青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

小淵沢『こぶダイニング』冬

小淵沢へ行ってきた。私はスキーもスノボしないし、避暑地や温泉に関心が高いわけではない。しかし、小淵沢にはここ数年定期的に通っている。これでまでも何度か書いてきたのだけども、『こぶダイニング』という洋食屋があるからなのです。

食べ物の為だけに3時間近い時間をかけ、高速代や電車賃を払い、通う。自分でも驚いてしまうのだけれど、それに値する体験をこちらのお店は与えてくれるのだ!私に料理の味を存分に伝える語彙力が備わっていないのがもどかしい。それほどに、こちらの野中シェフの作る料理は美味しい。これまで美味しい料理は山ほど食べ歩いてきたというわけでは決してなく、グルメでも何でもない私だけれども、このお店で提供される料理の全てに舌が喜んでいるがわかる。余計な味がしなくて、ただひたすらに美味しい。それでいて価格はリーズナブルで店内に気取った所が微塵もないのもいいのだ。東京では本当に美味しいものを食べようと思うと、着飾り、緊張感に包まれながら食事しなければいけない。そんなのってナンセンスなのだ。『こぶダイニング』に赴き、美味し物を食べ、シェフに美味しいと伝え、そして返ってくる、嬉しそうな顔。食事をするという事の幸福感を教えてくれます。


さてさて、これまでは「シンプルハンバーグ」一択であったのだけど、最近はこの店の全てのメニューを食べてみたいという気持ちが芽生えていて、尋ねる度に新規開拓を行っている。今回は朝食抜きで挑み、「シンプルハンバーグ」に加えて、「チキンソテーふきみそクリームソース」、「鹿肉のステーキ」も注文。テーブルがいっぱいになってしまった。冬季に来店するのは初めてだったので、念願の「オニオングラタンスープ」も頂く。

飴色に炒められた玉葱の香ばしさと甘味、それを包み込む蕩けるチーズ。美味いなぁ。これは今後、ロイヤルホストのオニオングラタンスープが飲めなくなってしまうレベルだ。

「チキンソテーふきみそクリームソース」。これも衝撃的に美味しかった。鶏もジューシー。皮の香ばしく表面が焼かれているのもにくい。皮が苦手な方でも美味しく頂けるのではないでしょうか。クリームと味噌の不思議なコラボが癖になり、お皿の隅のソースまで全て綺麗にたいらげてしまいました。今後も定期的に頼んでいきたいメニューだ。

今回のお目当て、「鹿肉のステーキ」。シェフがさばいた鹿のお肉。なんと残り3皿の所、ギリギリ間に合いました。狩猟シーズンが終わり、これ以上は肉に臭みが出てしまうので使わない、というシェフのこだわりで次のシーズンまでおあずけだそう。そのこだわりの通り、癖や臭みの一切ない、まるで鹿肉のタタキを食べているかのような瑞々しい旨味と舌触り。添えられた赤ワインソースもこれまた絶品でご飯に絡めて全て頂く。

「シンプルハンバーグ」はやはり至高の一品。あらゆるハンバーグで1番好きだ。一口噛むごとに複雑なハーモニーを奏で肉の旨味を堪能できる。まず注文して頂きたいのはこのメニュー。山梨方面に行かれる際はちょっと遠回りしてでもぜひ!今回は雪が心配だったので電車で向い、小淵沢の駅から歩いて行ったのですが、2〜30分で着きました。タクシーでもOKだと思いますが、何もないけれど山々に囲まれた風景が抜群なので歩いて行くのもオススメでございます。