青春ゾンビ

ポップカルチャーととんかつ

OK?NO!!『Party!!!』

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暇だからパーティーしようぜ

これが学生時代、友人と遊ぶ際の合言葉でした。「パーティー」と言ってもやる事と言えば、オールナイトでカラオケだったり、天下一品にこってりとしたラーメンを食べに行く事だったり、家でゾンビ映画のDVDを観る事だったり、台風の中お出かけしてみたり、朝までファミレスでドリンクバーまでねばる事だったり、深夜のドライブ、もしくはサイクリングだったり。典型的な中流階級のボンクラ文系大学生でありましたから、必要最低限の講義と疲れない程度のバイト以外は自由。時間をひたすらに持て余していた。前述の決してイケてるとは言えない(しかし今、思えばなんて素敵な)時間の潰し方を総じて「パーティー」と呼んでいたのだ。当時は特に何となく、そう呼んでいたわけですが、きっと無意識に「青春」を「パーティー」とイコールで結んでいたのでしょう。パーティーはいつか終わります。


そんなこんなでOK?NO!!の2ndアルバム『Party!!!』は少し切なく、それでいて最高にご機嫌だ。

パーティしよう、パーティ、パーティだ、イエ〜イ

の男女のガヤガヤ声だけでもう泣けてしまうオープニングの「Intro/もう1回だけパーティを」に、祭りの後の寂しさの中で次のパーティの開催を祈る「After Party /またいつかパーティを」というエンディングを有するこのアルバム。これはもう青春そのものじゃないか。渋谷の裏番長yes,mama ok?→OK?NO!!なのかは存じ上げませんが、サウンドの方はオーバー30が聞けば気恥ずかしくなるほどに真っ直ぐな渋谷系さくら学院バトン部などを例に挙げるまでもなく、アイドルという(一般的に)期間限定のフォーマットと渋谷系サウンドの相性がいいように、やはり青春と渋谷系もとっても親和性が高い。でも、若い人にとっては別にそんなの関係ないのかもしれない。ならば、ただただ良質なポップソングが詰められたアルバムとして楽しもうじゃありませんか。とにかく曲がいいのだ。無根拠な肯定が最高な、つんのめるポップチューン「That's OK, NO Problem/クラッカー持って準備して」、終わりに気付かない振りをするための底抜けな明るさで突き抜ける表題曲「Party!!!/パーティー!!!」の2曲は堂々たるキラーチューンである。いや、ほんと超名曲でしょう。スパゲッティの作り方を歌い倒すノベルティソング「Meat Spa/チャーリーのスパゲッティ講座」も最高。「Bazooka & Haagen-Dazs/ぶっ放すバズーカ、ハーゲンダッツ」という素晴らしい言語感覚で紡がれるラップも1stに収録されているそれの数倍よい出来栄え。男性ボーカルナンバー「Rainy Days / 少しだけ憂鬱な日」のカジヒデキを想わせる歌唱にドキリ。カジヒデキの音楽はロックンロールだと思っているのですが、HPに「宅録渋谷系ユニット」と説明のあるOK?NO!!もやはり、ロックンロールバンドと呼びたい。ギュンギュンに弾きまくられるギター。演奏する側の気持ちよさに特化したフレージングがとにかく楽しそう。もちろん聞いている方も楽しいです。10曲を30分台であっという間に駆け抜けてしまうランタイムも好印象。


さて、残念ながら青春は有限。過ぎ行く時間の中に翻弄されながらも、自分にとって大切な時間をポップに「パーティー」と名付けて大袈裟に祝福してしまおうではないか。