青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

京都旅行記

新幹線で駅弁なんか食べていると、気が付けば京都駅。いきなり目的のロロの『LOVE02』を元・立誠小学校にて鑑賞です。噂には聞いていた立誠小学校、素晴らしいロケーション。もっとじっくり観て回りたかった。


この水飲み場の感じやばい。ノスタルジーが襲い掛かってくる。幾多の記憶がジンワリと染みこんでいたそうな建物だ。ここでマームとジプシーが公演を行ったり、うつくしきひかりが演奏をしたりしているのか。それはさぞかしだったろうなぁ。ロロがやっぱりあんまりにも素晴らしくてオイオイ泣いて席を立つ。観劇後は、イノダコーヒー本店へ。

学生時代は高値過ぎて手が出なかった憧れのビーフカツサンド(1700円!!)を、とは言え何度も心の中で覚悟を決めながらついに注文。

血がしたたっている。旨い。そして、無糖派でさえブラックでは飲みたくないイノダの素敵に甘い珈琲「アラビアの真珠」を。

高校時代だから小西康陽の『これは恋ではない』を貪り読んでいた私にとって、イノダコーヒーは憧れの地でありました。もう1冊の傑作『ぼくは散歩と雑学が好きだった。』においても小西さんがイノダのカツサンドをレコメンドしていたのだ。STRUGGLE FOR PRIDEの今里氏が渋谷系を愛聴していた事で有名ですが、彼は旅先には『これは恋ではない』を持参してホテルのお風呂で読むのを常としていたそうです。いい話だ。



話が逸れました。河原町を適当にブラブラして、モスドモスバーガーmeetsミスタードーナッツ)に入る。初モスド。むちゃくちゃ空いている事に驚く。東京だったら土曜日のチェーン店なんてのは意味もなく人で溢れているのだけど、京都はそうでもないらしい。携帯の充電のために入ったマックですら空いていて快適だった。モスドで注文した野菜のサンドウィッチとホットケーキがどちらも非常にクオリティが高くてうれしくなってしまう。


特にホットケーキはメイプルとバターの合わさった香りがまさに幸せの匂い。マスターピースぐりとぐら

のあのカステラってこんな味していて欲しいなぁ、とか想ってしまって「その、おいしかったこと!」なんて叫びたくなってしまうわけです。



そして、これまた『ぼくは散歩と雑学が好きだった。』の中で「日本で1番好きなクラブ」と紹介されているメトロにてceroのライブを観る。メトロはその名のとおりに地下鉄の駅と直結していて、これはかなり新鮮だった。扉を開けると誰かがDJで最高に盛り上げていた。隣にはゆーきゃんがいてマイクを通してとても大きな声で客を煽っていた。こいつもかなり新鮮で、と言うよりショックでしたね。東京じゃ「こんばんわ、ゆーきゃんです」ってあなたの想像する6倍は小さな声でMCをするあのゆーきゃんが地元じゃ負け知らずだなんてね。ceroのライブは機材トラブルで冒頭2曲が演奏途中に中断、しかもシンセサイザーが使用不可になるというトラブルに襲われておりました。1曲目の「クラウドナイン」とか超かっこよかったのに。しかし、逆境も何のそので「大停電の夜に「MY LOST CITY」や、おそらく急遽やることにしたのであろう「武蔵野クルーズエキゾチカ」なんかで最高に盛り上げておりました。



翌日は自転車を借り、イノダでモーニングを食べてから、仁和寺壬生寺を堪能。どちらもオススメですね。仁和寺の庭園のミニマリズム好き。

壬生寺では狂言を4本も見る。野外公演なので後半寒くて死ぬかと思いました。秋をとうとう感じた。そして、天下一品五条桂店へ。シラフさんが「天下一品好きなら行ったほうがいいよ」とレコメンドしてくれたので、本店に行くのをやめてこちらへ。レコメンドに偽りなしの一品でした。

スープの濃さが粘度に頼るのでなく味の濃さ、深さなんだな。そして、これは名店の必須条件ですがスープが火傷するほどに熱い。注文すると「ニンニク入れますか?」と二郎マナーで聞いてくるのも新鮮。更に興味深いのが角煮ラーメンや赤ラーメン(唐辛子がスープ一面に)、果ては味噌ラーメンまでが存在するメニューの独自性と多様性。なんでもかつては通常のこってりラーメンを頼んでも味噌が勝手に入っていたらしい。次は味噌ラーメンを注文したい。店内の雰囲気も独特で、生活に根付いている感じが出ていてよいです。想像以上に自転車で移動してしまってヘトヘトになっている帰り道、イオンモールが突如目の前に現れて、チラッと覗いてみたら映画館があって、しかもちょうど『アウトレイジ ビヨンド』の上映時間が近かったので、観ちゃいました。後悔なんかしてない。だってもうほんと無茶苦茶おもしろかったのですから。



最終日は東寺を拝観。あの五重塔があるお寺。前にも行った事あるのかもしれないんだけど、修学旅行とかふざけていた思い出しか残っていないので実に新鮮に仏像と向き合えた。薬師如来大日如来のあの眼差しには信仰心のない私でもさすがに畏怖と敬意の念を抱く。すっかり敬虔な気持ちになり、薄出汁のお蕎麦なんて食べつつ、再び河原町周辺を散策。JET SETレコード本店にも立ち寄る。東京のお店より数倍広い。videotapemusicの『1泊2日』を購入。高城晶平とやけのはらを招聘した「Blow In The Wind」の7インチです。そして、六曜社で珈琲とドーナッツ。

相性のよさに感動しつつ、新幹線の時間がギリギリな事に気付き慌てて、京都駅へと舞い戻りました。脱線を重ねつつ、スーッと2泊3日を駆け抜けました。