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青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

『M-1グランプリ 2015』感想

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5年ぶりの復活となりました『M-1グランプリ』でしたが、これがもう最高。厳粛な空気感、重厚かつタイトなオープニングの煽り、Fatboy Slim「Because We Can」の出囃子、今田耕司の進行さばきと上戸彩の圧倒的なチャーム、といった全てに懐かしさを覚えると同時に、『THE MANZAI』に慣らされた感覚には新鮮な魅力として響いた。トレンディエンジェルの優勝に難をつけるのが通っぽいやり口なのかもしれませんが、ちょっとあの圧倒的なポップさの前にはひれ伏すしかないだろう。杉田玄白として『解体新書』を出版する斎藤さんの前に抗えるはずがあるまい。ハゲという自虐に捉われがちだが、非常にテクニカルで完成度の高い漫才だ。彼らによく使われる”明るい”という形容詞よりも”賢い”というのがしっかくりくる。軽くて早くて、広く届く。何と言っても2人とも声が立っているのが漫才として非常に良い。問題があるとすれば、これだけ凄いのに、彼らを優勝させておかなかった『THE MANZAI 2014』にある。1年経って改めて、博多華丸・大吉がチャンピオンになった事の意味のなさを噛みしめております。トレンディエンジェルは『THE MANZAI 2014』のチャンピオンにあまりにふさわしかったし、対して『M-1グランプリ 2015』の王者にはどうにもおさまりが悪いのだろう。


個人的な好みで言えば、断トツでジャルジャルだった。システムの揺さぶりをポップに響かせる事に成功している。才能とか発明という観点において、ジャルジャルが賞レースに出ているというのは、ラーメンズが『キングオブコント』に出場しているようなものだ。しかし、どうもジャルジャルが軽く見られてしまうのは『レッドカーペット』や『めちゃ×2イケてる』のイメージのせいだろうか。そうであるならば、ラーメンズブランディングというのは圧倒的に正しかった事になるのだが、それはまた別の話。優勝は逃したものの、「面白いネタを作るコンビ」という印象は再び灯ったと思うので、クリエイティビティとポピュラリティの両方を欲張って追い求めて欲しい。それが許される華がジャルジャルにはある。


銀シャリスーパーマラドーナも抜群に面白かった。スーパーマラドーナの漫才は個人的にたまらないものがあった。ボケとツッコミの1つ1つが非常に練られた正当漫才のルックでありながら、階層を意識した繊細な構成の新しさ。武智のツッコミが、現場の田中に届かないのがいい。得体の知れなさをキープしたままだから、ずっとおかしい。最後に田中が階層を飛び越えてきてオチ、というのもよかった。銀シャリの1本目も完璧。巧すぎて巧さを感じさせない領域。銀シャリは変わらずにずっと面白いけども、やっと賞レースでピタっとはまる姿が見られてうれしいです。改めて、今年の決勝8組の選抜は、トレンディエンジェルが漏れていた事以外は、もう本当に正しい審査だったのでは。実にレベルの高い大会でした。


結果的には下位だったんですけど、メイプル超合金と馬鹿よ貴方はの2組が、出番序盤にも関わらず客席を沸かし、それなりの点数を審査員がつけてくれたのが何よりもうれしい。『キングオブコント2015』のトラウマが払拭されたと言いますか、この2組が終わった時点で満足感に包まれてしまった。初出場でトップバッターでありながら見事に会場を温めたメイプル超合金の堂々とした佇まいは影のMVP。今回の顔ぶれ的に、世間の最大の発見はメイプル超合金でしょうから、7位という結果ではありましたが、オードリー枠としてテレビでの躍進を期待してしまいます。カズレーザーの破天荒なやばい奴と見せかけて、実に真面目な常識人というのも春日に似ている気がする。ライブでの印象もとにかく気づかいの人だし、企画などにも真剣に参加する姿が好印象。バイセクシャルというキャラクターを推していくのかも見物だ。ちなみにハリセンボン春奈ばりのキレのいいツッコミを披露していた相方の安藤なつは伊集院光チルドレンであり、NHKドラマではナンシー関の生涯を演じた経験もある才人だ。


馬鹿よ貴方はも『THE MANZAI2014』以上に持ち味を披露できたのでは。間の取り方がたまらないし、何と言っても、「観た事ないもの観せてくれ」という枯渇の気持ちを潤してくれる。「大丈夫だよ」連呼の40秒に震えた。。平井“ファラオ”光の佇まいが全て、という感じもある。彼はよく見ると、大切なモノを全て失ってしまった松田龍平に見えなくもない。Wikipediaによれば、性欲が薄く童貞であるらしい。本名は宇井なのだけど、聞き取りづらいと思って平井にしているらしい。相方の新道竜巳に至っては、本名は濵島英治郎。不気味なまでの名前への執着のなさだ。また、ネタを作っているのがファラオでなく新道というのも面白い。ツッコミが作っているとは思えないほど、ツッコミに引きがない。構成作家タイプの芸人さんなんだろうか。馬鹿よ貴方はが所属するオフィス北野にはあのランジャタイの所属も先日決定したわけで、今後の事務所ライブはちょっと見逃せないものになるだろう。楽しみです。



全組、言及するのが億劫になってしまったので、最後に珍しくウケたツイートを貼っておきます。


「ランジャタイの国崎さんとますだおかだの増田さんは似ている」というツイートの100倍くらいRTとふぁぼがついた。星野源の人気ぶりを痛感させられました。男の子の"かわいさ"の道を辿ると、その果てには星野源がいるのである。



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