青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

銀杏BOYZ『GING NANG URBAN TALK LIVE TOKYO』


新宿バルト9で開催された『GING NANG URBAN TALK LIVE TOKYO』に参加してきた。銀杏BOYZの新作PV「東京終曲」「ぽあだむ」の2本のスクリーン上映と峯田和伸によるトークライブ。「東京終曲」のよさはスクリーンで観ても理解できず。ドニ・ラヴァンのようにポップじゃない。フィックスによる冒頭20分程の長回しがどうにも退屈だ。「互いに四つん這いになっている男女」と「ディルドが尻に突き刺さったまま生首を持って歩く男」という2つの画を撮りたいという欲求が最初にあって、その2つを繋げる為にストーリーを肉付けしていった、と監督(峯田)は説明していて、その作り方は正しいな、と唸った。でも、その2つの画の面白さが物語の強度に負けてしまっているので、本末転倒なのである。



対して、大画面で観る「ぽあだむ」のPVの素晴らしさときたら本当にどうにかなってしまいそうだった。あのイントロが大音量で鳴るだけで、もう!1000人を超える女の子が投げキスをするだけのあのPVの素晴らしさは一体何なのだろう。彼女達はかくも可憐であるというのに、たった数秒で画面が切り替わり消える。その少女達の連鎖は、どこか生と死の積み重ねを連想させ、観る者の心を捉えるのだろう。


トークライブは事前に配布されていた『銀杏新聞』をなぞるようにPV制作秘話などを。峯田君はトーク中、わかりやすいほどに”照れ”の裏返しのような態度をとっていた。村井君が登場してからのテンションの上がり方は大変かわいらしかった。アルバムのプロモーションが終わったらすぐにメンバーオーディション開始、ライブDVDとクリップ集の2枚を夏頃にリリース、との事だけど、全く信用はしていない。けど、せめてライブDVDリリースだけでも達成して欲しいものです。


そして、サプライズで峯田君による弾き語りライブが。東京で歌うのは4年ぶりだそうだ。1曲目がまさかの「漂流教室」で、思わず声にならない声が漏れそうになる。メンバー脱退後に最初にやる曲がこれってズルいや。

このまま僕等は大人になれないまま
しがみついて忘れないんだ
君の涙をいつか笑顔に変えてくれ
光る星に約束してくれ
はやく はやく こっちにおいでよ
君と僕は一生の友達なのさ


今まで出会えた全ての人々に
もう一度いつか会えたらどんなに素敵なことだろう

泣く。しかし、パフォーマンスとしては2曲目「新訳 銀河鉄道の夜」からが一気にギアを上げてくる感じで、続く「人間」「まだ見ぬ明日に」と鷲掴みにされてしまった。対岸とか彼岸とかそんな言葉は使いたくないのだけど、リバーブも相まって何だか得体の知れない場所から歌っているように聞こえた。峯田君の立っている”こっち”って一体どこなのだろう。かと思えば、人前で歌える喜びを素直に口にし、それを噛みしめるように歌う人間味も見せたりする。アンビバレンスで不思議でとてもつもなく魅力的な人だな、と改めて圧倒されてしまった。