青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

ラバーガール『GAME』


ラバーガールとはチャンプのベルトこそないものの『爆笑オンエアバトル』や『キングオブコント』で功績を残す、人力舎コント師。いや、しかしまだまだ世間では過小評価されているのではないだろうか。『キングオブコント』で言えば、東京03キングオブコメディ→2013年度準優勝の鬼ヶ島という「コントの人力舎」ラインがあるが、本当であれば鬼ヶ島の前にラバーガールがその座に収まっているはずなのです。とにもかうにも東京コントシーンにおいて間違いなく指折りの実力を持つ彼らが、演出に大人計画であり『男子はだまってないさいよ!』やシティボーイズの作家・演出でお馴染の細川徹を迎えた2013年夏に行われたライブ公演のDVDだ。

1日のみの公演だったそうだが、これは生で観ておくべきでした。個人的な彼らとの距離感の話になるが、登場時は「ついにおぎやはぎを超える才能が人力舎から現れた!」とYouTubeやライブDVDを見漁っていましたが、最近(恵比寿エコー劇場から離れて以降)の公演には正直マンネリを抱いており、少し熱が下がりつつあった。面白い事は面白いのだが、完全にネタのパターンが定型化しており、量産されるネタが絶頂期の劣化版のようにしか思えなくなってしまったのだ。本人達ですらマンネリを感じ出しているようにも思えたのだけども、今作での彼らは瑞々しくフレッシュ。演出の細川徹はお見事の一言だ。小道具、映像、音など今までにないあらゆる付加要素を加えていきながら、それでいてラバーガールのコントの本質であるシュールさ、バカバカしさの強度を一切下げるどころか、その魅力をより多角的に広げてあげている。ラバーガールの持ち味である「日常の中の非日常」のみならず、実験性、ドラマ性の強いネタも加わり、どこか崇高さすら匂わせている。あの東京シュールコント師の頂きシティボーイズラーメンズバナナマンの高みすら見えてくる勢いだ。メインテーマにとして、『シュガー・ラッシュ』『ハイスコアガール』『東京トイボックス』『ノーコン・キッド〜ぼくらのゲーム史』など昨今のカルチャー界のトレンドと言える「ゲーム」を設定してあるのも憎い。ラバーガール細川徹の組み合わせ、しばらく継続して頂きたいものだ。


色々書いてはみたものの、今公演まずもって単純に笑えるのだ。久しぶりにラバーガールでゲラゲラ笑ってしまった。特に設定や舞台装置が凝っていた「ゲーム」「妖精がいる部屋」「パワーポイント」の中盤が特にたまりませんでした。そうそう、いかした音楽を担当しているのは何とEnjoy Music Clubなのだ。凄いチョイス。間違いなくラバーガール最高傑作でしょう。これがもっと騒がれないというのは気の毒です。ラバーガールってお店が舞台で理不尽な店員か客が出てくる低温シュールコントの人達でしょ?という方にもぜひオススメしたい1作です。マストチェック!