、安価なお店で簡単にふぐの刺身と雑炊を頂きました。ふぐの味って透明すぎてわからない。
2日目は下関駅からバスに2時間近く揺られ、山間部にひっそりと佇む俵山温泉へ。
1000年以上の歴史を誇るというレトロスタイルの湯治場。40以上の小さな旅館が立ち並び、そちらに宿泊して「町の湯」という公衆浴場へ通うという本来のスタイルの湯治スタイルを現在も維持し、リウマチ治療の場として機能している唯一と言っていい湯治場なのだそう。決して観光地ではないのだけども、何とも言えない赴きが風景に宿っている。さすがに「町の湯」に入るのには敷居が高いので、ファミリー(観光)向けの「白猿の湯」で楽しんだ。こちらも娯楽性は少ないが、トロっとしたお湯が心地よく、肌はスベスベに。湯上りにはマッサージ機でリラックス。帰りのバスの待ち時間は、土産屋で焼いているホカホカの「三猿まんじゅう」を頂く。
土産屋にこういったものが当たり前のように置いてあるのも、味わいがあります。下関へ戻った頃にはすっかり日も暮れ、夕食の時間。下関駅からほど近い彦島の牡蠣小屋を楽しんだ。
ビニールハウスのような店内で炭火焼きの海産を堪能できます。こちらの売りは4種の牡蠣を食べ比べ。1種類がバケツにたっぷり入って1,000円ですので、全種に挑戦してしまうのもありでしょう。
どれも大ぶりでミルキーかつジューシー。最高です。海老、貝、干物など品揃えも豊富。別注文の牡蠣フライも美味なのでマストです。島と言っても下関駅から送迎の車が出ますので、アクセスは楽チン。ちなみに彦島(hiko島!)はロンドンブーツ1号2号の田村敦の出身地だそう。性豪の少年時代に想いを馳せて、牡蠣を吸い尽くすというのも文学的なものです。
というわけで、当初の目的通り、ひたすら食に尽くした旅行となりました。2泊3日ですと、かなり時間にゆとりがあったので、ギュッと下関を堪能したいのであれば、1泊2日でもOKかもしれません。そのまま福岡に移動して九州を楽しむのもありかと思います。オススメシーズンはやはり1~2月のようなので、来年の新春旅行はぜひ下関へ!