青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

松本壮史×三浦直之『デリバリーお姉さんNEO』最終話

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青春ってさ、UFOを待ち続ける日々だと思わない?

隣にいる女の子がいい感じでそんなことを言う。「これはやれる」と確信した私は、「・・・あるいは」と返した。なんたって昨日読んだ村上春樹の小説の主人公はこの言葉でそれはもう都会的なセックスを楽しんでいたのだ・・・あの時、彼女が投げてきたボールを巧く返せていたら、果たして本当にやれていたのか。その審議は”やれたかも委員会”に任せるとして、この体験は「UFO来ないかなぁ」という祈りのような質感を伴って心の奥底に残り続け、そして私は青春ゾンビとなった。


最終話の依頼人は、幼少時代にUFOに魅せられ、青春時代を経て社会人となった今でも、あらゆる方法でUFOを呼び続けている男・山田だ。演じているのは、スターダストプロモーション所属の若手俳優中島広稀である。中島広稀・・・何やら見覚えがある。そう、この『『デリバリーお姉さんNEO』と同じく松本壮史が監督を務めた、乃木坂46桜井玲香の個人PV『アライブユー』に登場する告白マニアの”山田”を演じていた俳優なのだ。この”山田”というキャラクターは同じく松本壮史が監督した欅坂46織田奈那の個人PV『コールミー』にも名前だけ登場している。松本作品における”山田”は、手塚治虫ヒョウタンツギのように、作品を超えて現れる存在なのかもしれない。
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山田は小3の頃のクラスメイト西野さん*1が写生大会の時に見たという、こんにゃく型のUFOに自身も遭遇することを夢見る。

エリー「西野さんのことスキだったんでしょ~?え~?」
山田「いや、それは自分でも・・・どうかわからないんですけど
でもなぜか無性にこんにゃくみたいなUFO、僕も見たいなと思って」
エリー「子どものついたただの嘘でしょー?」
山田「いや、そのこんにゃくみたいなUFO、僕が見たら嘘じゃなくなりますから」

あらゆる虚構を”本当のこと”にしていくこの態度は、この『デリバリーお姉さんNEO』の1つの核であったように思う。できなかった告白の再現(3話)、人形ごっこ(6話)、過去と現在のミーツ(9話)etc・・・中学に入り、西野さんがすっかりUFOへの関心を失くしてしまった後も、山田はUFOに憑りつかれていく。高校に入り、創設したUFO研究会では、また別のUFO好きの女の子に出会う。その女の子にフラれた後も、山田は依然としてUFOに魅せられ、その熱がデリバリーお姉さんの2人と山田を引き合わせる。山田がかつて西野さんに向けた「アイラブラブユー」が、巡り巡って、無関係であった色々なものを繋ぎ合わせていくのだ。

1人じゃ手、繋げないけど
2人なら手が繋げる
3人なら輪になれる

結ばれた3人は輪になってステップを踏む。デリバリーお姉さんの元には、青春へのほんの少しの後悔持ち合わせた人々が集う。えてして、奇人変人。彼女たちは、そんな変わった人々の話に耳を傾け、その人生の断片を採集する。デリバリーお姉さんは無関係であるはずのあなたの人生の物語に介入していくのだ。離れ離れであったはずの、点と点が結ばれ線になり、その線が更に繋がり輪になっていく。

関係ない人たちの人生が
グッとカーブして出会う
その瞬間のエネルギーを楽しもう
物語を
未来は踊って待つことにする
オーイ オーイって呼びながら

もしかしたら、その時に発生するエネルギーこそを、”青春”と呼ぶのではないだろうか。ならば、「オーイ オーイ」と未来に向かって愛を叫び続けよう。その「アイラブユー」こそが、貴方と誰かを結びつける。青春は永遠に終わらないのだ。



<余談>
『デリバリーお姉さんNEO』が終わってしまった・・・寂しい。ロロメンバーの堂々たる客演も感涙ものでしたが、主演の岩井堂聖子と木竜麻生という2人の女優の発見も喜ばしい。

マコ「エリーさん、とんだ青春ゾンビだったんですね」
エリー「私は青春大好き女だよ」

オレもー!エリマコもフォーエバー。ぜひとも続編を期待したいものです。松本壮史×三浦直之のタッグが担当した1、3、6、7、9、10話が好きだった。これはもう贔屓目抜きにそう。記憶を喪失した状態でこの『デリバリーお姉さんNEO』を観たとしても、1、3、6、7、9、10話が好き!と叫ぶ自信があります。とりわけオススメはやはり3話「あの夏を再現」でしょう。見逃している方はこれだけはもう何としても観て頂きたい。現在、GYAO!で無料公開中。急げ!!

*1:西野さん?西野七瀬さん!?