山下敦弘『超能力研究部の3人』
怪作だ。山下敦弘が監督、乃木坂46が主演、大橋裕之傑作短編集『シティライツ』
- 作者: 大橋裕之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/10/21
- メディア: コミック
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いまおかしんじにより脚本が執筆されたという劇作としての『超能力研究部の3人』のパートは仮セットで撮影されたリハーサル映像が断片的に使用されており、うっすらと本作に物語の色を付ける。メインとして尺を取るのは、『超能力研究部の3人』という映画のメイキング映像にあたる部分。これを丸ごとフェイクで作り上げている。撮影スタッフ陣すらわざわざ役者が演じ直している徹底ぶりだ。監督・山下敦弘の(おそらく実際とは全く違うであろう)厳し目の演出指導や、乃木坂マネージャー陣との確執(お馴染みの舟木テツヲ登場)、異常ファンの乱入、橋本奈々未のスタッフへの恋心(あの嘘みたいな嘘の雨)、生田絵梨花と秋元真夏のケンカ、などなど活き活きと遊びまくっている。ここらへんを観るに明らかに”フェイク”なのだけど、ふとした瞬間、例えば生田が自身の器用さゆえの凡庸さを吐露して見せる涙、橋本が海辺で見せる儚さ、そういった”本当らしいもの”が映り込むと、境界が揺らいでいく。リアルとフェイクが混じり合う。そもそも彼女達自身がアイドルという虚構を演じる存在で、その彼女達が女優として自分自身を演じているのだ。一体、何重の螺旋が巻かれているのかさえかもよくわからない。しかし、その揺さぶりが妙に心地よい。混沌とした画面の中から彼女達の姿が妙な”確かさ”と説得力を持って瞳に訴えかけてくる。そして、浮かび上がってくるのは、協力し合いながら山の頂上に向けて進む3人の少女の身体(推せる真夏の足首!)
そして、「UFO来ないかなぁ」と漠然と待ち続ける普遍的な青春だ。"超能力"という不確かだけども強大な力、がこの映画を司る言葉としてふさわしいように思えた。