矢口史靖『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』
矢口史靖の快心の1作。『ロボジー』(2012)も決して悪い作品ではなかったが、今作を前にしてはダイナミズムに欠けると言わざるを得ないだろう。大木に刃を入れ切り倒す、高い場所へ登る、降りる。その一連の動作を、身体性を信頼してフィルムに収める。林業のシークエンスは極力CGやスタントの使用を控えているらしい。そういった役者への負担が疑いようもなく、映画の魅力に繋がっている。被写体として、とにかく素晴らしいのが染谷将太と伊藤英明だ。染谷将太の様々な感情が混濁したあの笑顔。そして、どこか脱臼した身体。”若さ”という概念の全てを託してしまいたい。近年では希少な35mmフィルムに若き染谷将太の表情と肉体を収めた、という点だけでもこの映画は評価に値するの。そして、言及せずにはいられない伊藤英明のトラック飛び乗り、その長距離長回し。鍛えられ上げた肉体と身体能力が、役者としての説得力に寄与している。この映画は台詞でなく肉体で語る。矢口史靖にとって『ウォーターボーイズ』(2001)
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「林業やってみたい!」とか「田舎最高!」とかそういった事とは関係なし、映画の中にずっと浸っていたいと思わせるような、甘やかな時間が流れている。車で2時間かけて向かうスーパー、勇気(染谷将太)と山太(子役)で交わされる「おやすみ」のあいさつ。勇気と直紀(長澤まさみ)の関係性の描き方もよかった。”神様”の手触りを元に2人が手を繋いでしまうシーンなんて最高に巧い。祭りの儀式の上で結ばれたり、紙切れに導かれた想いが布切れ(お互いの身体を拭いたタオル!)に託されたり。演出がとにかく巧みだ。