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Spark!特別編『人力舎とマセキ芸能社のガチネタバトル!!』

Spark!特別編『人力舎マセキ芸能社のガチネタバトル!!』を関交協ハーモニックホールで観てきました。人力舎マセキ芸能社の2つのお笑い事務所の活きのいい若手芸人が1組ずつネタを披露し、客が面白かった方に○をし投票、その総数を2つの事務所で競い合うという仕組み。今回でもう5回目くらいらしいですが、初めての参加。いやはや、むちゃ楽しかったですね。バトルは燃えます。司会はニッチェに加えて、ドランクドラゴン鈴木と北陽伊藤の2人。はねトび世代号泣。拓さんと伊藤ちゃんを生で観るのはもしかたら初めてだったかもしれない。鈴木拓の芸人を超越してしまった感じは希有で、何だかんだで一生食っていけそうだ。


ジグザグジギー、ニッチェ、ツィンテル、三四郎、浜口浜村、モグライダー、エル・カブキ、カントリーズ、ルシファー吉岡などのアラウンド30のマセキ芸能社芸人の異様なまでの充実と時を同じくして、一時期低迷していたかのようにも見えた人力舎が再び盛り上がっている。漫才のスパナパンチ、S×L、ドリマーズ、コントのザンゼンジ、巨匠と独特のセンスを持った若手がライブシーンで名を轟かせている。吉本興業という大きな事務所がありながら、マセキ芸能社人力舎の異様なまでの粒の揃い方。今、お笑いライブシーンを面白ろ過ぎるのだ。どちらかと言うとマセキびいきの私ですが、勿論、審査は公平にやらせて頂きました。○がついているのが、私が投票したコンビです。


フルパワーズ VS カントリーズ ○

フルパワーズは名前の通り元気だった。ネタ中に自分達で言っていましたが、声の圧だけで勝負する漫才。迷いなくカントリーズの勝利。カントリーズは事務所のトップ内海桂子師匠や先輩であるナイツと同じく漫才協会所属で、可愛げのあるルックスで毒を吐くボケが楽しいです。昨年度、漫才新人大賞受賞しています。投票結果もカントリーズが勝利。


スパナペンチ VS 三四郎 ○

現役大学生ながら『THE MANZAI2013』で認定漫才師かつワイルドカード枠にまで入り込んでいるスパナペンチは今後も台風の目でしょう。ボケ永田の社会に相入れないオルタナティブな風貌がまずたまらない。ひねくれた感性を正論にしてしまう漫才がたまらない。しかし、やはり三四郎の勢いには勝てず。「おでんの好きな具を言っていく」というだけの漫才があそこまで面白くなってしまうなんて。投票結果も三四郎が80%を超す支持で圧勝。


ブルーセレブ VS 浜口浜村 ○

ブルーセレブの漫才は印象に残らなかった。一直線な漫才で人力舎っぽくないな、とは思いました。対して、浜口浜村の漫才は巧くはないが楽しい。漫才の進行が一直線じゃなくてあちこち変化していく。こちらも浜口浜村が80%を超す支持で圧勝。マセキライブでもオレンジからブルーに昇格したようで勢いを感じて大変嬉しいです。来年こそは認定漫才師!


S×L VS エル・カブキ ○

S×Lの漫才は巧いし楽しいし好きだ。しかし、「俺いつも何て言ってる?」のバリエーションが最近いつ観ても「俺が浜ちゃん、お前が松ちゃん」「質のいい漫才」だな。対するエル・カブキはパックマンマックンを題材にした漫才。誰をターゲットにしているのだ。最高。手叩いて笑ってしまった。エル・カブキは男子校の学園祭とかを回れば王者になれるんじゃないだろうか。投票結果はS×Lの勝利。


エレファントジョン ○ VS モグライダー

エレファントジョン圧巻の漫才。とことんくだらない事を徹底的にテクニカルにやっている。今日1で受けていたなー。この感じで『THE MANZAI』のサーキットに行けば、来年こそは決勝の舞台間違いなしだ。目指せ、ポストアンタッチャブル。モグライダーの闘牛士のネタも面白かったけど、前に観た時よりはまってなかったし、相手が悪かった。9割の支持を集め、エレファンファントジョンの完勝。


真空ジェシカ川北 ○ VS 深町哉

ここからはピン芸人。どちらもボードネタだけども、アンパンマンドラえもんのパロディというよくある手法だった深町哉に対し、真空ジェシカ川北のネタには圧倒的なオリジナリティを感じた。人力舎所属芸人ですが、彼こそポストバカリズムだ。当然、投票結果も真空ジェシカ川北の勝利。


ゆってぃ VS カトゥー ○

このイベント恒例の泥試合だそうです。どうせなら「ワカチコ」観たかったので、「おげんこぉ」を惜しみなく披露してくれたカトゥーに入れました。投票結果もカトゥーの勝利。


田上よしえ VS ルシファー吉岡 ○

実力派ピン芸人対決。田上よしえは安定感こそあれハッとする瞬間がなかった。ルシファー吉岡はしょうもない下ネタだったけども、ピン芸人の品格のようなものが高貴に宿っていた。かっこいい。投票結果もルシファー吉岡の勝利。


ワルステルダム ○ VS ハンカチーフ

ここからコント。女性コント師ワルステルダムは初めて観た。比較的オーソドックスなコントだったけども、対するハンカチーフのネタが「サイコ」を履き違えた自殺コントで会場を思いっきり引かせていたので、投票結果はワルステルダムの圧勝でした。


ザンゼンジ VS ジグザグジギー

両事務所のコント師エース対決。どちらも電話ネタ。ザンゼンジのネタは、電話で空間をズラしてしまう構造はとても刺激的だったのだけど、笑いの量に関しては着メロがシャ乱Qの「上・京・物・語」というのがピークだったのが敗因か。ザンゼンジは他のネタを観ていても「ズラす」事に意識的で興味深いコント師だ。対するジグザグジギーは、しつこく繰り返されるワード自体がまずギャグになっているというちょっとらしくないネタ。彼らの中ではそこまで好きなネタではないのだけど、池田の丁寧なツッコミで笑い所を随所に設定してあり、何度も声を出して笑った。さすがの一言でございます。投票結果もジグザグジギーの勝利。


巨匠 ○ VS ツィンテル

噂に名高い巨匠のコント「万物の祖」を拝む事ができた。会場はコントのイントロの段階で笑いが起きており、その伝説ぶりがうかがえる。人力舎から鬼ヶ島を超える狂気が登場していた。プリミティブかつサイケデリック、最高だ。ツィンテルのシティコントはお上手の一言だけども、かなり見づらかった印象。投票結果は何と1票差でツィンテルの勝利。


ラバーガール VS しゃもじ ○

ラストは何とラバーガールが登場。ネタは「お土産の定番」安定した面白さだった。動揺しない飛永さんはやはりいいなー。しゃもじは沖縄事務所からマセキに移籍してきたばかりのコンビ。漫才しか観た事がなかったのだけどもコントのほうが圧倒的に面白かった。悩みに悩んでしゃもじに投じましたが、結果は僅差でラバーガール



個人的な投票結果を観てみると、マセキに8票、人力舎に4票対決投票結果はマセキに7票、人力舎に5票。なんと、ほとんど変わりませんでした。納得の結果であります。マセキの勢いは確かに感じるが、人力舎はマセキより更に若い世代が揃っている。どちらも今後が楽しみだ。しかし、アフタートークにおいて醸し出すマセキ芸人の仲良しっぷりときたら、多幸感の一言だ。終わらない青春をあそこに託します。フリートークではやはり、三四郎の小宮さん、ジグザグジギー池田さんの素晴らしさが光ります。とても面白いイベントでしたが、24本もネタを一気に観るのは想像以上に疲れるものですね。でも次も行こうと思います。