青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

横浜聡子『おばあちゃん女の子』



横浜聡子の短編『おばあちゃん女の子』では山下敦弘『子宮で映画を撮る女』や横浜聡子『ジャーマン+雨』で強烈なインパクトを残している野嵜好美主演作。生活感を漂わせながらも溢れだす狂気を画面一杯に体現している。そして、それを受け止める宇野祥平がよい。しかし、この2人の眼差しやばい。ちなみに上の2カットもどちらも1人でいる時のシークエンスからのカットですよ。2人とも見えてないものが見えているような顔してる。おそろしい。



小さいアパートの一室をたっぷり使いこなす、横浜聡子の空間把握能力。野嵜好美の移動が画面を充実させていく。エンドクレジットで参考作品に高野文子『田辺のつる』が挙げられていて、『おばあちゃん女の子』というタイトルであれば、なるほどそういう話か、となるのだけども、実の所どういう話なのかはよくわからない。しかし、横浜聡子の映画はよくわからないのが気持ちいい。ドアの開け閉め、放り投げられる林檎、漕ぐブランコ、鉄棒での逆上がりなど、鮮烈なイメージで画面が支配されているので、とにかくそれを浴びればいいのだ。