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『M-1グランプリ2016』感想

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今田耕司上戸彩の盤石の司会・進行、シンプル明瞭なシステムによる賞レースとしてのカタルシス、昨年の復活で改めて痛感させられた『M-1グランプリ』というコンテンツの優秀性に加え、オール巨人上沼恵美子松本人志といったレジェンド級が審査員復活(個人的には昨年の歴代王者審査員で何ら問題ないと思ったけども)ということで、より一層の緊張感と厳かさを獲得。更に演者のネタのレベルも昨年以上に充実していて、大満足の大会でした。



銀シャリ、和牛、スーパーマラドーナという関西の本格派3組が決勝進出という結果も納得。なんせ、事前の視聴者予想で大多数に(その順位さえも)言い当てられるほどに、予想通りな結末だったのですから。3組どこが優勝でもおかしくない実力の拮抗で、敗者復活じゃなかったら和牛が優勝が濃厚だったのでは、という点だけはモヤっとしますが。昨年優勝したトレンディエンジェルが敗者復活だったのも和牛には気の毒だった。しかし、2本目にやや物足りなさはあったものの、1本目に披露した銀シャリの漫才は王者としか呼びようのない気高さと美しさが漂っていた。本当におめでとうございます。



ちなみに、個人的な趣味で言えば、カミナリ、相席スタートスリムクラブといった下位3組が断然好み。唯一無二な個性の煌めきに胸を撃たれた。決勝進出9組の内、唯一の20代であるカミナリは、とにかくフレッシュでキュート。その明快かつ大胆な漫才のフォーマット、かゆいところに手の届くワードセンス、4分間の細部を余すところなく再利用していく構成力、そのどれもが愛おしかった。敗退コメントで魅せた地肩とハートの強さ、活躍しか目に浮かばない。昨年のカズレーザーと平井"ファラオ"光のような、全方位に愛される真の勝ち組枠にスッポリとはまりそう。相席スタートは結果最下位でしたが、相席スタートの漫才として、もうどこもイジりようがない!というような完成した美しさがあった。キャラ漫才に近くて、いかにも玄人受けしなさそうなハンディを背負いながら、1つのネタあそこまでを突き詰めた執念みたいなものに心打たれました。あれで評価されないなら仕方ない。でも。絶対にテレビの仕事は増えるはず。スリムクラブはテンポ含めて、あまり出来は良くなかったような気がするけども、アンダー18の天狗はまだ鼻が伸び切っていない、だとかという出鱈目な設定の細部を詰めていく、イマジネーションの意味のない自由さ、みたいなものがたまらなく好きだ。上沼師匠の「飛びすぎ」という苦言は最大の褒め言葉である。そして、まさかの4位と健闘したさらば青春の光の漫才!コントと同様に徹底したミニマリズムと無意味性の反復の中で、森田哲矢という類まれなるタレントの個性と話芸が生み出す差異。発声と表情だけで、ずっと面白さが持続していく。さらば青春の光、ここにあり、という感じの漫才でございました。ちなみに相方の東口宜隆は”鬼ヶ島不倫”のイメージしかないかと思いますが、今をときめくメイプル超合金カズレーザーの元相方、すなわち同志社卒のインテリです。ひとつよしなに。



敗者復活戦も非常にレベルが高くておおいに楽しんだ。漫才師としての全盛期は過ぎてしまったとは思いつつも(テレビタレントしてはもちろん最高)、早くコンビで売れ切って、ライブシーンの仲間達を引き上げてくれ!という願いを込めて三四郎に一票投じたけども届かず。でも、中継での小宮の「松ちゃん、待っててねー」が最高だったので、満足。あと、全然ウケてなかったけども、どうしても全てがツボなAマッソ。「何探してねん?」「倫理や!!」みたいなやり取りを前に私は喜びを感じます。もう1票は「これは95%、和牛だわ」と思ったので、対抗馬になりそうなメイプル超合金に投じたんですが、敵わず。和牛はほんと強い。投票はできなかったけども、ジャルジャル、ゆにばーす、とろサーモン東京ダイナマイト、大自然、マヂカルラブリー、錦鯉もとても好きでした。ちなみに今年は寿司でもピザでもなく、自宅焼き肉をしながらの鑑賞となりました。毎年お祭り気分を味わせてくれて、ありがとうございます。



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