青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

Sugar.「アバンチュールはルックスしだい」



「HAPPLEのコーラスの感じが好きなら、Sugar.(シュガー)とか好きなんじゃないの?」というサジェスチョンが入ったので、レコード屋で7インチ「ウエディング・ベル」と「アバンチュールはルックスしだい」の2枚を購入してみた。お値段は2枚で100円である。Sugar.というのは80年代に活動していたコーラスを主体としたアイドルガールズバンド。まだ日本のポピュラーミュージックがJ-POPでなく、ニューミュージックと呼ばれていた頃の音楽だ。1stシングル「ウエディング・ベル」が70万以上を売り上げ、紅白にも出場したそうだが、その後ヒットには恵まれず解散。一般的に言う所の一発屋のようです。聞いてみると、なるほど、HAPPLEの押田ボーカル曲などに似たフィーリングを感じとれる。楽曲のクオリティがとても高い。それもそのはずで、2曲共に作詞・作曲はあの「ときめきトゥナイト」「パーマンはそこにいる」などを手掛けた古田喜昭だ。1981〜83年あたりは、古田喜昭が代表曲を連発していた脂の乗り切った時期である。「くたばっちまえ アーメン」というインパクト大の歌詞とキャッチーなメロの「ウエディング・ベル」も捨てがたいが、個人的には「アバンチュールはルックスしだい」を推したい。後の「ときめきトゥナイト」にて更に研ぎ澄まされるトロピカルシティポップのアーバンなサウンド感覚がこちらでも貫かれている。流麗なハーモニーもソフトロック感あり。メロディーの旨味を残したまま、日本語の音の気持ちよさも両立させている節回しも見事である。やっぱり古田嘉昭は歌詞が凄い。「ときめきトゥナイト」の

満月に向かって ノラ猫たち
狼を気取って フニャロ フニャロ
月灯りの中で
そっとドレッサーをのぞけば
バスタオルに包まれた

とか、意味はほとんどないのに全ラインがフックになっていて、メロディーと合わせて聞くと、これが「音楽の快感か!」と叫び出したくなる”跳ね”がある。「物理学的には 今の私 三角関係の 一点なの女の子だけが持ってるウルトラエクセレンス第六感コンピューター分析の結果 現在フィフティ・フィフティみたい」もやばい。「デリケートに好きして」の言語感覚だけでも音楽的ではないか。とにもかくも、話をSugar.に戻すと、彼女たちの音楽には渋谷系、更には現代のインディーシ―ンやマニュエラなどの源流を伺う事ができる素晴らしさがある。是非ともチェックしてみて頂きたい。