ロロ『常夏』
シーンとシーンの繋がりを弱くする代わりに、細かく配していく事で、1つの大きい物語ではなく、小さなグルーヴの明滅でもって、何か大きないものを描けないか、という試みで作られたのがこの『常夏』であるらしい。そういう意味では成功なのだろうか。でも、ちょっと自分にはイメージのスケッチ集のまま提出されてしまったような印象を受けてしまった。もちろん、終盤のカタルシスにはやられたし、あだち充の『H2』からの引用であったり、ももいろクローバーや小西康陽×吉村由美の音楽を流すキッチュさには相変わらずフックをかけられてしまうのだけども。でも、そういう大根仁的な作品の作り方ではなく、ロロに感じるポテンシャルはもっと開かれたものなのだ。ロロが描く大きな"物語"、それが観たい。