青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

最近のこと(2020/03/12)

目が覚めて、ここはどこだろうと思ったら青森の健康ランドの一室だ。囚人の部屋の半分もない狭さだが、ぐっすりと眠ることができた。前世は罪人だったのかもしれない。しかし、朝からどうにも鼻水が止まらない。花粉症の薬を早く飲みたいので、昨日買ってあった工藤パンの「イギリストースト」に齧りついた。ジャリっという食感が楽しい。マーガリンとグラニュー糖を薄切りの食パン2枚で挟んだ一品で、起き抜けのぼんやりした頭に糖分がドバドバ送り込まれる。陽光を浴びながらの朝サウナはとても気持ちよい。すっかりご機嫌になってしまい、健康ランドからレンタカー屋までの道のりを永野の「喉にモチが詰まった新沼謙治」のモノマネをしながら歩いた。そんなに上機嫌になれるんだ、自分で驚いた。

駅前のトヨタレンタカーでヴィッツを借り、カーナビの目的地に本州最北端の大間町をセットする。3時間ほどのロングドライブは、『アルコ&ピース D.C.GARAGE」と『爆笑問題カーボーイ』の2本を聞いていたらあっという間だった。なんだかいつもの長野での出張生活と変わらない。しかし、青森の人の運転はとても穏やかだ。強引な横断や無理な右折も少なく、法定速度をしっかり守る車が多かった。まったく実感が湧かないが、本州最北端に辿り着いてしまった。ここが最果て・・・と気持ちを高めて、対岸の向こうの函館を眺めた。最北端には特になにがあるわけでなく、海鮮が食べられる食堂がいくつか点在しているくらいである。「魚喰いの大間んぞく」という食堂でマグロとウニの2色丼を食べた。はるばる来て、丼を1杯食べて帰るのもなんなので、「お食事処カモメ」でミニマグロ丼を食べた。

お腹を満たして、いざ恐山へと進路をとる。ナビが色んなルートを示すも、冬季通行止めだったり、獣道だったり、自衛隊敷地内だったりと、どうやっても山に進むことができない。いったん冷静になって調べてみると、恐山には5月から10月の期間しか開放していないらしい。下調べを怠ったあまりに、旅の最大の目的を失ってしまった。途方に暮れて車を走らせていると、原子力施設のある六ヶ所村に辿り着いた。原子力以外にも風力発電に力を入れており、100機近い風車が丘にびっしりと建っているさまはちょっとした風景だった。そのまま三沢市に入り、この日の宿である「星野リゾート 青森屋」へ。1泊くらい贅沢をしようと憧れの星野リゾートである。と言っても、シングルの部屋であれば朝食付きで10000円しないくらいの価格だった。コロナの影響で客数が少ないのか、広い部屋にグレードアップしてくれたのも嬉しい。林檎ジュースの出る蛇口や敷き詰められた提灯など、内装はどことなく池袋の「ナンジャタウン」を彷彿とさせる。もちろん、高級感はあって、青森ヒバの香りで満たされた館内はとても心地良い。そして、とにかく敷地が広い。建物も広いが、散策コース内には池や牧場なども含まれていて、ちょっとしたアミューズメントパークだ。大浴場は足湯を含めれて3ヵ所もあるという。この日は檜風呂が心地よい「浮き湯」に入浴した。露店風呂には、ねぶたが設置されているという異様な雰囲気にテンションが上がってしまう。サウナ、水風呂も完備でパーフェクトリラックスだ。お風呂を出ると、広場で南部民謡と津軽三味線のパフォーマンスが繰り広げられていた。1日中施設内で過ごしても飽きることはないだろう。昨夜とはまったく感触の異なる、フカフカのベッドでぐっすりと眠りに就いた。フカフカと書くと、中にカフカが潜んでいて不条理な気持ちになる。