青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

最近のこと(2020/06/06)


www.youtube.com
大学3年生くらいの時、付き合い始めたばかりの恋人から「今、どんな音楽を聴きたい気分?」と質問された。これは早くもとんでもない分岐点に差し掛かっているのかもしれないぞ・・・と焦りに焦って、「う、うーん、小沢健二(愛し愛され生きるのさ)」とかかな?」と答えると、「あれは恋する自分を俯瞰で見た観念の歌じゃん!そういうことじゃないんだよなぁ」と窘められた。「じゃあ、どういう歌を聞けばいいのさ?」と尋ねると、サニーデイ・サービスの「恋におちたら」と彼女は言った。わたしはその回答に、よくわからないながらもひどく興奮し、道すがらこの曲を聞いて、”恋をする”ということへの理解を深めようと努めた。分岐点を間違えた2人の恋はとうぜんあっという間に終わってしまったのだけども、なんだか大切なものを教わった気がしていて、忘れがたいシーンなのだ。

朝ごはんを買いにファミリーマートへ足を運ぶ。昨夜読んだ『CREA』の中でハライチ岩井勇気が偏愛するものの中に選ばれていた「しっとりケーキ(チョコ)」を買いに来たのだ。焼きお菓子コーナーをいくら探しても見つからず、パンのコーナーを覗いてみると、そいつはズッシリと菓子パンとして鎮座していた。想像していたのの4倍くらいのサイズ感で、488キロカロリーもある。これはもう間食などではなくしっかりと食事だ。珈琲と一緒に買って食べてみる。たしかに美味い。けれども、岩井さんのように立て続けに3個食べてしうまうとか、3食すべてこれでいい、とまでは思えなかった。しかし、”偏愛“というのはそういうものなのだ。個々人の偏った愛情。わたしは岩井さんのその熱情の一端に触れることができただけで満足なのです。

明日の朝一で引っ越し屋が引き取りに来るので黙々と段ボールに詰めていく。衣類を終えて、食器を紙に包んで詰めているとこの部屋で過ごした無数の思い出がよぎり胸がいっぱいのセンチメンタル状態になってしまったので作業を中断。髪が伸びていたので気分転換に散髪することにした。髪がサッパリして気分がよくなり、コンビニでピノの期間限定商品「チョコミント」を買って、歩きながら食べる。なんでポップカルチャーとかサブカルチャーが好きな人っておしなべてチョコミントが好きなんでしょうね。

今住んでいるマンションはローンを組んだ分譲なのでわりと部屋のスペースに余裕があったので、かなりの数の本棚を設置している。

ここに写っている以外にもとにかく本がたくさんある。ところが、大阪のマンションは1Kなので、本棚を置く余裕はとてもじゃないけどもない。大阪は家賃補助が出るということなので、東京のマンションは残すことにした(わたしが大阪にいる間は親に住んでもらう)。すなわち本はすべて東京に置いていくことになる。いや、でも待てよ・・・と藤子・F・不二雄ドラえもん』のてんとう虫コミックス高野文子『棒がいっぽん』『黄色い本』、石黒正数それでも町は廻っている』『天国大魔境』、田島列島子供はわかってあげない』『水は海に向かって流れる』、近藤聡乃『A子さんの恋人』『ニューヨークで考え中』、クリハラタカシ『冬のUFO・夏の怪獣』、エーリッヒ・ケストナーとE・L・カニグズバーグの児童文学、それにいくつかの詩集と歌集を段ボールに詰めた。あと未読の本も数冊。本当ならば、あだち充冨樫義博チェーホフ夏目漱石向田邦子あたりは絶対にいつでも手にとれる場所に置いていきたいし、『ちびまる子ちゃん』とか『あたしンち』とか『キャプテン』とかは心の安定剤として持参したい。しかし、そういうことを言い出すと作業が終わらないので断腸の思いで選抜作業を締め切った。月に1回はこの部屋に戻ってくる予定なので、その都度本を入れ替えていけばいいだろう。そう、すなわちわたしは東京から大阪に移るのでなく、その二つの地点を行き来し、自己を引き裂かれていくのだ。もういっそ、盛大に混乱していきたいと思う。